イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

エマ 9

森薫エンターブレイン。「メイドを題材にしたら腕の一本をとられるという法律が出来ても、多分メイド漫画を書くことが決まっている日本唯一の漫画家」こと森先生の代表作もそろそろ十の大台です。エマ、とタイトルになってはいるものの、前巻からワキの人と19世紀イギリスを取り上げた番外編に突入しておるわけです。
が、とにもかくにも人物造形が巧く、徹底して題材を調べ上げ漫画にすることにと出した能力を持つ森先生。絵の造り、背景の書き込み、資料の発掘。19世紀イギリスが好きで好きでしょうがないゆえにあふれるバイタリティが迸り、とにかく丁寧に漫画を仕上げています。小物や美術を見ているだけでも面白い漫画ってのは、そうそうないでしょう。よっぽど資料を調べて、自分の血肉にしているんでしょうね。
お話のほうも、ヒューマンドラマを掘る手法の巧さと、キャラクターデザインの妙技が相まって非常に面白い。僕は登場のときからドロテア奥様信者なので、今回は旦那様と一話丸丸らぶらぶちゅっちゅキャッキャアハハの話があり大満足&歓喜。最高です。森先生は何であんなに、美人の経産婦の二の腕に付いた脂肪描写に目を血ばらせるんでしょうかね。ロートレックの霊でも憑依したんでしょうかね。
ともあれ、エマであり森薫作品であり、巨大市場である日本漫画の中でもこの一冊にしかない物が山と盛り込まれたイカす漫画。とっても面白かった出です。次で終わりだそうですが、不思議と名残惜しくないのは、ただエマの話が終わっているから、というだけではないでしょうね。