体操ザムライを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月23日
体操競技の高みを目指す、トップエリートのみが集う日中合同合宿。
勝つこと、続けることの意味を説いながら、戦士たちは競い、笑い合う。
若い嵐から少し離れた場所で、己の道をひた走る城太郎。その足取りは軽やかで、強い。
そしてレオは、覆面の奥に陰りを隠していた…。
そんな感じの合宿エピッ! 玲ちゃんにお友達が出来て良かった良かった! である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月23日
いわゆる修行回なんだし、もっと勝利にがっつけよ…という感じは、あんましない。
この作品の”てっぺん”たるリュウがとても良いキャラで、彼を鏡に作品の奥行きが、グッと広がった。
城太郎自身がかなりの天然で、彼を主役とするこの話も勝利至上主義から、ちょっと外れたところにあると思うが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月23日
『一番になることは、二番以下を踏みつけて立つことであり、自分もそうしてきた以上いつかは落ちていく』と、頂点の重みをしっかり言葉にし、ストイックに守る王者がそこを補ってくれた。
その上で、他者ではなく己と闘い続ける城太郎のスタイルを嘲笑うのではなく、敬意を込めて笑い飛ばした邂逅が、とても良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月23日
勝つこと、負けること。
鉄男が見つけたスタイル、レオの迷いも合わせて、作品が追うものが色んな角度から照射され、立体感の出る話だったと思う。
体操やるやつも、やらないやつも。男も女も、ベテランもルーキーも。勝ちにこだわるやつも、自分を信じるものも。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月23日
色々いて面白いし、それを受け止めてくれる”体操”は良いものだ。
そういう風に、群像を描いてメインテーマを際立たせる感じに仕上がって、とても良い中間地点だと思った。
というわけで、前回無責任に消えて戻ってきたレオの背負う、重たい影と美しい光からお話スタートである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月23日
月下に踊る美影身。ニンジャの正体は、ロイヤル・バレエの至宝であった。『王族かなー』と読んでたが、あながち間違いでもなかったか。”Royal”なわけで。
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江戸村で可愛い追跡劇してたときから”人間”だと思ってたエージェントたちが、グラサン外してレオの才を褒め称え、あっという間に”敵”ではなくなっていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月23日
目だけが肥大化した怪物ではなく、顔の見える優しい人に見つめられるなら、レオは踊れる。怯えず、自分を表現できる。
しかし輝く舞台に、今は戻れない。素性を隠して逃げ出したサムライのもとで、取り戻したいものがある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月23日
マダムに思いを告げる土下座が、一時の猶予を取り戻す。また強くてかっけーババァが出てきたんだけどッ!(歓喜)
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マダムもまた、最後に顔を見せ、レオに温情を見せる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月23日
彼女もその才覚を、人格を愛すればこそ、舞台に戻ってきて欲しい。”人間”である。
オリンピックとはまた別の厳しさを持つ、冷たく美しい舞台。そこが、レオ本来の戦場である。そこで闘うためには、もう少し嘘が必要だ。
城太郎が周囲を一切気にしない我が道野郎で、鉄男やリュウも他人に流されない強い自我を持っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月23日
高みに立つがゆえのプレッシャーから逃げ出したレオは、トンチキ外人のキャラを被りつつ、作中随一繊細なキャラだったわけだ。
ここら辺、競技者と表現者の違いもあるかな?
