イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

マリア様がみてる 薔薇の花かんむり

今野緒雪集英社。マリ見てサイシンカーン。待ちに待った展開なのでバレ防止のため隠しますよ。
永かった……。
ドリルの初登場以来幾星霜、時に近づき時にはなれ、断固裕巳ドリ派を散々やきもきさせたこの年度が、遂に、遂に、遂に。終わるわけですよ、弓と瞳子のスールの契りでもって。ねぇ、あなた。
いや、引っ張りすぎだとか延ばしすぎだとか、色々感じるところはあった。それは否定しようのない事実であります。しかし、ことここにおよび、数多の艱難辛苦を乗り越えて遂にドリルと裕巳がラブラブキャッキャウフフアハハしている姿を見ると、色々と心に鬱屈していたはずの澱のような感情が雲散霧消していくこともまた事実なわけであります。
僕は瞳子がとてもすきだし、可愛いと思っているので、好きな人とこういう形で落ち着いたのは本当によかったなえがったなぁ(「ナツノクモ」のトシカツの顔で号泣)という感じであります。えー、23巻ですか。短編集含めてさまざまな人物と山百合会メンバーが掘り下げられたこの作品。キャラのアクティヴィリティというか、活きのよさでは日本の創作物でもかなりいい位置につけていると思うわけですね。
もちろんその生きのよさは、リリアンという人工生簀でしか保てないものなわけですが、今野先生がリリアンという異界を作り上げる術の巧みさは、そりゃ猛まさに職人技の領域だと思っているわけです。ですから、そこは問題ではない。瞳子という人物が、自分の好きな人と一つの結末を迎え、しかもそれがこの本一冊で見ればわりと序盤で、ああこの二人はまだ続くのだな、という余韻まで与えてくれて非常に満足であります。
そして乃梨子。いままでもリリアンの異分子兼アイスマンとして、微妙に人気があるんだかないんだか、いやさ僕は非常に好きで好きで仕方がないわけでありますが、その頭の切れと奥に秘めた高ぶるハートが今回両方全開でありまして、来年度の山百合会もまた安泰と、そう思わざるを得ないわけです。切れ者の乃梨子と、頭の回転が速い瞳子山百合会を背負っていく姿が容易に想像でき、今後への期待がいやおうなしに高まる構成でありました。
そして、なにやら最後の置き土産を投擲しそうな祥子様。23巻にわたって子の小説を引っ張ってきた片割れである彼女が卒業ということで、長年ファンをやっていたリリアンメーニアの諸兄も胸によぎる寂寥の念に耐え兼ねないとは思いますが。しかしこのように流転し、それでも切れぬ人の縁というものがこの小説の醍醐味のひとつだとも思うわけです。生き生きとしている人物ならば、周囲の環境も、その中心にいる自分自身も時野流れと共に変化していく。一見当然に見えるこの理屈を、丁寧にやってのけている子の小説は、やはり稀有なものなのではないかと思ったりもしたわけであります。ああ、素晴らしきかなリリアン