柴田ヨクサル、集英社。コマと台詞でゴリゴリと勢いを引っ張ることに関しては当代随一のパワーの持ち主、ヨクサル先生がヤンジャンに居を移してはじめた真剣師将棋メイド奥歯食いしばり系情念漫画。ヨクサル先生というとんでもない器に、良くない要素だけ放り込んだら化学反応でよくないガスが発生している漫画。
しかしこの良くないガスがとても面白い。相も変わらず奥歯を食いしばる状況を書くことに関してはヨクサル先生は本当にすごいな、と思わせる絵と台詞で、そしてなぜかヒロインはメイドで真剣師だ。その必然性ははっきり言ってないわけだが、それでも別にかまわない高速でドライヴしているから、と思わせる圧倒的な勢いがある。それはやっぱり、ヨクサル先生が持つ漫画家としての匂いだ。
漫画家数あれど「この人にしかかけない漫画」というのを書く漫画家はあまり多くなく、そしてヨクサル先生はそういう漫画家の一人であることに疑いはないと思う。そんなことを感じさせられた漫画であり、次の巻からさらにドライブしていくと思うと楽しみでしょうがない。ひそかな見所として、「女の子可愛くかけない症候群」に罹患していたヨクサル先生の漫画なのに、ヒロインはとても可愛い。そこも見所だと個人的には思う。
