イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

GUNSILGER GIRL 8

相田祐、メディアワークス。女の子が鉄砲を撃って人を殺したりする罰当たりな漫画の八巻目。なんですが、今回めっちゃ人死にません。諜報畑の生え抜きであるアレッサンドロと、その相方ペトラメインで延々話がまわされた結果でしょうか。いや素晴らしい。ペロラ&サンドロのコンビは、物語の中の設定としても(第二期義体のファーストプロダクト&二課の新入り)、役割としても(今までの「無邪気な子供」ではない、自由意志の強い義体と諜報畑出身の「銃を撃たない」担当官)新しい風でして、それを丁寧にやったなぁ、と。
んでまぁ、今までの「かわいーペド子どもがろくでもない人殺しの道具を振り回して大暴れ」つー話とはまた違うエピソードが濃厚に展開されたわけですが。今まで展開してた部分を「違うよ」と言ってしまったことで、このろくでもない話にようやく終止符が見えてきたかな、って気がします。ガンスリはそもそもにおいて終わる話なんですが、キャラの彫りと空気の作り、話の回しの巧さで「おわらねーよな」とも「終わって欲しくねーよな」ともとれる、微妙な空気が支配していたわけです。
が、同時に「死にかけの女の子を人殺しの道具に仕上げて、戸籍も抹消して薬で人格支配するような話がまともなわけないだろ」ってのは他でもないこの漫画自体がずっと言っていた事でもありまして。そらそうです。女の子が鉄砲持つなんて、まともじゃない。歪んでいる。その歪みから初めて、ちまちまと突っ突きながら都合よくシェイプし、ところどころ破滅の足跡を匂わせたタイミングでペロラ&サンドロが「比較的まとも」な人殺さじとして自分の話しをしたのが今回ではないか、と。
僕がガンスリがすきなのは、出てくる女の子が可愛いというのがまずあります。でも、それと同時に、そのろくでもなさがすきなんですな。正確に言えば、「ろくでもないことですよね、罰当たりですよね、この漫画」といわなくてもいい事をちまちま突っ突く作者の姿勢というか。そこらへんは都合よく結界張ってスルーしておけばいいものを、今回で「まともじゃないよ」と言ってしまったわけで、これはもう終わるしかない。でもそう終わることは最初から約束されていたことなので、楽しみでもあるのです。
結構漫画は幸せに終われないことがあるので、この、終わりに向けて動き始めた流れをどう動かせるか、どう終わらせるか、に個人的には注目しています。好きな漫画なので終わってしまうのは寂しい。それが、おそらくは本当に救いようのない話として終わるであろうことも感じられる。でも、それは最初から解っていたこと。ろくでもない事をしていることに自覚的なこの漫画は、そこから逃げずに終わるのだろうな、と願っていたので。まだ終わりは始まっていませんので見当違いな予感になるかもしれませんが、ともかくここからガンスリは動くんじゃないのか。そんなことを感じた巻でしたよ。