体操ザムライ：第7話『合宿ザムライ』感想ツイートまとめ

体操ザムライを見る。
体操競技の高みを目指す、トップエリートのみが集う日中合同合宿。
勝つこと、続けることの意味を説いながら、戦士たちは競い、笑い合う。
若い嵐から少し離れた場所で、己の道をひた走る城太郎。その足取りは軽やかで、強い。
そしてレオは、覆面の奥に陰りを隠していた…。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月23日

そんな感じの合宿エピッ！　玲ちゃんにお友達が出来て良かった良かった！　である。
いわゆる修行回なんだし、もっと勝利にがっつけよ…という感じは、あんましない。
この作品の”てっぺん”たるリュウがとても良いキャラで、彼を鏡に作品の奥行きが、グッと広がった。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月23日

城太郎自身がかなりの天然で、彼を主役とするこの話も勝利至上主義から、ちょっと外れたところにあると思うが。
『一番になることは、二番以下を踏みつけて立つことであり、自分もそうしてきた以上いつかは落ちていく』と、頂点の重みをしっかり言葉にし、ストイックに守る王者がそこを補ってくれた。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月23日

その上で、他者ではなく己と闘い続ける城太郎のスタイルを嘲笑うのではなく、敬意を込めて笑い飛ばした邂逅が、とても良かった。
勝つこと、負けること。
鉄男が見つけたスタイル、レオの迷いも合わせて、作品が追うものが色んな角度から照射され、立体感の出る話だったと思う。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月23日

体操やるやつも、やらないやつも。男も女も、ベテランもルーキーも。勝ちにこだわるやつも、自分を信じるものも。
色々いて面白いし、それを受け止めてくれる”体操”は良いものだ。
そういう風に、群像を描いてメインテーマを際立たせる感じに仕上がって、とても良い中間地点だと思った。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月23日

というわけで、前回無責任に消えて戻ってきたレオの背負う、重たい影と美しい光からお話スタートである。
月下に踊る美影身。ニンジャの正体は、ロイヤル・バレエの至宝であった。『王族かなー』と読んでたが、あながち間違いでもなかったか。”Royal”なわけで。
©「体操ザムライ」製作委員会 pic.twitter.com/SXu1F04tRC

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月23日

江戸村で可愛い追跡劇してたときから”人間”だと思ってたエージェントたちが、グラサン外してレオの才を褒め称え、あっという間に”敵”ではなくなっていく。
目だけが肥大化した怪物ではなく、顔の見える優しい人に見つめられるなら、レオは踊れる。怯えず、自分を表現できる。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月23日

しかし輝く舞台に、今は戻れない。素性を隠して逃げ出したサムライのもとで、取り戻したいものがある。
マダムに思いを告げる土下座が、一時の猶予を取り戻す。また強くてかっけーババァが出てきたんだけどッ！（歓喜）
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— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月23日

マダムもまた、最後に顔を見せ、レオに温情を見せる。
彼女もその才覚を、人格を愛すればこそ、舞台に戻ってきて欲しい。”人間”である。
オリンピックとはまた別の厳しさを持つ、冷たく美しい舞台。そこが、レオ本来の戦場である。そこで闘うためには、もう少し嘘が必要だ。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月23日

城太郎が周囲を一切気にしない我が道野郎で、鉄男やリュウも他人に流されない強い自我を持っている。
高みに立つがゆえのプレッシャーから逃げ出したレオは、トンチキ外人のキャラを被りつつ、作中随一繊細なキャラだったわけだ。
ここら辺、競技者と表現者の違いもあるかな？

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月23日

玲ちゃんと本気で向き合った結果重荷が取れて、今回の城太郎はド天然に加速がついている。
だからこそ、彼が気にしないものに躓いているレオの苦しさはよく目立つし、戯けた態度の奥で震え、鉄男に導きを求める必死さも伝わってくる。面白い対比になってきたな…。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月23日

縁側のステージから見渡す、異国のホーム。優しい人達と触れ合う中で、戻るもの、逃げたもの。
前半を引っ張った玲の問題が良い解決を迎えて、カメラがレオに寄ってきた感じがある。
ここも、良い書き方をしてくれるだろう。”シザーハンズ”可愛いねぇ…。
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— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月23日

一方オヤジの方はマジフリーダムに、合宿でも好き勝手やってた。
一度結果を出した上で降りたものと、今頂点に立つものと、そこに駆け上がろうとするもの。
城太郎、リュウ、鉄男の三人を描くことで、”体操選手”の諸相が見えてくる。
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— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月23日

思い出の写真に、ボロボロのあん馬。
城太郎にとって合宿場は懐かしい場所、戻ってきた場所だ。時間は彼の身体に衰えと思い出を刻み、そして帰ってくることも出来る。
再生と挑戦。スポーツ物語であまり掘られることのない視点を主役に背負わすのは、なかなか面白い。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月23日

一方、若き血潮は激しくぶつかる。
マダムが『あれほど辛いものはない』と述懐してた逆さ吊りを、当たり前にやりきる厳しい競技。
最強たらんとする鉄男の自負は、当然”てっぺん”と激しくぶつかる。
それは、城太郎が既に通り過ぎた季節の嵐。
”勝負”のもう一つの顔。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月23日

いきなりの鉄棒勝負は、そこから即降りる城太郎の自由さ含め、非常に示唆的だった。
単純に力関係がはっきりするだけでなく、”勝負”をめぐるスタンスの違いが、上手く圧縮されている。
数字化される厳しい真実に、降りず向き合うもの。
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— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月23日

一度は失った”出来る”を、迷いつつもっと強く取り戻せた実感に、拳を握るもの。
競技の本流は鉄男とリュウにあるんだろうけど、そこに”楽しい””やりたい”で動く、子供のような城太郎がいても面白い。
まぁピンピンに張り詰めてる上に負けた直後の鉄男は、面白くないだろうけど。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月23日

でもやっぱ、鉄男は城太郎をずっと見てる。
レオが暗闇からの救いを求めたのとはまた別の視線で、サムライを睨んでいる理由が、やっぱ知りたいよね。
巨大感情はその正体にライトが当たらず、輪郭をおずおずとなぞっている時が面白いとはいえ、やっぱ派手にぶっ込んで欲しいわけよ。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月23日

それは今後のお楽しみとして、汗臭い努力描写は程々に、合宿はあっという間に最終日へ。
ここら辺のC調は、やっぱスポ根の真ん中からは外れてる。それが、多分このアニメの良さであり、個性なのだろう。
玲ちゃんむっっっちゃ見てるキティちゃんも、さり気なくアピール。
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— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月23日

ここで一日遅れのハッピーバースデーを、力まず玲ちゃんに手渡せてる描写が凄く良かった。先週あんだけ、魂をぶつけ合った甲斐もある。
無邪気に喜ぶのではなく、少し照れる玲ちゃんも、本心を曝け出し少し、人格が変化した感じ…かなぁ？
元々大人びた子だけど、それを乳の前で見せれるようになったか

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月23日

こっちは安定してるとして、不安定な若人二人は道に迷う。
国内のライバル…人生の先輩達が、ガラス越しに鉄男を心配してる描写が凄く好き。
バチバチ対抗心を見せつつも、別に潰れてほしいわけじゃない。彼らは”勝ちたい”のだ。
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— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月23日

鉄男はむっつりと感情を押し込めて、必死に走る。
その道は厳しく薄暗い場所にいつでも繋がっていて、そここそがプリンシパル・レオナルドの故郷だ。
否応なくつく勝敗。
どれだけ苦しんでも、報われるとは限らない世界。
特別な”才”を求めて睨みつける、怪物たちの視線。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月23日

鉄男は迷いの果てに一旦腰を下ろし、そんな影に向き合う。同じ影に苦しんでいるのではと、甘えるレオが向き合いきれないものから、彼は自力で顔を上げて、強い視線で未来を睨む。
今は勝てなくとも、いつか勝てるようになる。
そんな不屈が、青年の胸に熱く燃えている。
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— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月23日

これを微笑みの奥から見守り、自力で立ち上がるのを信じて手を差し伸べるのが、中ノ森さんのスタイルなのだろう。
どっしり肩を組み合い、家族レベルで付き合う天草さんとは別のスタイルだが、それもまた善い。競技者だけでなく、コーチも多彩に肯定されていくのは好きだなぁ…。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月23日

鉄男には一緒に走ってくれたレオがいて、夕暮れに自分を探してくれる中ノ森さんがいる。
でも異国に逃げ、素性と本心を隠しているレオには、真実寄り添ってくれる人がいない。
弱さで繋がろうとした鉄男には、内から湧き上がる闘志で跳ね除けられた。ならば、誰を頼るのか。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月23日

問題を切開して良い方向に進んでいくには、隠されたものを堂々暴かないといけない。
しかしそのためには、誰かの導きがいる。レオのお節介な並走が、鉄男の奮起を知らず、助けていたように。
そういう仕事を誰が、どのように果たすのか。
レオの今後にとって、かなり大事な夕景であった。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月23日

そして競技人生の夕暮れを越えて、終りと始まりを見つめる頃合いの二人…の前に、可愛い日中交流キターーーッ！
一瞬のホラー演出から、溢れる二つのチャーミング。キティちゃん、この子マジ…マーッジ良い子なんで、仲良くしてあげてねホント…。
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— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月23日

色んな場所で、交わされる握手。
日中の強豪がお互いを認めるのは、”体操”に向き合う資格を実地で証明したからこそだ。
厳しく競い合う中で磨かれる、嘘のない許容。
『アイツもなかなかやるじゃないか』と、心から認めさせるためには、勝ち負けを競う必要も出てくる。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月23日

そんな世界の真ん中に立つ男は、宴に背を向けストイックに、己を磨く。
なぜ、続けるのか。
勝つことの残酷さ、時の非情を踏みしめながら”てっぺん”に立つ男は、競技者としての城太郎に、厳しい問いを投げかけてくる。
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— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月23日

ニ位…”負けの一番”を貰って泣く選手のカットが、僕は凄く好きだ。
メダルを誇りつつも笑顔一つ見せないリュウは、自分が踏んでいるものの意味を知っている。必死に走ってなお、必ずそこに落ちていくことも理解っている。
それでもなお、だからこそ、勝ちを掴むために己を磨き続けるのだ。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月23日

彼もまた、サムライの背中に輝きを見た一人だった。
追い抜き、見下ろす立場になったからこそ、”アラガキ”再生で満足して酸素の薄い高みから降りたように見える城太郎には、厳しい視線も向ける。
しかしそこに、指弾の色は薄い。異質なものを問いただし、知りたいと思う知性。眼鏡はダテではないね。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月23日

”てっぺん”からの真摯な問いかけに、天然男も自分なりの”本当”を引っ張り出して応える。
暗闇の中の星のように、自分の中に眠る可能性。
諦めかけて、でも諦められず、胸の中に燃えていた炎。
周りを見ずに迷惑かけて、支えてもらって一歩ずつ。
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— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月23日