玲ちゃんと本気で向き合った結果重荷が取れて、今回の城太郎はド天然に加速がついている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月23日
だからこそ、彼が気にしないものに躓いているレオの苦しさはよく目立つし、戯けた態度の奥で震え、鉄男に導きを求める必死さも伝わってくる。面白い対比になってきたな…。
縁側のステージから見渡す、異国のホーム。優しい人達と触れ合う中で、戻るもの、逃げたもの。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月23日
前半を引っ張った玲の問題が良い解決を迎えて、カメラがレオに寄ってきた感じがある。
ここも、良い書き方をしてくれるだろう。”シザーハンズ”可愛いねぇ…。
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一方オヤジの方はマジフリーダムに、合宿でも好き勝手やってた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月23日
一度結果を出した上で降りたものと、今頂点に立つものと、そこに駆け上がろうとするもの。
城太郎、リュウ、鉄男の三人を描くことで、”体操選手”の諸相が見えてくる。
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思い出の写真に、ボロボロのあん馬。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月23日
城太郎にとって合宿場は懐かしい場所、戻ってきた場所だ。時間は彼の身体に衰えと思い出を刻み、そして帰ってくることも出来る。
再生と挑戦。スポーツ物語であまり掘られることのない視点を主役に背負わすのは、なかなか面白い。
一方、若き血潮は激しくぶつかる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月23日
マダムが『あれほど辛いものはない』と述懐してた逆さ吊りを、当たり前にやりきる厳しい競技。
最強たらんとする鉄男の自負は、当然”てっぺん”と激しくぶつかる。
それは、城太郎が既に通り過ぎた季節の嵐。
”勝負”のもう一つの顔。
いきなりの鉄棒勝負は、そこから即降りる城太郎の自由さ含め、非常に示唆的だった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月23日
単純に力関係がはっきりするだけでなく、”勝負”をめぐるスタンスの違いが、上手く圧縮されている。
数字化される厳しい真実に、降りず向き合うもの。
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一度は失った”出来る”を、迷いつつもっと強く取り戻せた実感に、拳を握るもの。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月23日
競技の本流は鉄男とリュウにあるんだろうけど、そこに”楽しい””やりたい”で動く、子供のような城太郎がいても面白い。
まぁピンピンに張り詰めてる上に負けた直後の鉄男は、面白くないだろうけど。
でもやっぱ、鉄男は城太郎をずっと見てる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月23日
レオが暗闇からの救いを求めたのとはまた別の視線で、サムライを睨んでいる理由が、やっぱ知りたいよね。
巨大感情はその正体にライトが当たらず、輪郭をおずおずとなぞっている時が面白いとはいえ、やっぱ派手にぶっ込んで欲しいわけよ。
それは今後のお楽しみとして、汗臭い努力描写は程々に、合宿はあっという間に最終日へ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月23日
ここら辺のC調は、やっぱスポ根の真ん中からは外れてる。それが、多分このアニメの良さであり、個性なのだろう。
玲ちゃんむっっっちゃ見てるキティちゃんも、さり気なくアピール。
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ここで一日遅れのハッピーバースデーを、力まず玲ちゃんに手渡せてる描写が凄く良かった。先週あんだけ、魂をぶつけ合った甲斐もある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月23日
無邪気に喜ぶのではなく、少し照れる玲ちゃんも、本心を曝け出し少し、人格が変化した感じ…かなぁ?
元々大人びた子だけど、それを乳の前で見せれるようになったか
こっちは安定してるとして、不安定な若人二人は道に迷う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月23日
国内のライバル…人生の先輩達が、ガラス越しに鉄男を心配してる描写が凄く好き。
バチバチ対抗心を見せつつも、別に潰れてほしいわけじゃない。彼らは”勝ちたい”のだ。
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鉄男はむっつりと感情を押し込めて、必死に走る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月23日
その道は厳しく薄暗い場所にいつでも繋がっていて、そここそがプリンシパル・レオナルドの故郷だ。
否応なくつく勝敗。
どれだけ苦しんでも、報われるとは限らない世界。
特別な”才”を求めて睨みつける、怪物たちの視線。
鉄男は迷いの果てに一旦腰を下ろし、そんな影に向き合う。同じ影に苦しんでいるのではと、甘えるレオが向き合いきれないものから、彼は自力で顔を上げて、強い視線で未来を睨む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月23日
今は勝てなくとも、いつか勝てるようになる。
そんな不屈が、青年の胸に熱く燃えている。
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これを微笑みの奥から見守り、自力で立ち上がるのを信じて手を差し伸べるのが、中ノ森さんのスタイルなのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月23日
どっしり肩を組み合い、家族レベルで付き合う天草さんとは別のスタイルだが、それもまた善い。競技者だけでなく、コーチも多彩に肯定されていくのは好きだなぁ…。
鉄男には一緒に走ってくれたレオがいて、夕暮れに自分を探してくれる中ノ森さんがいる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月23日
でも異国に逃げ、素性と本心を隠しているレオには、真実寄り添ってくれる人がいない。
弱さで繋がろうとした鉄男には、内から湧き上がる闘志で跳ね除けられた。ならば、誰を頼るのか。
問題を切開して良い方向に進んでいくには、隠されたものを堂々暴かないといけない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月23日
しかしそのためには、誰かの導きがいる。レオのお節介な並走が、鉄男の奮起を知らず、助けていたように。
そういう仕事を誰が、どのように果たすのか。
レオの今後にとって、かなり大事な夕景であった。
そして競技人生の夕暮れを越えて、終りと始まりを見つめる頃合いの二人…の前に、可愛い日中交流キターーーッ!
