イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

図説・アメリカ軍対テロ戦争部隊の戦い

河津幸秀、アリアドネ企画。冷戦構造から対テロ戦争に舵を切ったアメリカ軍の戦略・戦術を、実際の作戦を通して分析した本。対テロ特殊部隊、ではなく対テロ戦争部隊の本であり、陸海空総合的に組織再編を行い、対テロ(とアメリカが言うところの)戦争に舵を切ったアメリカ軍についてよく分析されている。
実際の作戦において対テロ戦争がいかに戦われるか、が作戦図と説明文で多数示されており、軍事資料特有の味のない描写と大量の略語を飲み込みながら、最新の装備で固められたアメリカ軍の戦闘方法を追体験できた。ただの提灯記事ではなく、いかにアメリカ軍がモガディシオやアフガンで失敗し続けてきたか、を分析しているところも好感触である。
確かにストライカー戦闘車両だとか、MEUだとか、エアボーンだとかの言葉に心躍るルミリオタである僕なのだが、しかしまぁ、実際に臆面もなく「対テロ戦争部隊」という組織を製作するアメリカ政府の面の皮の厚さには困惑と当惑と嘆息を禁じえない。華麗な特殊部隊の活躍と、最新鋭のハイテク兵器の裏側には、どうにも大国覇権主義と、それを塗り隠そうとする絶対正義主義が透けて見えてしまう。しかしそれはまぁ、僕の個人的な感傷だ。軍事資料としてはアメリカ軍の最新鋭兵器戦略・戦術を知る上で非常に有益だと思う。良著。