あのオンボロのあん馬だって、俺の肩のようにまだまだやれる。もしかしたら、昔より調子がいいかもしれない。
出来なかったことが、出来るようになる。負けて諦めてなお、前に進み続ける。
生涯、体操選手。
死ぬまで…死んでもなお続く道を、荒垣城太郎は進む。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月23日

いつもぬぼーっとしてる城太郎の、こういう表情、こういう哲学を引っ張り出せただけで、リュウが”てっぺん”で良かったな、と思う。
やっぱ競技を扱う時って、”てっぺん”の格がそのまま作品の格になりがち。なので、周りを引き立てる人格ある王者が欲しくなるのよね…リュウは満点。2億兆点。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月23日

自分とは正反対の、しかし確かに靭やかな答え。
サムライの心意気を笑って受け止め、王者は忠告を与える。
今のままじゃ、お前は勝てない。
その言葉の重さを、城太郎もまた知っている。
彼はただの天然ではなく”体操選手”なのだ。
ずっと、そうだったのだ。
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— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月23日

ここでシビアな現実を突きつけるあたり、リュウは問答を通じて城太郎に驚き、認め、そこから這い上がり挑戦する日を望んでいるのだと思う。
彼もまた、鉄男を心配していた先輩たちのように、相手を潰すのではなく競い、勝ちたいのだ。
”体操”とは、そういう在り方を許してくれる場所なのだ。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月23日

益荒男は、サムライ一人ではない。
だからこそ、自分しか見ていないように見える城太郎も、いろいろなものと闘いながら”体操”にしがみつく。
明日は、もっと高く飛ぶ。
その決意を込めて、挑むはアラガキ、Ver2。
負けてもいいから、ここに立ってるわけじゃないのだ。
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— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月23日

という感じの、作品の輪郭が鮮明になり、奥行きがぐっと広がる合宿回でした。
勝つこと、負けること。
それぞれの経験、人格、ライフステージによって答えは変わるが、皆燃える闘志を秘めて”体操”に挑んでいる。
そこには厳しい握り拳だけでなく、真に認め合えばこその交流もある。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月23日

競技とは少しズレたステージから、逃げ出してしまったレオ。その再生はやはり、サムライの隣にこそある。
だが鉄男が、リュウが、城太郎がそれぞれ誇り高く立てるのは、誰かに支えられてではない。
補助は鉄棒に上がるまでで、グルグル回って飛ぶのは選手当人のプライドとスタイルなのだ。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月23日

どうにも芯が見えなかった城太郎の”誠”を、リュウが非常にいい形で引っ張り出してくれたのが、今後に生きそうでもある。勝つことの残酷さと、負けないことの意味を知っている男（ひと）が好き…。
鉄男とコーチの絆も見えて、サムライに炎も灯った。
更に熱量を増す後半戦、非常に楽しみです。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月23日

GREAT PRETENDER：第19話『Wizard of Far East 05』感想ツイートまとめ

GREAT PRETENDERを見る。
恨み、怒り、刃を突き立てる。
そんな日々に別れを告げて、世界を股にかけた魔法の旅へ。
騙し、笑い、恋をする。
クソ悪党が、そんな幸せに生きられるはずもない。
そんな予感にうち震え、これを最後と打った博打。
それが破滅に終わることを、僕らはもう知っている。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月23日

という感じの、長いおとぎ話中編、グレプリ第19話である。
ローランが金髪クソ野郎に落ちる前。
旧世代のコンフィデンスマン同盟の輝ける日々と、焼け付くような恋…迫りくる破滅のエピソードである。
オズがとっ捕まって真人くんが大変なことになる未来から話を見ているので、全てがフラグに見える…

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月23日

今回と次回の過去話それ自体よりも、それをエダマメがどう受け取り、そこに旧世代がどう反応するかが、やっぱ気にはなっている。
どんだけ悲惨な過去を垂れ流しにされても、枝村少年とお母さんがあまりにも辛い時を過ごして、すっかり歪んじゃった…上で、なんとか真正に生きようとしてるのは事実で。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月23日

その真心と哀しみを弄んだ…ように見えるローランとオズも、彼らなりに出会いがあり、想いがあり、別れがあった。
今まで隠れていたバックボーンを見せて、ローランの謎を紐解いていく過去編は、人非人とお人好しが存外、近い場所にいると見せる足場にもなろう。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月23日

どう受け止めどう転がるにしても、まぁドヒドい破滅まで回想を進めてくれないとなんとも言えないわけだが…ローランの過去は、こっちの想定以上にキラキラだった。
恨みの刃を突き刺して、思わず逃げた闇の中。流された先では、刺したはずの女が赤ワイン飲んでた。
©WIT STUDIO/Great Pretenders pic.twitter.com/gwbBCwQffI

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月23日

悪党しか狙わない、凄腕孤高の詐欺師集団。過剰に回る弁舌と、人生ナメた余裕の態度で受け流す、犯罪稼業の大先輩。
ドロシーのキャラ、彼女との出会いは、意識して第一章でのエダマメと似通ってる。
皆ルーキー時代があり、騙されてハメられて、人生を知っていく。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月23日

銭を稼ぐだけで終わらず、心に溜まった歪みを抜く。刃をその身に受けて、人生を明るく照らす。
金髪クソ野郎が時折見せた、メンターとしての顔はドロシー譲りなのかもしれない。
そう言い切ってしまうには、あの男の立ち回り、悪魔めいた好奇心が勝ちすぎてるけど。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月23日

というより、悪魔めいた好奇に活きるしかないほど、ここで手に入れたもの、後に失われるものがデカい、ていう話かもしれんけど。
エダマメも、お母さんとの人生、父との思い出を潰されて捻くれた。ここら辺もまた、師弟で共通なのかもしれない。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月23日

ワインと金と楽しい仲間。
巴里の灯のように輝くものは沢山ある。だからナイフなんか捨てて、言葉一つで世界を騙そう。
ドロシーは巧みな弁舌で、ローランを麗しき悪の道へと誘う。青年もそれに微笑む。
若シウォン、結構好きだな…。
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— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月23日

かくして始まった、世界を股にかけた大暴れ。
ブラジル、イタリア、そしてアメリカ。
三章立ての大成功を駆け足で追いかける構成は、圧縮されたここまでの物語の類似ともいえる。旧世代も、エダマメたちと同じようにスリルとサクセスを泳ぎ、絆を深めた。
©WIT STUDIO/Great Pretenders pic.twitter.com/1L6Xqvrh6y

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月23日

ブラジルでは危なっかしい初仕事をなんとか渡りきり、イタリアでは人種偏見を煽ってハメる。
ここまでの物語で輝いた要素を、早回しのモンタージュにキラリ、埋め込む話運びは結構好き。エダマメ一行に持ってる好感度が、旧世代にスライドするような仕組みやね。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月23日

大掛かりに状況を作って、相手の欲望を操作してハメる。
過去（ドロシーたちには未来）で特徴的だったローランのやり口も、褐色の女師匠から学び取ったことがよく判る。
…となると、散々振り回されたエダマメがローラン式に、今の状況作ってハメててもおかしくはない。
問題は、誰をハメてるか、だが

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月23日

銭に踊って危機一髪。吊られた綱が、絞首刑の名残にも見える。スリルに踊ってたら、命がいくつあっても足りない。
ドピンクの愛の部屋で、交わした約束。
俺たちは、この崖っぷちから降りる。大事なものを守るために。
…そこから降り損なった未来を、僕は知ってるが。
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— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月23日

ドロシーとのベッドシーンは、このアニメらしい過剰さ、悪趣味、純情、儚さが上手く入り混じり、とてもロマンティックだった。
悪党騙して金を取る。それが天分と危うく飛ぶ少女を、どうにか地上に繋ぎ止めたかった。
”まとも”になりたかった。
その思いは、かつてのローランと今のエダマメを繋げる…

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月23日

のか？
こんな長話されても、エダマメ（と、彼の”今”に興味がある僕）にはやっぱ他人事な部分があって、『は？　知らねぇし！　ハメたこと謝れし！　お前は母さんの墓前で死ねし！！』ってキレても、まぁ理解るんだよね。
エダマメくん根っこが善良なので、今までと同じように心を寄せそうでもあるが。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月23日

ともあれ、雪景色に輝くオーロラが、家なしドロシーが求めた”お家”を約束する。
ここの”オズの魔法使い”ネタの料理の仕方は、すごく好き。生き間違えきった薄汚い詐欺師が、唯一用意できた本物の魔法が、このエメラルドの都ってワケね。
©WIT STUDIO/Great Pretenders pic.twitter.com/kiDvIvKR7W

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月23日

まぁ、その夢も香港で無残に飛び散るんですけどねッ！
凄い勢いで死亡フラグを建造しながら、最後のパーッとデカいこと！　行くぞ香港ハメるぞヤクザ！！
敵の懐に入り込み、ヨゴレた人買いのフリをして、善業を為す。ブローカーを装い、王族で釣る。
©WIT STUDIO/Great Pretenders pic.twitter.com/Lq7CGYPxDX

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月23日

失敗に終わった（風味に、現状演出されてる）VS朱雀と同じ調子で、アジアでのビジネスは進んでいく。
ここも、過去と現在をシンクロさせる重ね合わせであろう。あえて同じ調子をリピートさせることで、『手札読まれてない？　大丈夫？』という不安を煽りもするか。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月23日

この『今までと同じじゃん！　読めたわヨユー！』って感覚は、あからさまに釣り札ではあって。
その奥にもう二、三枚展開を隠してあるのが、コンゲームものではある。そんな大逆転をどんだけ気持ちよくぶっ込めるか、期待を裏切らず予想を外すかが、腕の見せ所。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月23日

気持ちのいい嘘に踊らせるには、印象を操作しなきゃいけない。ここは創作も詐欺も同じ。
操り、読ませ、ひっくり返す。まさかの展開があたかも必然であるような、意外性と納得の同居。
そこの焦点は、四章だとやっぱ、エダマメの墜ち方、戻り方かなぁ…なに考えてんだろうなぁ…。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月23日

それは未来の話として、赤く色づく京都鹿苑寺。
未来の劉暁が読んでいたのも三島由紀夫”金閣寺”だったなぁ、などと思いつつ。決戦の舞台は日本である。
グレプリ特有の色彩が、最高に活きた1カットだな…気づけば見慣れたけども、やっぱフレッシュだわ。
©WIT STUDIO/Great Pretenders pic.twitter.com/dWmd3XL2vH

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月23日

”金閣寺”がそうであるように、この過去話も業と破滅の物語だ。現在進行系のエダマメの物語も、そう終わるかもしれない。
そこに、このおとぎ話がどう重なってくるのか。
人間らしく思いをつなぐロクでなしの歩みは、ここまで見てきた物語と、おそらく意図的に重なっている。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月23日

