イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

エマ 8

森薫エンターブレイン。日本一の十九世紀イギリス漫画家、待望の新刊です。今「メイドの話をしたら腕を折る」という法律が施行されても、森先生はメイドの話を書き続けるでしょう。そういう熱がギリギリと燃え上がり炎となってページから湧き上がっております。素晴らしい。八巻目、といっても番外編でして、ネタもメイドつーか十九世紀イギリス。
読んで思ったんですが、コマを広く使い、背景を書き込む森先生の絵は実は相当オリジナルな漫画なんだな、と。情報量を台詞ではなく背景にまわして、パワーのあるペンで丁寧に人を描く。騒がしさのない、落ち着きながらも細やかな書き込みと徹底した背景による空気の作りも見事。いまさらながら、情熱とかテーマの部分ではなく、漫画技術者としての森先生の独自性に気付いた入りしました。遅すぎです。
んで本編ですが、非常にバラエティに富んだ内容で。「そういえばこういう生き物いたっけ」と思いながらも「ああいたいた」となるのは、森先生が燃え上がる情熱で捨てキャラなし、捨て描写なしで徹底的に世界を作り上げた賜物でしょう。ワキのキャラも生き生きしているので、こういう話で主役になっても唐突さがない。覚えている。ここら辺もこの漫画の強さですね。第五話「The Times」はかなりこった構成の技巧派で、非常に感心しました。
あとま、エレノアさんにフォローが入ってよかった。本当によかった……。いやエマもね、ジョーンズも悪くない。悪くないんだが、悪くない度で言えばエレノアさんはもっと悪くない。美人だしな。超ガン投げ気味になっていたので、そこんところにフォローが入り、加えて個人的にダイスッキなアニーがたくさん出番があって素晴らしかったです。郊外の自然や海水浴場の風景も綺麗だったし。うむ、やっぱこの漫画はいい。すごくいい。