今野緒雪、集英社。大体予想どおりの時期に出たマリみて最新刊ですよ。なにぶん発売したばかり名ので、何を話してもバレでしょう。というわけで。
は、０６年では決着つきませんでしたとさ。付けると思ったんですけどね、正直。まぁこの一年（というか「大きな扉 小さな鍵」）で道は完全に整ったので、ここで抜くのも一つの手かな、とは思いますが。がが。まぁ引くのはしょうがねぇ。もうそういう小説なのだと思うようにしておりまする。
んでもって。今回は前回の怒涛の煮込みっぷりが嘘のように引いた話でありまして。ゴロンタ筆頭に、美冬さん（名前だけだけど）に田沼ちさとに桂さんと懐かしいメンバーがちょこちょこひょこひょこ顔を出しております。視点が祐巳メインに戻ったせいか全体的にのんびり進みまして、名わき役であるところの蔦子さんと真美さんのバレンタインなども書かれている。
僕としてはストーリーというか瞳子の今後がもっさり気になりつつ、やっぱりこの砂糖菓子みたいに淡い嘘っぱちの楽園感覚は得がたいなぁ、などと思いながら読んだ次第であります。あからさまに抜きの巻であり、話としては「瞳子が本気になった」の一行で終わるわけですが、その間を埋めるどーでもいいようで妙に柔らかく暖かい空気は、なんだかんだでこの作品が好きな僕としては十分楽しめました。
個人的には、薔薇の館住人以外にも、登場人物全員が主役になる可能性がひしめいているところにマリみてのよさがあると思っているわけで。嘘っぱちの砂糖菓子楽園なわけですが、なればこそそこを構成する要因は話一つ背負わされてつぶれない強さがあるわけです。んでもって、そういうキャラクター達をちょこちょこと弄った今回の話は、まぁ好きだなぁ、とやっぱり思うわけですよ。