『クズの目にも涙』で、過ちは許されていくのか。
待ち受ける破滅は、ローランをどう歪めたのか。
未来に続く物語を、語りきらなければ今は始まらない。
さて次回、何が見れるか。とても楽しみです。
旧世代がエダマメ一行とどっか似てて、ぜんぜん違う味付け結構好きだな。個性と連動を感じる。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月23日

アイドリッシュセブン Second BEAT!：第10話『期限切れ』感想ツイートまとめ

アイドリッシュセブン Second BEAT! を見る。
百の喉を塞ぐ、秘めたる後ろめたさ。
自分は代用品、本当には愛されていない。
違う。幾度重ねても、心の奥には届かない。
愛し愛されたいと願うほどに、降り積もる冷たい雪。
そんなすれ違いの裏側で、魔術師が糸を引く。
愛の糸、家族の糸。妄執の意図。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

そんな感じのアイドル殺し油地獄、今近松の濃厚愛憎絵巻、アニナナ2nd第10話である。
Re:vale、四葉兄妹、ゼロ。過去と現在、様々な場所で渦を巻く感情の、裏に見え隠れする”九条”の影。
陰湿でありながら情熱を宿し、冷厳ながら純粋でもある。
アイナナらしい難しさを、あおきえいが見事に活写した。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

メインキャラクターの脇で、影の主役にやらせる芝居。
静物の大胆な象徴系、一個一個の絵のシャープさ。
余白を最大活用するレイアウト。
映像作家としてのあおきえいが、どれだけ凄まじいかをよく理解らされる仕上がりでもあった。
シンプルに複雑に心を動かしてくる絵作り、ほんとに強い。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

百の激重告白から千サンLOVE劇場、これでOK…と思わせておいての再停止。
出口のない重たさを引きずったまま、四葉の兄妹のこじれた関係に、壮五の迷妄が影を伸ばす。
全ての裏側に見え隠れする、ゼロのマネージャー…九条鷹匡。父子共犯の腐臭も入り混じり、でろり、空気が悪い。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

問題山積はいつものことであるし、一個突破したと思ったら即座に新たな山を作り休ませないのが、アイナナの作劇でもある。
しかし今回、問題の根に関わってそうな”九条”は一度も顔を出さない。その陰湿な影響力が、根深さを教えてきた。
長い手を伸ばし、望む魔法を作る。アイツホンマ厄介やな…。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

というわけで、前回衝撃のヒキからリニアに展開、Re:vale激重感情劇場開幕である。もう語りだしからして重いもんな…。
かつて存在した、三人目…否、一人目のRe:vale。それが話題に出る時、ライトの支えが断絶を写すのがエグい。
白く輝く虚ろな舞台と、薄暗い舞台袖。
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— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

それを切り分ける残酷さが”アイドル”を成立させているわけだが、そんな天が急に落ちてきて、Re:valeは壊れた。
後に告白される歴史を、この段階でしっかり差し込んでくる計画的犯行。あおきえいのエンジンは初手からブンブンである。
やっぱ静物のアップで理解らせるの、アホみたいに巧いわ。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

いつも仲良し、熟年夫婦。そんな外面を引っ剥がし、暴かれていくファン心理。
代用品、後ろめたさ、Re:vale秘史。
百が『名前も知らない、声をかけてきたプロデューサー』を話題にする時、切り取られる天の視線。そこに宿る後ろめたさ。
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— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

『初代Re:vale解散の裏には、九条が絡んでんじゃねぇかなぁ…』と、”九条”天の視線を追いかけると思いたくなる。
実際証拠を繋ぐと、ここで接触してるのはアイツだろうし、となれば事故はおそらく仕込まれたもの…最悪じゃんッ！　なに業まみれの極悪人が親父っ面してんのキッッッモォ！！

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

九条とゼロの過去は話の根っこに関わる重大事だが、今回の問題の表層ではない。そこら辺の距離感を見せるべく、映像に仕込まれた暗号が元気だ、って話なんだろうけど。
ゼロの喪失以来、まぶたに焼き付いた残影を追いかけ、呪いも打てば他人の氏姓も奪う。九条やりたい放題やな…。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

状況証拠と推測だけでボロクソ言ってるから、あのツダケンネットリ声が超善良だったら土下座すっけど。
でも事故仕込んで、グラグラになったところで手差し伸べて好みの方向にプロデュースって…マジだったら人間失格どころの話じゃないじゃん。
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— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

こうなると、Re:valeが”百”と”千”…名字のない存在なのもエグく感じてくる。
”九条”が”七瀬”あるいは”四葉”を奪い、困窮した子供達を救いつつ新たな姓を与えて縛っているように。
彼らは血によって繋がる証を引っ剥がすことで、”アイドル”やってたわけだ。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

家族集団に所属する”人間”をやめて、ただの百、千、あるいは名前も顔もない”誰か”であり続ける。
そんな在り方がRe:vale開始時からのものか、荒波の中で選び取られたものかは分からんけども、少なくとも今の彼らはそういう風に存在している。
”家”に身を寄せず、ただ立つ。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

このあり方は”九条”を感染させる鷹匡の方法論とは真逆だし、そら馬も合わんわ、って感じだけど。
親父の悪行（推測）で殴られるたびに、天にいがピクピク動くのマジ面白い。
天にいも過去を全部知っていると言うより、親父好きだから自然と聞き及んでる、くらいなんだとは思うが、だからこそピクピク

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

百は重たい過去を語りつつ、その相手には背中を向け、鏡越しに自分と向き合っている。
鏡像の中の虚像。メディア越しのアイドル。勝手に刃を差し込むファン。
そういう遠さは、ずっと百の中で息をしていた。ずっと千の…Re:valeのファンだったから。それが、この控室で暴かれる。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

同時に鏡に照らされればこそ、体の奥の心が見えてくる、という演出でもあろう。虚実は相反しつつ、常に密着しているものなのだ。
目に見えるもの、そこにあるけど届かないもの。千と百の情感もつれ合いを追う今回は、鏡≒鑑がとても大事である。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

（鏡像による関係性、キャラクターの現状演出は昨日の虹ヶ咲でも大暴れしてて、同じ”アイドル”を扱うアニメーションがこのシンクロニシティを見せるのは、個人的には興奮ポイントである。
定番といえば定番だが、だからこそ作家のセンスも、作品の独自性も見える。面白い重なり合い≒ズレ）

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

白く虚しく輝く、相方のいない舞台。
千は光に背を向け、ステージから降りようとした。
そんな白と黒の世界に、飛び込んだ色彩。
大好きだから、終わらせたくない。代用品でも、Re:valeになりたい。じゅ、純愛～～（アイナナIKKO）
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— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

それが身勝手なエゴだと判ってるから、百は地面に頭を擦り付けた。それでも譲れない愛と情熱に突き動かされて、薄暗い部屋に踏み込んだ。
そこが名前も顔もない”一人目”との聖域だと、一番良く理解ってる。一番のファンだから。
でも、それでも。
その情熱は、クールな銀色野郎にも届いた。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

追記
この過去回想を通じて、”白”の意味合いが変わってるのは凄い。
相方が消えた虚しさの象徴だった色は、”黒”たる百の踏み込みを経て万色混ざりあった生の実感、”白”たる自分を肯定する光の色になった。そう思えるくらい、愛が溢れ出した。
百～、アンタ愛されてるよやっぱ、分かりにくいけど。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

百の申し出は世界全てを白く（≒千のパーソナルカラー）に染め上げるほどに強く、希望に満ちている。膝を曲げ、手を差し伸べているのは千からだ。
キミが境を越えてくれたから、闇から出られた。虚無の先にある未来へ、踏み出せた。
そういう心象と受け取って良いんですね千サンッ！　LOVEッスね！！

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

ファン時代の百が髪に”白”入れてないのが、マジで心中立てなんスよね…。
一緒にいるために、憧れたアイドルの代理をするために、相手の”色”を入れる。受け入れて、変わっていく。
アイドル”百”が陽気な仮面を被り続ける、その支えだと思うんですよ、彼の『黒に交じる白』は。
完全に花魁の”命”刺青よ

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

まるで夢のように、カラフルに色づいた世界。でもそれは、あくまで夢でしかない。
しょせん代用品。あの人の心は今でも、俺以外に向いている。
百は作中随一にフェミニンなキャラだと思うけど、情の立て方が完全に浄瑠璃で、”和”の重さと湿度がしっとり匂う。
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— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

指に挿した紅、長いまつげに濡れる瞳。
キャラとしての記号と書き方が、かなり古い型の”女”よね。三味線とか似合いそう。
アイナナが多人数で若いから出来ない、ディープ＆コアな情感のもつれ、すれ違いと絡み合いを、歴史ある二人ユニット+消えた男だからこそ、ド濃厚にぶっ込んできてる。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

代用品の儚さを嘆く百を、即座に否定するのが天にいなのもアイドル大好き、Re:vale大好き人間っぽくていいが。
ここで引き合いに出すのが”ファン”なあたり、誠実で残酷な人だなぁ、と思う。
それは大事なんだが、今の百にはクリティカルではない。”そこ”ではないのだ。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

でも天がアイドルとして寄って立つ『ファンに求められ、認められる自分』を差し出したことで、百は鏡＝自己像＝過去に向き合うのを一旦やめて、目の前の仲間の方を見るようになる。
それだけの強さは、天の答えと問いかけにあったし、それに応える誠実さは、百の中でまだ死んでない。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

ファンは大事だが”そこ”ではない。ならば…ってんで、来ました鏡の前の大対峙。理性と感情、待つものと追うものの真剣勝負。
結局ここに踏み込まなけりゃ、二人はお互いの思いを伝えられないのだ。さー銀色野郎、勝負どころよ。
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— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

愛してる、愛してない。届けたい、届かない。
理性と感情、男と女…あるいは男と男。
古今様々な物語が描き、現実でもたっぷりすれ違っている思いの劇場が、縺れた二人の間で踊る。
愛し人を前にして言いたいことを言ってる百が鏡に自分を照らし、愛してると言いつつ伝わりきらない千は隠す。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

クールで、理論的で、落ち着いてて。主に”白”を象徴色にする『男っぽい』存在と、暖かく、感情的で、理屈を蹴っ飛ばして進む『女っぽい』存在。
その二分法が今適切かは一旦横に置いて、そういう類型を二人（とその周辺）に照らしながら、ここのすれ違いと交流は展開しているように思う。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

百が艶のあるフェミニンな外装で飾られていたのも、ここの対峙で腑に落ちた。
百という”男”を誰よりも求めすれ違う、”女”なるものを背負うからこそ、彼は紅を挿していたわけだ。
恋よりも激烈で、愛よりも痛い。そういう一対一の距離感を、新キャラで彫り込むのは面白いなぁ…。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

