イマワノキワ

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時光代理人-LINK CLICK- II:第6話『李天希』感想ツイートまとめ

 時光代理人-LINK CLICK- II 第6話を見る。

 時光コンビによるクロニクルダイブと、現実での尋問。
 どっちも謎を解明するための手段のはずなのに、分かんねー部分がガンガン増えていって、何が何やらだぜー! という回。
 今まで倫理的な方向にやれないこと、やってはいけないことはあっても、能力的には結構無双な能力だったはずの力が、理由も不明なまま遮断されて家族皆殺し事件の真相は不明だし、尋問ではティエンシーを名乗る存在に思いっきり翻弄されて真相は見えないし、ヒカルは姿を消すしチエン弁護士は物騒な連中引き連れて顔を見せるし、もーワケわかんないよーーー!!!!

 なのでまぁ、メモ代わりに色々整理しながら感想を綴る。
 正直ただ見てるだけだったら混乱したまま、全然全体像把握できてなかったと思うので、やっぱこの習性が自分にあって良かった…。
 いやまぁ、文字にしても解ってるとは言い難いわけだが。
 難しいよこのアニメー!(そこが好き)

 

 双子と発声障害、二つのいかにも怪しい要素が目立つピンクの兄妹は、やっぱ入れ替わってるのかな…つうのを、最初の疑念としておきたい。
 声両方とも村瀬さんだし、ここら辺の境目をぼやかすための両声類キャスティングだとも思うので、取調室に来た”ティエンシー”が実はお兄ちゃん…てのは、まぁまぁ無理のない読みだと思う。

 問題はそこで入れ替えて何がしたいかと、わざわざ写真を送りつけて過去を見せ、何がしたかったか…という部分。
 リー兄妹のどちらか、あるいは両方が人格交換能力者だとして、結果的に両親惨殺に至ったママの反撃がその能力下にあったのか、ママ自身の意思か…。
 事件に潜り切る前に原因不明の中断があったため、ここを確定できる描写が足りておらず、謎は深まるばかりである。
 お兄ちゃんに触られたトキ=ティエンシーが大分能力を封印・遮断されている描写があったので、あまりにも強力すぎる調査能力にリミットをかける意味でも、能力者同士が接触すると、そういう事が起きるのかもしれない

 仮にお兄ちゃんのみが交換能力持ちである(あの瞬間に目覚めた?)として、では妹を装ってここで接触してくる狙いはなにか。
 異能を用いて、罪に問えない殺しを行う殺人鬼の背後に誰がいるのか…その真の目的はなにか次第で、ここら辺も変わっていく。
 チエン弁護士は異能仕事人をやり遂げる動機も経緯もあるので、兄妹を人間型の凶器にして遂げたい目的もあるし、英雄≒獣の森の猟師に憧れていたお兄ちゃんとしても、そういう役割は引き受けそうな感じはある。
 そういう英雄願望を吹き込んだ、サッカーボールの少年もバリバリに怪しくて、『最終的に全員一味』つう可能性も含めて、全く混乱した状況である。

 

 一連の殺人事件は罪深い悪人だけでなく、哀れなエマ含め色んな人巻き込んでぶっ殺しているわけだが、これが歪んだ正義の結果なのか、むしろ狙い通りなのかも解らない。
 尋問のペースを握り、トキを見事に翻弄したように、ティエンシー(を名乗る存在)は底知れない妖しさと高い知性を併せ持っている。
 だからどんな動機が裏に潜んで、誰をどう結びつけても不思議ではなくて、このキャラ造形と見せ方がサスペンスを加速させている感じが凄い。
 写真を手渡し過去を知ってもらって、トキたちに助けて欲しいのか、同情を誘って騙したいのか。
 どっちでもありそうな、妖艶な立ち回りが掴みどころを見事に外してくる。

 マクガフィンとして用意されている携帯電話に、一体何が写っているかも解らん中で、一つのピースがハマればパチパチと事件全体の絵がかけそうな宙ぶらりんが、複雑怪奇な魅力を放って描かれている。
 どうにもでハマりそうで、しかしそのどれでもなさそうな見事なサスペンド状態は、こういうお話の一番面白いタイミングを魅力的に彩ってくれる。
 ただただ謎めいてるってだけでなく、状況が立ち止まることなく展開し、主役たちの能力を越えた事態が切迫感をもってバンバン起こることで、話の足が止まらないところが上手いなと思う。
 もうちょっと落ち着いて考えさせて! と思うのだが、それをさせない組み立てが、見事なサスペンスを成立させる。

 目的も正体も関連性も、さっぱり解んないままチエン弁護士はゴロツキ集めて動き出し、ヒカルは病室から消え、トキはティエンシー(を名乗る存在)に手を引かれて/の手を引いてズイズイ進み出している。
 盗聴器と監視カメラ越し、視聴者視点を担当するシャオ刑事が得られる情報も限定されていて、実際に起っている点と点を、推理で結びつけて線にしていく行為に難しさがあるのが、ハラハラとワクワクを加速させてもくれる。
 情報は軒並み断片的で、状況は加速を続け、異能を用いたところで混乱が加速するだけ。
 八方塞がりのように見えて、確かにヒントは増えて出口がどこかにあるような…ないような。
 難しいよこのアニメー!

 

 そしてこのこんがらがった状況の真実を知りたいと思うのは、ママひっくるめて沢山の犠牲者を出している痛ましい異能殺人を、自分なり納得したいからだ。
 見えていても変えることが出来ない過去に、潜って小さな救いを生み出してきた物語は、どんだけ血生臭くなってもどっかに倫理の光を残していて、なぜ理不尽な悲劇が起こるのか、その裏側を知りたくもなる。
 李兄妹の悲惨な過去を”体験”してしまった今となっては、トキも僕らももはや引き下がれず、謎に潜りきって行けるところまで行くしかない。
 しかしその道程はあまりに複雑で、残酷にして過酷だ。
 それでも、だからこそ、事件の闇に深く潜って真実を見届けたい気持ちは強い

 それを自分なり成し遂げるべく、色々整理して補助線を引いてみたりするのだが、まー全然わからん! ということが、感想書いて理解った。
 伏せ札になっている情報が多すぎて、点と点を結んで線を作り、それが大きな絵になるための絞り込みが、全然行えない感じだ。
 ということは、今は何かを断言するには早すぎるタイミングであり、作者が叩きつけてくる情報と感情の奔流に、身を任せてキリモミしているべき…つう話なのだろう。
 作品より”上”の視点で全体を見下ろし、安心してたい視聴者としては業腹な状況だが、すんげぇお話にメチャクチャにされたいマゾヒストとしては、大変気持の良い状況でもある。

 知りたいけれど分からないフラストレーションを、見事に活かして次回へのヒキを作り、それを拾い上げつつ新たなフックを作っていくこの話の手腕は、既に分厚く証明されている。
 だからそれを信じて、新たな情報を作品が開示してくれるまでどっしり待つ腹づもりは、ちゃんと出来ている。
 出来ているけど知りたいのッ!

 

 やっぱそういう矛盾した感情を、熱量込めてドライヴ出来るのってスゲェなと感じつつ、ハラハラと次を待つ。
 こんだけ悲惨な事件は解決されなきゃいけないが、上手いこと主役の能力を断片化して機能不全にさせてきたのが、すんなり終わらせてくれない手応え十分でパワフルだ。
 次回も楽しみッ!