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月23日
一瞬のホラー演出から、溢れる二つのチャーミング。キティちゃん、この子マジ…マーッジ良い子なんで、仲良くしてあげてねホント…。
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色んな場所で、交わされる握手。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月23日
日中の強豪がお互いを認めるのは、”体操”に向き合う資格を実地で証明したからこそだ。
厳しく競い合う中で磨かれる、嘘のない許容。
『アイツもなかなかやるじゃないか』と、心から認めさせるためには、勝ち負けを競う必要も出てくる。
そんな世界の真ん中に立つ男は、宴に背を向けストイックに、己を磨く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月23日
なぜ、続けるのか。
勝つことの残酷さ、時の非情を踏みしめながら”てっぺん”に立つ男は、競技者としての城太郎に、厳しい問いを投げかけてくる。
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ニ位…”負けの一番”を貰って泣く選手のカットが、僕は凄く好きだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月23日
メダルを誇りつつも笑顔一つ見せないリュウは、自分が踏んでいるものの意味を知っている。必死に走ってなお、必ずそこに落ちていくことも理解っている。
それでもなお、だからこそ、勝ちを掴むために己を磨き続けるのだ。
彼もまた、サムライの背中に輝きを見た一人だった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月23日
追い抜き、見下ろす立場になったからこそ、”アラガキ”再生で満足して酸素の薄い高みから降りたように見える城太郎には、厳しい視線も向ける。
しかしそこに、指弾の色は薄い。異質なものを問いただし、知りたいと思う知性。眼鏡はダテではないね。
”てっぺん”からの真摯な問いかけに、天然男も自分なりの”本当”を引っ張り出して応える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月23日
暗闇の中の星のように、自分の中に眠る可能性。
諦めかけて、でも諦められず、胸の中に燃えていた炎。
周りを見ずに迷惑かけて、支えてもらって一歩ずつ。
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あのオンボロのあん馬だって、俺の肩のようにまだまだやれる。もしかしたら、昔より調子がいいかもしれない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月23日
出来なかったことが、出来るようになる。負けて諦めてなお、前に進み続ける。
生涯、体操選手。
死ぬまで…死んでもなお続く道を、荒垣城太郎は進む。
いつもぬぼーっとしてる城太郎の、こういう表情、こういう哲学を引っ張り出せただけで、リュウが”てっぺん”で良かったな、と思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月23日
やっぱ競技を扱う時って、”てっぺん”の格がそのまま作品の格になりがち。なので、周りを引き立てる人格ある王者が欲しくなるのよね…リュウは満点。2億兆点。
自分とは正反対の、しかし確かに靭やかな答え。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月23日
サムライの心意気を笑って受け止め、王者は忠告を与える。
今のままじゃ、お前は勝てない。
その言葉の重さを、城太郎もまた知っている。
彼はただの天然ではなく”体操選手”なのだ。
ずっと、そうだったのだ。
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ここでシビアな現実を突きつけるあたり、リュウは問答を通じて城太郎に驚き、認め、そこから這い上がり挑戦する日を望んでいるのだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月23日
彼もまた、鉄男を心配していた先輩たちのように、相手を潰すのではなく競い、勝ちたいのだ。
”体操”とは、そういう在り方を許してくれる場所なのだ。
益荒男は、サムライ一人ではない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月23日
だからこそ、自分しか見ていないように見える城太郎も、いろいろなものと闘いながら”体操”にしがみつく。
明日は、もっと高く飛ぶ。
その決意を込めて、挑むはアラガキ、Ver2。
負けてもいいから、ここに立ってるわけじゃないのだ。
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という感じの、作品の輪郭が鮮明になり、奥行きがぐっと広がる合宿回でした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月23日
勝つこと、負けること。
それぞれの経験、人格、ライフステージによって答えは変わるが、皆燃える闘志を秘めて”体操”に挑んでいる。
そこには厳しい握り拳だけでなく、真に認め合えばこその交流もある。
競技とは少しズレたステージから、逃げ出してしまったレオ。その再生はやはり、サムライの隣にこそある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月23日
だが鉄男が、リュウが、城太郎がそれぞれ誇り高く立てるのは、誰かに支えられてではない。
補助は鉄棒に上がるまでで、グルグル回って飛ぶのは選手当人のプライドとスタイルなのだ。
どうにも芯が見えなかった城太郎の”誠”を、リュウが非常にいい形で引っ張り出してくれたのが、今後に生きそうでもある。勝つことの残酷さと、負けないことの意味を知っている男(ひと)が好き…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月23日
鉄男とコーチの絆も見えて、サムライに炎も灯った。
更に熱量を増す後半戦、非常に楽しみです。