ツンと顔を背け、追いかけるのを待っている。内股でつつと寄り添って、勘気を演じてみせる。
ことさら何かを強調するコメディの色合いが楽屋に満ち始め、すれ違うは埋まっていく。喉に詰まった鬱憤は張れていく。
…ように、見える。
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— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

『笑いが差し込まれたから大丈夫だろう』と、緊迫に詰まった息を吐き出し、酸素を求める心理。
それを知り尽くしてネタを貼ってくる、なかなか面白い展開である。
まぁここの和やかさも当然、嘘ではないんだけども。
嘘じゃないからこそ、取り戻しきれないのがキツいんだけども。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

百の情を判ってあげる陸の甘えを、厳しく糾弾する天と一織。情で動くものと、理で世界を認識するものの、間に生まれる越えれない溝。
Re:valeが擬する男女陰陽の交わりに引っ張られるように、各キャラの属性、その関わり合いが浮かび上がってくるのも面白い。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

情も理も、両方あって面白い。
それはそれぞれが持つ個性であり、バラバラの世界認識を繋ぎ合わせ、すり合わせるから生まれる色がある。
分かり合えないと嘆きつつも、それでも分かり合おうと近づくのは、やっぱり好きだから。
なんだかんだで、やっぱりLOVEなのよ。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

仲間の茶化しと助けを借りて、ついに言葉にしたI love you。
これにて一件落着、ハッピーエンドでレッツゴー！！
って、終わるわけねぇのよ。”アイナナ”よこれ。
龍之介がわかりやすいフラグ立てしてくれて、『お前の善良が…今は道化ッ！』って感じ。
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— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

ド気障…だけど、百がずっと欲しくて不安だった永遠保証は、鏡には映らない。実像と虚像はこの時、Re:valeの二人の間でしっかり混ざっている。
ということは、信頼と親愛が問題ではない、ということだ。それは、確かにある。銀色野郎…お前はBig Love人間。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

不安に強く傾いだ世界。見えない出口と、ガラス越しの不安。街をうろつくゼロの亡霊と、ピンク色の毒薬。
偽ゼロの話が出ると天あにがアップになるの、やっぱ”九条”の影を暗喩してんのかな。アイツ、ゼロ強火担過ぎんだろ…。
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— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

心は無限の力の源であると同時に、いくら探っても答えの出ない深い海でもある。
もしかしたら、本当じゃないかもしれない。本当に思うことを、伝えられてないかもしれない。
その疑念はずっと二人に突き刺さり、お互いを縛る。それを思い切る切っ掛けが、どこから来るのか。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

そしてヤクブーツは使われているのか。謀殺未遂に児童略取、薬物投与…まるで犯罪の博覧会だな九条鷹匡ッ！（推測）
薄暗い現実の最前線で体張ってるアイドルちゃんに対し、魔術師はいつでも舞台裏から手をのばす。証拠は残さず、傷つきもしない。
それが、卑劣なのか賢明なのか。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

ここら辺、フロントに立つ表現者と、それを後ろから支えるバックヤードの違いでもあって、なかなか面白い。
紡ちゃんだと善性を加速させる光になるものが、あの黒い魔術師を通すと謀略、暴力、姓喰いになんのよね。いいシャドウだわ…。いや、証拠はないんだけどさ。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

紡ちゃんは『アイナナが好き、アイドルって凄い！』って気持ちをぶん回して自分が動き、時に最前線で大声エールを送る。そこには、”好き”というエゴが誰かを支える絆に変わる、幸福な転化がある。
対して九条の悪行は、”好き”という絆の喪失が、邪悪なエゴに落ちた薄暗さが匂う。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

ここが善悪の境界線なんだろうなー、と思うが、後の四葉兄妹、隣り合う壮五の難しさを見ても、誰かを思う気持ちが必ずしも、誰かの幸福に直結するわけではない。
それは迷い、止まり、刃となったり毒となったり、様々に姿を変える。奇跡も起こせば、呪いともなる。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

様々な色が入り混じり、祝福と呪詛、虚像と真実が舞い踊る。
そんな不思議な人生舞台を、濃厚な感情と因縁、”家”をめぐる諸相で多彩に描く。
アイナナが”虹”モチーフなのは、良い象徴系だなぁ、と思う。
凶兆であり吉兆でもあるからね、アレ。あと多様性のシンボルでも。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

Re:valeの希望はまだまだ遠いとして、アイナナ本体も…つーかMEZZOもまだまだ大変だぞッ！
呑気にコッコーナの話題で仲良く喧嘩する、アホにーちゃんたちを横に置いて。
壮五は”四葉”の間に立つ自分を、どうするべきか思い悩む。
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— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

百サンのやべー事情が話題に出てる時、環が自分の携帯を気にかける粗雑さ、思いやりの無さ（に見えてしまうもの）が、巧い挿話である。
彼は壮五と向き合う中で、愛を取り戻し自分を形作りつつある。”いい子”になりつつある。
でもそれは、まだまだ発展途上の未完成。当然、漏れるものもある。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

壮五を導く非常口。表玄関から堂々話題には出せない、ナイーブな爆弾。
理。上につくのは四葉、あるいは九条。
複雑怪奇な明暗に思いを悩ませるのは、”四葉”ではない壮五である。その成熟が引き受けるのは、『いらない荷物』などではけしてない。
他人でも、だからこそ、背負いたい想い。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

見られすぎた自分と、見られなさすぎた環。
鏡合わせの自分たちを認識して、壮五はかなり環が好きになっていると思う。環が好きな自分を、肯定的に見れるようになっていると思う。
だから、余計ごとにも首を突っ込む。他人事を自分の悩みとして、引き寄せる。
それって、優しいし偉いじゃん。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

そういう繊細さを気にもかけねーのが四葉の”血”であり、理は足プルプルさせながらのバックアタック。身長差がある時は、後ろから膝を蹴って崩すのが良いよ！
暴力的な口封じを、振りほどいて対峙する。
木と木が作る額縁。すっぽり収まる二人の狭間、ガードレールの断絶。
©BNOI/アイナナ製作委員会 pic.twitter.com/WEfE0t2OhU

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

右側の広漠なスペースが、この対峙がまだ埋まらざるディスコミュニケーションに満ちたものを、闇の中雄弁に語っている。
こういうバッキバキのレイアウトを切らせたら、やっぱりあおきえいは凄まじい。光源の配置、画面の明暗、全てが緊張感と美麗に満ちる。良すぎる。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

壮五が叩きつける正しさを、飲めない少女の情。オメー名前に”理”入ってんのに、理屈全部蹴っ飛ばしてんじゃねぇか！　…兄貴が”環”なのに、周り全然見ないのと一緒か。
砕かれた”四葉”を取り戻そうとする、兄の願い。それを分かりつつ、判るわけには行かない。
©BNOI/アイナナ製作委員会 pic.twitter.com/FQISQHYYUD

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

戻れば、九条が孤独になる。歪みを抱えたまま、闇に沈む。父として男として鷹匡を見る情に、共依存と父子共犯の臭いが軽く漂い、俺の眉間がしかめられる。
あのさぁ…子供拾ってくるのは良いけど、どす黒いハラワタ同情されて、恋情混じりの鎖で勝手に縛らせて、”親”みてーな顔すんの止めねぇ？

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

ここまで色んな子が、様々な角度から”家”に呪われ（あるいは新たなる”家”たる小鳥遊に救われ）てきたけども、理ちゃんは一番良くない形で、現在進行系で”九条”に食われてる感じがある。
まー彼女の実感として、”九条”であること、なれたことが救いなのも判るけどさぁ…。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

まー自分的に、鷹匡から溢れるエゴ、身勝手な狂熱を身ノ内で修められない無様さが、キモくてキツい、って話なんだろうけど。
心の中の間仕切りがぶっ壊れてるんで、弁当箱からエゴ汁が溢れてきて、ライトは落とすは子供は攫うわ、マジやりたい放題なんだよなぁ…。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

でも”アイドル”を書く以上、ちっぽけな個人から溢れたものが誰かに届き、変えていける感染性の奇跡ってのは大事で。
思いをどす黒い呪いに変えて、色んな奴らにぶちまけてる魔術師の存在は、作品を彫り込むカウンターウェイトとして大事なんだろうなぁ。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

おまけにストイックな”才”は天にこそあって、だから””九条”を分けるくらい期待も支配もしてる。その偏りに、理ちゃんも複雑な感情を抱く。
崩壊した家庭からすくい上げられ、”九条”の子としての幸福を支えに、己を立てる兄妹。そこに混ざる思いも、一筋縄では行かない。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

鷹匡、親である以前にアイドルキチだろうから、子に果たすべき公平さよりも、理想を叶えうる”才”を見て立ち回っちゃうんだろうな。
それを子（と同時に妻）の立場を求める理ちゃんが肌で感じとって、兄貴への隔意にも繋がってると。
ちゃんと大人…つーか”人間”しないアイツが、大体悪いな…。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

真相をしっかり聞く前に、言うだけ言って消えた少女。
取り残された壮五に、何も知らない無邪気が迫る。
進むべきか、留まるべきか。
青、黄色、赤。心のシグナルは複雑に、勝手に回転を始める。
©BNOI/アイナナ製作委員会 pic.twitter.com/nd9dzxhhsD

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

妹との対話を中断したのも、TRIGGERのファンであったように。
壮五と彼を取り巻くした親しい人は、みな顔のない人々の勝手な言葉の只中で生きている。三月がそれにぶっ刺され死にかけたのは、記憶に新しい所だ。
毀誉褒貶は偶像の宿命。判っていても、嫌われてほしくない。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

環は気もそぞろな壮五の手を引き、先に行く成長を見せている。
アンタが好きで、アンタが好きでいてくれる俺も好き。
そんなシンプルな人間の真実を、純粋に信じて前に進めるようになってる。あ、アタイのベイビーちゃん…。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

しかしそんな環の”今”を…他でもなく、それを駆動させた自分自身を、壮五は見えていない。
こうするべき、どうするべき？
そんな”正しさ”の鎖は相変わらず彼を掴んで、簡単には離さない。
迷妄のモノローグに『こうしたい』が無いのよね…。
©BNOI/アイナナ製作委員会 pic.twitter.com/OOOVJXTHLM

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

『目を閉じずに、目の前の環と自分を見なよ～！』と、外野からは気軽に言えるけども。
”家”で生き残るために刻み込まれたスタイル、それが生み出す不自由さは、早々簡単に消えはしない。
環…お兄ちゃんはお前のために悩んでくれとるんやで？

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

そう言われるだろう環も、自分の愛が妹の枷となりかねない状況に置かれている。
愛は何よりも強く、だからこそ全てを縛る。
迷妄無辺にして、人蒼天を知らざるなり。
二人の間に、断絶の柱が高く立ち上る。
MEZZO…マジで一進一退の二人三脚。めんどくさくてSUKI…。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

そして俺達の人魚姫も、喉から絞り出せない愛の行方に苦む。
足元に広がる無限の闇に、確かに降り積もる”雪＝ユキ＝千”。純白の愛、確かに其処に在り。
誰だよ毒薬混ぜたやつ！　ぶっ殺してやるよ！
あ、千サンはBig Love特赦で無罪ッス。今まで散々言ってサーセンした。
©BNOI/アイナナ製作委員会 pic.twitter.com/TQWi3g1ghb

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

アコースティックに奏でられるEDが、千の純情を歌う。
”ミライノーツを奏でて”というタイトルに刻まれた、暗がりを越えて未来の音を掴もうとする意志。
自分に白い希望を届けてくれた、その思いを素直に綴った歌詞が、今は痛い。
分かりたい、分からない。愛の迷宮、アリアドネの糸は何処…。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

という感じの、やっぱり大激震！　アイナナ油断ならねーな回でした。
百が血を吐くように開示する過去が激重で、『おいおい
千サン、コイツはとっととブッといのねじ込んでやらなきゃ伝わらねぇんじゃなぇの？』と思ってたところに、バーンッ！　と大胆踏み込み、期待に答えてくれました。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

言葉で愛を伝えても、けして届かず動けない。
そんな人間の不自由が長く尾を引き、別の形で顔を出す。環と理、”四葉”の大荷物を背負う形になった壮五もまた、非常に大変です。
情で動けばこそ、理で判断すればこそ、それぞれの地獄がお互いを縛る。鎖の名は、ただ愛。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

それをジャラジャラぶん回す暗黒のアンドロメダ瞬が、今後どういう呪いをかけてくるか。
”九条””を求め与えられない理ちゃんが表に立つことで、鷹匡の悪辣は更に色を増した感じがある。
ここで父子共犯の腐臭を混ぜてくるの、恐ろしい指し筋だよなぁ…男の子だけ書いたら絶対出来ん。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

まー他の連中もどうせ地雷を抱えてるんだろうし、全く油断のならないアニメである。大好きですね。
絡み合う業と因縁、愛憎のタピストリー。冴える演出が加速させる情感の焦点は、運命のゼロアリーナ。
まだまだ盛り上がるアニナナ2nd、来週も楽しみです。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

自分の中で今熱い浄瑠璃とRe:valeの描き方が重なった興奮で、『百がくゆらす焦がれ尻淫れ尻、はっしと掴んで愛を注がにゃ、間夫の想いも伝わりませんぜッ！』みたいなことを書こうとして、下品過ぎて消したのは秘密だ。
今書いてるけど。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

追記　カチャリ、カチャリ。さぁ牛乳瓶とコーヒーカップを持って、ミルク・コーヒー・ダンス。

アイナナ追記
壮五が環を見れないのは、”良い子”じゃなかった彼に散々ぶん回され、色々言われてる（けど、理解してくれる人もいる）現状に目が奪われすぎて、足の置き場がないからだ。
外野のノイズがデカく聞こえるのは、それをぶっ飛ばすほどにデカい信頼がない、ということでもある。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

ここら辺が五年、代用品と怯えつつも大量の絆を積み重ね、夢を一緒に掴み取ったRe:valeとの年季の差が出る所で。
それがあった所で信じきれないのが人間の難しさだが、少なくとも大丈夫と思えるところまで、遊戯を経て踏み出すことは出来た。
貴方が一歩、私が一歩。そんな人間関係のダンス。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

これが今の壮五には踊れない。
環は一歩差し出しているのに、そのリードが見えてない。
そこは若さ、児童期メッタにされた腰の弱さ、環が感情むき出しで暴れ倒したおしり拭きに奔走した実感が、色々混ざりあった目隠しか。
最善手じゃ当然ないが、その迷いは判る。ある程度しゃーない。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月23日

過剰な自分と欠けてる環を認識して、相補おうと思えたのに、いざとなると『べき』が縛る。
本当にアイナナの人間描写は、どうにもならない業とどうにかしようともがく情理を上手く絡ませて、非常に面白い。
上手く行かないからこそ、上手くやろうと頑張って、だからこそ強張り間違える。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月23日

そこから生まれる傷も含めて、全て愛おしいと悟れたなら、どんなに楽だろうか。
でも、そんなふうには思えない。迷える衆生は偶像を求め、神様だって血を流す。
男性アイドルという枠組みを通じて、複雑怪奇な人間の面白さ、複雑さ、ままならなさと尊さが見えるのが、アイナナ好きな理由…の一つか。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月23日

ラブライブ！ 虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会：第8話『しずく、モノクローム』感想ツイートまとめ

ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会を見る。
桜坂しずく。
スクールアイドルにして女優。
演じることで、真実を隠す少女。
陽炎のように、追いかければ逃げる親友の心を追い求めて、中須かすみが走る。
明暗が入り交じる人生の舞台に、交錯する思い。
嘘も真も、全てを抱きしめられたのなら

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

という感じの、今回も強い！　ニジガクアニメ第八話である。あの第七話の後に、この話出来るのって本当に凄いな…。
話運び、テーマ性、演出、ステージ。全領域でとにかく凄いのだが、キャラクターを見せるエピソードとしての強さ、多様性がまず目立った。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

率直な印象として、ここまでしずくは印象が薄かった。
演劇要素も軽く撫でるくらいで、他キャラクターの復帰にも深く刺さらない。
あっさり風味の萌え記号、典型的な正ヒロイン顔。
露悪的にいえばこういう印象を、凄く上手く逆手に取ってきたと思う。ここら辺はかすみやエマちゃんとも共通。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

『まぁこういうキャラっしょ？』みたいな視聴者側の余談の裏側にある、しずくだけの苦悩と強さ。
それをガンガン、強い画作りと関係性描写でぶつけることで、ナメて上っ面をなぞった理解自体が僕を殴る感じに、話が転がっていった。
二足のわらじを履いていること、演劇者であること、優等生な印象。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

これらの要素全てに、しずくだけの苦悩と強さがあることを、黒と白の心の中のステージ、明暗が複雑に入り交じる教室（無印八話との呼応！）を活かすことで、しっかり見せてくれた。
ペラい書割だと思っていた子が、人間性の複雑な陰影を兼ね備えていたと判る、驚きと喜び。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

そこに『一年組』にフォーカスを絞った話運びが絡まり、今まで知らなかった中須かすみ、第六話を超えた先の天王寺璃奈が、グッとこちらに迫ってくる。
前回”みんな”の強みを描いた後に、三人だから、二人だからこそ繋がる関係を描く。
この過去話の活かし方も含め、テクニカルで熱のある話になった。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

物語は黒と白の舞台から始まる。
黒は影、嘘と隠蔽。白は光、真実と正義。
そういう一般的なイメージを大きく越えて、今回はモノトーンで複雑な絵を書く話である。
表に立つ白くて綺麗なしずくは、その実仮面をかぶった嘘。
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— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

素顔の自分を見せられない黒こそが、コンプレックスや醜さも引っくるめた、しずくの”本当”…でもある。
影と光が手を取り合えない、心の中の劇場。
これを切開し、演じることと曝け出すことの境界線を超えていくのが、アクトレス・桜坂しずくの課題となる。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

この白と黒の複雑な関係は、最終的にはかすみと対話する教室に凝集していく。
ここの明暗表現は非常に複雑かつテクニカルで、正直ここ最近見たのアニメで、一番凝った演出かもしれない。
白と黒の交錯でペルソナとエゴを描く手法は、”ツイン・ピークス”を少し思い出すかな…。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

心の中の劇場を誰も覗かないまま、同好会は学内新聞の取材を受ける。既に自分のエピソードを終え、素顔の自分を堂々さらけ出せるようになった面々。
それに比べ、しずくは当たり障りのない、表層だけの笑顔で取材を受け流していく。
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— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

記者のテープレコーダーは画面の真ん中を遮るサッシに拒絶されて、しずくの内側には入っていかない。
その防壁を部長も判っていて、しずくに当て振りしたはずの主役を取り下げようとする。
周囲を鏡に取り囲まれていても、しずくの内側は見えない。実像をトレースする鏡像は、独自の本音を喋りださない

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

この”遠さ”は、ここまでのエピソードを通じてのしずくの見えなさ、キャラ立ちの薄さとシンクロしている。
視聴者（というか僕）にとって彼女がどういう人かは、さっぱり分からない。
鏡の仮面で顔を覆っているのは、これからさらけ出す、というサインでもあろう。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

ここに切り込んでいくのは、同じ一年の中須かすみである。
今までブリブリな根性悪アイドル、しずくとは別の角度から”演じるもの”として描かれた彼女は、今回すごく率直な『友達を案じる高校生』の顔を見せてくる。
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— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

それは意外な表情ではない。
第2話を見れば…あるいはそれ以降、彼女なりの真剣さでアイドル活動に勤しみ仲間を支える彼女を見ていれば、熱く篤い女だとはよく判る。
そんな彼女からも、しずくの影はドア越し、ガラス越しでよく見えない。しかし、かすみはそれを見ようとする。
何故か。友達だからだ。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

”アイドル”の一塊から少し離れた場所から、学内新聞を持ち出す侑ちゃん。彼女のファン代表としての立ち位置が良く見えるレイアウトだが、かすみは新聞ではなく、目の前の人間を見続けている。
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— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

いつもどおりの笑顔と安心して、スッと差し出された演劇の記事。それは降板を告げられたしずくの鏡であり、フッと仮面を突き破って内心が出てくる。
その表情を、かすみだけが見逃さない。ハッピーで楽しいアイドル活動…かすみんが大好きな輝きから、親友だけが遠い。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

今回侑ちゃんは遠景に下がり、問題解決は主にかすみと璃奈ちゃん、そして演劇部部長に預けられるわけだが。
これは今まで見てきた”アイドル”中須かすみの、バリバリに作った顔、負けたくないから汚い声も出る表情とは、違う側面を書くためだと思う。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

侑ちゃんは”ファン”なので、同好会一アイドル意識が高いかすみの隣に彼女がいると、どうしても”かすみん”を演じてしまう。
それはそれで彼女の真実なのだけど、今回の突破口はマブダチが大好きで力になりたい、愚直で普通の”中須かすみ”が突破口になる。なので、一年トリオの描写は多い。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

一人で悩んでいても、状況は良くならない。
同好会復活騒動で学んだ教訓を即座に活かし、かすみは璃奈ちゃん…とクラスメイトに、素直に相談する。
第6話冒頭を思うと、璃奈ちゃんがこの距離感で友達と話せているのが嬉しい。
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— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

かすみがここで璃奈ちゃんに話を持っていくということは、『親友の課題を一緒に背負ってもらうだけの筋力が、彼女にある』と信頼してる証拠だろう。
普段はキャンキャン対抗意識を燃やすが、中須かすみは根本的に、アイドルを、他者を信じてしまう。ジョイポリスライブでの奮戦を至近で見、信頼がある

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

親友達が”桜坂しずく”攻略の足場を整える中、当人は明暗の檻の中にいた。
己をさらけ出せ。
部長からのオーダーを反芻しながら、しずくは黒い自分の声を聞く。素顔を見られない、見せられない本音は、個性と孤立を恐れている。
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— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

”個”は虹ヶ咲の大きなテーマだと思うが、それは断絶と常に隣り合わせだ。
世界に一人しかいない私であることは、大きな価値と同時に軋轢と孤独を生み出す。
それで生まれた傷で、仮面を付けて自分を守る。それを外すには、”良い子”に慣れすぎている。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

それでも誰かに届けたい。ステージの上で、虚実が入り混じった感動を呼び起こしたい。
そんなジレンマに膝を折って、しずくは手のひらで顔を覆う。どんな表情を作っていいか判らない、白い彼女の仮面である。
それを自力で引っ剥がすことは、今のしずくには出来ない。誰かの助けが必要だ。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

というわけで、マブダチ爆弾行きますッ！
戯けてとにかく楽しい風味に、本気の笑顔を引っ張り出す。中須、そして璃奈ちゃん…君ら偉いよ…。
かすみはとにかく前に出て、しずくにむかって手を差し伸べていく。
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— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

それに礼儀正しく乗っかって、しずくは楽しい自分を作る。みんなが望む自分を感じ取るセンサーは、第二の天性として磨き上げられている。
全部が全部、嘘じゃない。でも作り上げた防壁は、簡単には崩れてくれない。踏み込んでくる相手が、親友でライバルだったとしても。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

”好き”なはずの往年の名女優を前に、しずくは強く表情を曇らせる。その”個”が孤立に繋がった過去、生まれた仮面と鎖。
その薄暗さに璃奈ちゃんは共鳴し、かすみはよく判らない。
彼女は自分大好き、いつも可愛いかすみんだからだ。
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— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

それぞれがバラバラの”個”であるこということは、価値観のギャップ、心を奮い立たせるメソッドの違いを生む。
しずくが心に飼っているのは黒い少女であり、自己評価も世界認識もかなり暗い。
不屈でポジティブなかすみよりも、顔を上手く作れない自分に思い悩んだ璃奈ちゃんに、実は近い。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

この段階のかすみはその断絶に自覚がなく、自分のスタイルを押し付けてしまっている。
相手の影の中に踏み込み、自分もじつは持ってる薄暗さを溶け合わせる準備が、まだ出来ていない。
璃奈ちゃんが後に教えるように、それは世界でかすみにしか出来ない歩み寄りなのだが。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

今回のエピソードは、ここまで称揚されてきた”個”の薄暗い側面、バラバラの認識に橋を架ける難しさを、かなり丁寧に追う。
あらゆる物事がそうであるように、長所は短所と裏腹だ。薄暗い真実をちゃんと描かなければ、テーマと選び取ったものの真価は見えてこない。
そこを暴き、止揚する回でもあろう。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

笑顔を作って背中を向けた先は、薄暗い心の谷間。
光に入りかけた瞬間、画面を覆う心理の緞帳。共に光を浴びていたはずの白と黒は役割を転じ、スポットライトは影であるはずの黒に降り注いでいる。
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— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

ジレンマを突破するための正解は、思い悩んで動けない表のしずくではなく、心の奥底で顔を隠している黒のしずくが持っている。
勇気を出して、自分をさらけ出す。
それが答えなのは、しずくにも理解っている。しかし、踏み込めない。友達も信じきれないし、自分も好きになれない。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

黒が光の中から差し出した手を、影の中の白は（まだ）取れない。
友達の前では見せないズタボロな自分を、奮い立たせる力がしずく個人からは生まれてこないのだ。
このどん詰まりの状況を一回描いたことで、お話の難しさ、乗り越える手応えはグッと強くなっていく。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

（黒と白に塗り分けられた心理≒真理、それが混ざり合う灰色の蠱惑は、”白鳥の湖”のオディットとオディール、あるいはそれをモチーフにした”ブラック・スワン””プリンセスチュチュ”あたりと、並べるべきネタなのかもしれない。舞台の話だし。）

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

かくしてかすみは、上手く踏み込めなかった試みを反芻する。
自分が大好きなので、自分が好きになれないしずくを”頑固”と受け取るかすみに、”陰”の気を持つ璃奈ちゃんが助け舟を出していく。
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— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

しずくとの向き合い方が自分では解らないかすみを、璃奈ちゃんがヒントを出して動かし、それがしずくの自縄自縛を解いていく。
真心のドミノが非常に気持ちいいが、それは支えてくれた”みんな”の一人である、かすみへの恩返しでもあろう。
瞳に宿った強い光、それを隠してつぶやく”ファイト！”

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

璃奈ちゃんがあの六話を経て、どういう人間になったのかが鮮烈に見えて、凄く力強い描写だった。
彼女は内向的で頭が良いので、自分が何を考え、何に苦しんだかを鮮明に言語化できている。
自分の影と向き合った…向き合わせてもらえたからこそ、掴んだものを手渡せる。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

そうさせてくれたのは、愛さんが…特別な誰かがいたから。まさかの本人不在から、超強火のあいりな爆弾投下とは…。
『貴方こそが、しずくちゃんの”特別”なんじゃないの？』
そう、璃奈ちゃんは問わない。弱さを飲み込む変化は、誰かの助けを借り、自分の足で進むことから生まれることをよく知っている

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

ここで璃奈ちゃんがかすみの決意、やってくるだろう喜ばしい変化を”みんな”に伝えて、勇気を寿ぐ首飾りを作る描写があるのが、マジ凄いと思った。
ここがあるだけで、三人だけの問題解決になんないんだもん。”みんな”に意味が出てくる
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— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

というわけで、運命の教室に舞台が移る。あまりに劇的な天然照明の白黒は、複雑な乱反射の中にある。
表に出るもの、裏に隠れるもの。
見えるもの、見えないもの。
影と光は入り混じり、シンプルな答えはここにはない。
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— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

窓際の薄暗さは、お台場デートでは見えきらなかったしずくの陰りであり、かすみは闇を超えて光に入り、また影の中に入っていく。
自分がそれを感じなくとも、あるいは耐える強さを持っていても。親友の瞳の奥にある、陰りを見ようと歩み寄る。
ある意味、”桜坂しずく的存在”になろうとしている。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

同時に影の中の中須かすみは、どうやっても”中須かすみ的存在”でしかなくて。
笑顔の仮面で自分を守ろうと、影の中に引っ込もうとするしずくの手を強く掴んで、光の中に曝け出す。
暴かれる瞬間を待つなら、その暴力性が今は正しい。
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— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

中須かすみに明暗の複雑さはない。
正確には、自分にも伸びてくる陰りを必死に振り払って、可愛い自分、夢をつかめる自分を演じ、信じようとしている。
自分が好きなかすみんで居続けれるように、必死にあがいている。それは、第1話からずっと続いている。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

スクールアイドルが、”みんな”が集まる同好会という場所が心から好きだから、無様にあがいても守りたかった。
だから、看板だけでも守りきろうとしたのだ。
そういうひたむきな強さを、やっぱりこの少女は持ち続けている。
自分が好き。アイドルが好き。それを譲らない”陽”が、ひどく眩しい。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

かすみの踏み込みを受けて、しずくは笑顔の仮面をようやく外し、臆病で嘘つきで弱い自分…黒い影をさらけ出し始める。
個性故に、孤独を感じた過去（これをあくまで間接描写で終わらせてるのも、当世の巧みなストレスコントロールか）
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— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

嫌われるのが怖い、そのためなら夢に背中を向けても良い弱さ。
仮面を付けている自分を吐露する時、しずくは光の側に向きつつ、その表情は影に入る。かすみは逃げ出した親友の顔を、見れない場所にいる。
その弱さは、かすみには解らないのだ。それが”個”である事の、もう一つの顔だ。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

その上で、中須かすみは光の中で拳を作り、思い切り突き出す。
分からず屋の甘えん坊に自分を力強く突きつけ、無理解ゆえの共感と理解を、デコピンに乗せて届ける。
あくまで真っ直ぐ、寄り添うなんて器用さはない。とても”らしい”。
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— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

かすみが突きつけた想いにしずくが向き合うこの姿勢は、しずくの暗さが分からないかすみが、それでも共通の痛みをなんとか届けようと、影の中に踏み込む間合いでもある。
自分が影から遠い存在であっても。他人の『嫌い』で足を止めない心の持ち主でも。
親友が足を止める場所は、自分にもある。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

ここで『嫌われてる』ではなく『好きになってくれない』という言葉を使う所が、自分大好きなかすみんらしい世界観だな、と思うけど。
そういう相手を振り向かせるためにも、”好き”になれる自分を演じる。どんどん近づく。
かすみの演技は、守るための仮面ではなく、攻めるための武器なのだ。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

『可愛い！？　可愛くない！？』
かすみんにとってはレゾンデートルに関わる大問題を、ぐいっと突きつけられてしずくはたじたじとなる。膝が崩れ、姿勢が低くなり、窓から入る光を遮るものがなくなる。
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— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

ここの細やかな明暗操作が、しずくの心の中で演じられていた白と黒の対立に、変化が起こったことを鮮明に、繊細に表現している。
黒は白に変わり、『いや…あんま…』という本音は表に出かかる。そういう変化を引き出したのは、かすみの無遠慮な踏み込みなのだ。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

『かすみん可愛いよッ！』と、僕の頭の中の狂人が大声で吠えてるが、それは無視をして。
判らない、判ってくれないと内なる暗闇に閉じこもる相手には、時に強すぎる光を突きつけてでも、想いを引き出すことが大事になる。
そういう仕事を、中須かすみはしっかり果たせる。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

それは瞳の奥の暗さも含めて、しずくの全部を見よう、引き出して受け止めようとする強さと優しさが、中須かすみにあるからだ。
その光がしずくに入り混じって、彼女もまた強くなれる。でもそれは、自分の中にあったものを、仮面を付けていた自分を表舞台にさらけ出した結果でもある。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

陰と陽、正反対のはずなのに、縁で繋がってお互い大好き。
そんな二人の不思議な関係が、求めていた答えにしずくを引っ張っていく。
ダイスキだったらダイジョウブ。
昔の人は、良いことを唄ったもんだ。
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— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

激情に突き動かされ、ど真ん中LOVEを突きつけるだけ突きつけて逃げていってしまう、中須の強さと弱さ。
自分がどんな存在だろうと、愛し受け止めてくれる存在への信頼を叩きつけられ、しずくの瞳に光が宿る。
それは影と光が入り交じる、決定的な化学変化。
貴方が大好きな私を、私も好きになれた瞬間

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

こういう、ライ麦畑で落ちかかった子供を危うく拾うような力強い肯定こそが、人間の魂を支える。
中須かすみ…道化師の振る舞いに、強い信念と熱い魂…燃える”好き”を持った女（ひと）。
キミを見ていると、やっぱり宇宙No1アイドルを思い出してしまう。好きだなぁ…。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

しずくは作中最高の笑顔でようやく笑って、光に向かって窓を開ける。風が未来に向かって吹き、髪が自由にたなびく。
ここで、光と影はようやく一つにまとまり、しずくは仮面を外す。あるいは、本当に付ける。
真実”演じる”ようになる
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— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

しずくの明暗を突破する”特別なあなた”がかすみなのは、同い年の気安さ、”アイドル”しない少女の本音…だけが理由ではなかろう。
かすみんもまた、キャラを作って演じている。だがそれは、答えを掴むまでのしずくとは真逆の、自己肯定に支えられた演技だ。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

好きな自分を、好きなアイドルを、堂々好きと言うために、自分を演じる。
そんなかすみの光を、愛を叩きつけられたことで、守り逃げるための防壁だったしずくの”演技”は、壁を壊して自分をさらけ出していく。
嘘と本当は、いつも近い場所にあるのだ。役者とぶりっ子、そこが似てる。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

そうしてたどり着いた、主演の舞台。なんかつえーオーラだしてる他校の生徒も見守る中、しずくは”みんな”のエールを受けて、堂々センターに立つ。
やっぱ強豪他校が顔出してくると、グッと世界広がってテンション上がるなぁ…。
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— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

鏡の中微笑むもうひとりの自分に、しずくはもう怯えない。
仮面を付けていても、いなくても。
顕な黒でも、隠された白でも。
そのどちらも自分で、暴いても怖くないくらいに好きになれたから。好きなのだと、貴方が教えてくれたから。
中須の視線が熱いぜ…。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

心の中だけで演じられ、結末にたどり着けなかったグリザイユの葛藤。それは部長を鏡役に実体化し、融和のドラマを生み出していく。
内面シーンと身長が違うの、イマージュとリアルを細かく書き分けて、極めて繊細な演出だと思います。
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— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

白は影の中に、黒は光の中に。矛盾するように思われた嘘と真実、好きと嫌いは複雑に混ざり合って、私の輪郭を縁取っていく。
矛盾が止揚される物語的カタルシスは、その実しずくの個人的な体験…マブダチと本気で向き合ったあの教室のドラマを、強く再演している。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

その演技を掴んだ裏に、個人的な…あまりに個人的な衝突があったことを観客は知らないだろう。
だが…だからこそ、舞台の上で抽象化された白と黒の融和、二人の私の和解は客席へと通じる。
自分をさらけ出すことでしか、人を動かすような嘘は生まれ得ないのだ。これもまた、矛盾の融和か。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

すこし視線を拡げてみると、白と黒の境界線はスポットライトに彩られた舞台と、照明を落とした客席にもある。
演じるものと観るもの、その境界線もまた、ステージの上で最高の演技を歌い上げる中で、感動に溶け合っていく。
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— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

激しい雨の中、見つけた光。時間すら止めてしまうような、圧倒的な表現。
台詞はないのにドラマを感じてしまう、圧巻の歌とダンス。見事な組み立てで見せられる女優/＝スクールアイドル”桜坂しずく”の、いくつもの影。
黒も白も、沢山の私がいていいと思えたから。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

心を濡らす雨を止めるのではなく、その只中で踊る手段を見つけたダンスは、複数照明による影が多重に走る。
そうすることで、見つけた私だけの空。
美しく晴れ上がり、隠すものなどどこにもない。それでも、何も怖くない。
私は、私だ
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— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

そんな境涯が強く焼き付く、圧巻のステージでした。
このステージの（少なくとも一部以上）を観客も現実として共有すると考えると、なかなかに趣は深いですね。
舞台が切り取るもの、演出のプラニングを想像しながら見るという、観劇の楽しさを見事に取り込んだ、しずくらしいステージだと思います。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

やっぱ璃奈ちゃん以降、より広い場所、より現実的なアクティングとして、スクールアイドルの輝きを凝集したステージが形になっているのが、同好会が世間に認められ、”好き”が、”個”が広がっていく手応えをシッカリ裏打ちしてる印象です。
デカい目標追ってないのに、強くなる実感が確かにある。巧いわ

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

桜坂しずくが新たに己を問うために必須の共演者、鏡、ドッペルゲンガーが、演劇部部長なのがやっぱ良いんですよね…。
同好会の外にも、しずくの魂を支えてくれる人がいる。二つの足場を持つからこそ、描ける豊かさがある。
©2020 プロジェクトラブライブ！虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 pic.twitter.com/2epEOYsaSr

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

そんな豊かさを短い舞台袖のカットに塗り込めたことで、二足のわらじを履くしずくだけの強さ、”個”が見えた。
ようやく誰かに自分を見せて、”好き”を堂々世に問い、受け止める姿勢ができた最高の笑顔と合わせて、素晴らしいエンドマークでした。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

そして強キャラオーラ漂う他校のスクドルが、果林先輩をロックオンして次回に続くッ！
一人ひとりが熱く激しく己に迷い、友とぶつかりあった結果、デカくなってきた虹ヶ咲。
その実感が、外からの視線で鮮烈になる。
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— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

さぁ、ここから何を書くか。非常に楽しみになる、見事なエピソードでした。こんだけ細かく映像を解したのも、自分的には久々かな…。
見応え、熱量、巧さ、誠実。様々なものが24分間、過不足なく見事にまとめられ、”虹ヶ咲”の強さを象徴するようなお話だったと思います。つえーわマジ。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

実際『こんだけ凄いの見ると、これ以上は…』っていう軟弱な予防線を、こんだけ堂々ぶっ壊す仕上がりってマジ凄いです。
中須のこともっと好きに慣れたのも、最高にありがたかったですね。もうみんな大好きよアタシゃ…（オタク敗北宣言）
次回も楽しみです。”越えて”くるだろ、間違いなく…。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

ご注文はうさぎですか？ BLOOM：第7話『今夜は幽霊とだって踊り明かせる Halloween Night!』感想ツイートまとめ

ご注文はうさぎですか？ BLOOMを見る。
木組みの街に、万聖節が訪れる。
全ての善き人が際を超えて、死者の国から戻り来る特別な夜。
生者は傷追い人を憩い、死者は言葉なく少女と触れ合う。
その奇跡の意味を知らずとも、ただ静かに積み重なるものにこそ。
誉れと祝福あらんことを。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

そんな感じのごちうさハロゥイン、不在なる母の詩である。
祭りの陽気と笑顔が一杯、マメの健気さが唸りを上げるAパートも良かったが、死と生が触れ合う優しい夜を描ききったBパートが、亡霊譚として圧倒的な仕上がりを見せ、大変素晴らしかった。
死が家族を分かつとも、胸のうちに永遠あれかし。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

ごちうさ三期は見る度、ゆるふわ萌えアニメを越えた”揺さぶり”を僕に与えてきた。
それが作品への過剰な思い入れ、チノちゃんが好きすぎて頭のおかしい人の過敏反応なのかなー、と思いつつ見ていた部分もあったが、この話を見て確信した。
このアニメは凄いです。凄いことを、凄いと誇らずにやっている

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

あくまで口当たり柔らかく、胃に持たれない優しい日常を保ちつつも。
チノちゃんの根底にある”死”のショック、そこを超えて進んでいける成長と、それを支え導いてきた人々との触れ合いを、このアニメはずっと切り取ってきた。
人は宿命の中で別れていくし、時は立ち止まってはくれない。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

その残酷さで作品の底を支えつつ、妹気質を抑えてチノちゃんの”姉”たらんと走り回ってきた、ココアさんの偉大なる愚直。
幾度も重ねた愛の手渡しが、チノちゃんを哀しみの岸から羽ばたかせた事実。
それを踏まえた上で、今回は万聖節…死者が地に戻ることを許された日が描かれます。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

ココアさんが迷い込んだ、青い冥界。そこで出会った、言葉なき魔術師。
生のオレンジから呼び声が届き、少女は此岸へと、愛しい人が待つ場所へと帰還していく。
そんな彼女に手渡された、形なき祝福。死すら奪うことが許されない思い出を、華やかに咲かせる魔法。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

それは直接に娘と触れ合うことを許されない亡霊が、現世で寄り添う”姉”に託した優しさだったのでしょう。
冥界から漂う母の残り香に涙しそうになったチノちゃんを、ココアさんは手を引き、母の思い出を共有しながら光の方へ、生の側と駆けていく。
そんな風に、人は生きていくことが出来るのです。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

”姉”に伝えるべきを伝え、星へとその実を戻した母は静かに帰天していく。
地上で齢を重ねる愛娘に寄り添うことはもう出来なくとも、幽かな夢の中で思いを託すことは出来る。
そんな死者からの魔法が、チノちゃんの健やかな歩みを照らす、南瓜の灯火となるのでしょう。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

というわけで、現し世と幽り世のダンスが踊る前に、まずは現実世界の優しさを。
ハロゥインに浮かれる木組みの街で、いつものメンツも大はしゃぎ。
メグが狼を降ろして、ちょっと乱暴な言葉遣いするの好き。あからさま言い慣れてないとこが良い。
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— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

そしてリゼとチノちゃんが飾り付けを終えて、充実感とともに微笑み合うワンカットは、凄くこの物語らしい描写だと思います。
派手な祭りが始まる前の、地道な準備。そこにも喜びと微笑みはあって、だからこそ特別な日は輝く。
一人吸血鬼の練習をする、チノちゃんの可愛らしさよ…。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

日常の裏側で営まれる”練習”をリゼが知ってるのは、職場を同じくする隣人をちゃんと見てくれてる、ってことで。
そこで育まれる信頼あらばこそ、あの引っ込み思案な子が祭りに浮かれ、ガブーっと噛みつきもするわけで。
母と祖父がいなくなっても、チノちゃんを思う人は沢山いるわけです。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

こっからマメの健気ラッシュで、台所事情が苦しいシャロにお菓子を差し出し、手首を痛めた千夜を手伝い、獅子奮迅の大暴れ。
お客としてきたのに、事情を知った瞬間『おんなじこと考えてたね…』つー呼吸で、使い魔契約ぶっ込んでくる辺、出来た子よ…
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— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

この話がコメディなのは、小さな不幸を笑い飛ばして楽しめる力も生んでいます。
あくまで祭りの雰囲気に則って、楽しいイベントとしての体制を整えたまま、千夜の不幸に手を差し伸べるマメの心遣いは、あくまで笑顔。
『手伝ってもらってる』という心苦しさが、それで上手く抜けていく。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

一見好き勝手に遊んでいるようで、年長者が気に病まないよう無邪気を演じ、心から楽しむ子供の賢さ、優しさがよく出てて、甘兎庵のマメは凄く良かったです。
育ちが良いからか、特にマの視力が良い。その癖、可愛いいたずらまで仕掛けてくる隙のなさ…。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

マメが千夜を思うだけで終わらず、千夜がしっかり小さな友達に思いを返し、別れた後別の友だちと繋がっていく広がりも、また良かった。
『ちょうど南瓜が持ちたい気持ちだったんだ！』が自然と出てくるジェントルは、リゼしぇんぱいモテるわなぁ…。
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— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

ほんとにみな優しく善良で可愛く、みな幸せになってほしいますます幸せになってほしいと、きらら実篤になってしまうわけですが。
秋の収穫に感謝する側面もあるハロウィン、お互いの優しさを寿ぎ合うこのリレーは、特別な日の輝きを強く照らしてくれます。その色彩は、常に明るいオレンジです。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

召喚の儀に答えてやってきた吸血鬼とも、可愛らしい戯れの中で笑顔を重ね、賑やかに日々は過ぎていく。
そんな風に、生きている人の繋がりが楽しい毎日を満たしているからこそ、耐えられる冷たさというものがあります。
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— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

Bパートは、チノちゃんを取りかこむ”死”の冷たさに、今まで蓄積してきた”ごちうさらしさ”を壊さないまま、最大限に踏み込む話だと感じました。
まーたブルマン先生と凛ちゃんさんがイチャコラするオレンジの世界から、ココアさんははぐれてしまいます。
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— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

そこは空を飾るランタンも地味な幽明郷…この世の理から外れた、この日だけ現世と接する冥界です。
生死の境界があやふやになるエピソードなので、現世に足場を置く四人は”橋”に集まることになるわけですが。
顔を隠した隣人が、亡霊であると気づかないままココアさんは”姉”でいようとする。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

かつて弱くて泣き虫な自分を支えてくれた人のように、傷ついた人を支えようとするあり方は、チノちゃん限定で発揮されるわけではない。
親とはぐれた子供の亡霊にも、しっかり膝を合わせて笑顔を作ろうとして、ステッキ腹パンで失敗する。
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— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

ココアさんにとって”姉”でいることは、”妹”である本性に反した強がりであり、虚偽を許さない青き冥界では”妹”…通り越して”娘”になってしまう、ということかもしれません。
親と再開できた亡霊にDisられ、わんわんと泣くココアさんの幼さを、声なき母が受け止めてくれます。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

それはかつて自分の娘…今目の前にいる”子”が己の代理として”姉”をやってくれている人に、やっていた行為であり。
シャロちゃんに隣り合う存在として、まだまだ上手くやりきれないココアさんに対して、お母さんは慰めを与え、魔法のかけ方を教えてくれるわけです。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

お母さんのOKサインが逆しまなのは、死者の認識が生者とは逆転するからであり、声を奪われているのもまた、生者と触れ合うことを許されない亡霊故だと思います。
それでも、お母さんは泣く子供を慰め、己の責務を代わりに果たしてくれるものに、笑顔の魔法を教えようとする。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

しかしそこにとどまり続けることは、ココアさんが死の国に呼ばれ帰ってこれなくなる、危険な停滞でもあります。
なのでオレンジの現世から怪盗達は、愛しい人を呼ぶ声を放つ。
『お姉ちゃん』の呼び声は、冥界に物理的には届きません。
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— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

しかしそこに宿った思いは確かに、弱々しい己を奮い立たせ、”姉”足らんとすることでチノちゃんを支えてきた人にしっかり届く。
娘たちの絆を確認したお母さんは、ここで顔のない亡霊であることをやめ、一瞬だけ現世の縁、チノちゃんと共通する色の瞳をマスケラの奥から覗かせます。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

そこに込められた、声にならない思い。
丘の上、その遙か先にある場所から響く母の思いもまた、境を超えてチノちゃんに届いていきます。
それは、母恋しの想いが生んだ幻かもしれません。
しかしこの特別な夜、特別な場所では、様々なルールが書き換わる。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

それが許されるからこそ祝祭なのであり、そしてそれは、一瞬の夢だけを与えて儚く消えていくものでもあります。
母から姉へ託した、思い出のキャンディ。
万言よりも雄弁な愛の結晶には、人が生き延びるための栄養が、みっしり詰まっています。
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— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

それを娘に手渡すことは、もはや儚くなった母には許されていない。しかし今、縁を結んで”妹”の側に立ち続ける人に、託すことは許されている。
今日はハロウィン。生と死の境が淡くなり、様々な怪異…奇跡が起こる日だからです。
光になって消えていく…天へ戻っていく母の代わりに、少女を現世に戻す役

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

それが『天国に門前払いされ』うさぎに憑依した、死せる祖父なのは非常にしっくり来ます。
生死の境界の狭間に身を置くしかない、煉獄の十人だからこそ、現世のオレンジの光がまだ届かない青い冥界の中でも、一番最初にココアさんに触れることが出来る。
それを仲立ちにすることで、世界は色を取り戻す

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

母の退去、ティッピーとの接触によって、ココアさんは際を越え、現世に帰還した。
だから”魔法使い”が消えた後、世界はオレンジに塗り直されていきます。
それは日常の色、生の色、死に囚われつつ流れていく時間の色です。ココアさんもチノちゃんも、そこで生きていくしかない。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

Aパートと同じような、賑やかで楽しい笑いが画面に戻ってきた所で、チノちゃんは世界に漂う青…母を天に奪っていった”死”の匂いを感じたのか、祖父の魂を抱きしめる。
その時、魂の滋養を差し出してくれるのは、やはりココアさんなわけです。
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— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

チノちゃんが寂しくて苦しくて泣いている時、飴を差し出し魔法をかける仕事を、母はもう果たすことは出来ない。死んでしまっているから。
でも、それを変わりに引き受けてくれた人がいた。哀しみに凍りつきそうだった少女を、笑顔と愛で温めてくれた人がいた。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

それを遠い場所で見守り続けたから、お母さんはココアさんを自分の領域…青い世界に呼び寄せて、魔法の使い方を伝授したのだと思います。
胸が張り裂けるほどの辛さを、癒やすたった一つの魔法。それは…少々口はばったいですが、あえて言いましょう、”愛”なわけです。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

かつて小さな自分に、母が差し出してくれたもの。
祖父が背中を支え、父が穏やかに見つめる幸福な聖家族の肖像がもう帰らない過去だとしても、胸の中に残っているもの。
血も繋がらない、勝手に盛り上がって愛してくる”姉”は、”母”からそれを引き継いだ
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— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

それはこの特別な夜に、急に生えてきた魔法ではありません。
ココアさんはずっとチノちゃんの側で、ウザがられようが体温を届け、好きだと言い続け、自分は消えないことを間近に証明し続けた。
魂にあまりに近く結びついていたから、その喪失が耐え難く心を閉ざした愛しさを、取り戻せると教えてきた。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

その働きかけの結果として、チノちゃんは不器用ながら笑い浮かれ噛みつき、血も縁もなかった”姉”の名をを照れながらも強く呼び、声なき声を届けれるようになった。
そういうモノがあったからこそ、万聖節の優しい奇跡もまた、許されるのではないか。
そんなことを、僕は思います。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

ココアさんはお母さんとの思い出を沢山聞き出しながら…消えていくと諦めてしまいがちな奇跡が、世界にはたくさん生きていることをチノちゃんと確認しながら、オレンジの光が踊る世界へ、チノちゃんを導いていきます。
これまで、幾度もそうしたように
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— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

境界を結ぶ橋を越えて、時が流れていく方へ、否応なく変わっていく世界へ、それでも喜びと思いと輝きが満ちている方へ、少女たちは進んでいく。
それを見届けて、母の霊は青い空へ帰天していきます。とても美しい終わり方です。ごちうさ三期らしいエピソードだな、と思います。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

Bパートの読みは『ではないか』という推測をあえてぶっ飛ばして、オカルト混じりの過剰さをドライブさせました。
でも多分、そこまで的外れではないと思います。
明るく楽しいコメディの中に練り込まれた、境界を見つめる視線。死の冷厳と、それを越えて届く声のない声。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

それは明るく楽しい毎日の中、凄く大事に作品を支えてきたものであるし、このアニメはそういうものを、しっかり描けてきた。
画角を少しファンタジックに、シリアスに傾けて描かれた、生と死が触れ合う場所。それはいつも陽気な木組みの街の、もう一つの顔なのだと思います。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

というわけで、大変素晴らしいエピソードでした。
Bパートは”ごちうさ”としても幻想譚としてもまさに圧巻ですが、Aパートで描かれた生者たちの優しさ、思いやりが繋がっていく多幸感があってこそ、青い死の国から届く甘い奇跡の物語も、鮮烈であったのだと思います。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

つーか次回予告で、妻に先立たれた夫の流れぬ涙、哀悼を込めてハロウィンに流れるジャズを切り取るの、本当にズルい。
そらー、タカヒロも愛妻に死なれて、平気なわけねぇんだよな…。ダンディーやってるのは、相当無理をしてる。
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— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

でもココアさんがワンワン泣いちゃう自分を押し殺して”姉”やってるように、父もまた寡黙に”父”でいることで娘を支え、自分を保っている。
そういう静かなプライドに、最後の最後で報いたのは本当に素晴らしいです。親父も哀しみを抜け出していく娘を見ながら、静かに癒やされていたんだろうか…。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

やっぱ、このアニメは凄い。
そう断言できる確信を、力強く与えてくれるエピソードでした。
本当にアニメスタッフ、”ごちうさ”が好きなんだと思う。前のめりに乗った思い入れを感じさせないほど、気合が乗り切ってる…。
この記念碑的エピソードから、どこまで飛躍するか。
次回も、とても楽しみです。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

追記　さよなら、Blue Monday

ごちうさ追記
ココアさんが囚われた青い世界は、死者の憂鬱（Blue）の世界でもあって。
母に先立たれ、かなり暗い世界にいたチノちゃんをそこから出して、オレンジの温もりに引っ張り出したココアさんが帰ってくる呼び水が、チノちゃんと友の呼び声なのはやっぱ良い。善因は善果を呼ぶんだよなぁ…。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

ティッピーを抱きしめた時の辛い表情を、チノちゃん（を主役とするこの物語）は押し殺しながら日常を生きてると思うのね。
憂鬱のBlueは、いつでもそこにある。でもそこに飲まれ、帰ってこれない彼岸に囚われずにすむのは、名を呼びオレンジの体温を分け与えてくれる人が、隣りにいるから。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日

ジャンルに漂う多幸感（それは”ごちうさ”が元祖として完成させたものである）に溺れず、世の冷たさをかなりシビアに睨んでいる所が、今回強く出たかなぁ、と思います。
多分そこが好きなんだな、僕。
やっぱクラいよなぁごちうさ…だからこそ、嘘なく明るい感じするわ。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日