イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

キノの旅 11

時雨沢恵一電撃文庫。シグサワ先生、久々のキノでございます。シグサワ先生の原点というわけで、まぁ11巻も続いているシリーズである以上「いつものキノ」です。いい意味でも悪い意味でも。まぁそれひっくるめて僕はシグサワ先生のキノが好きなわけですが。リリトレが後半迷想に迷想を重ねたからねぇ・・・。食いなれた物が出ると安心してしまうのはよろしからぬ傾向ですな。
まぁキレのある短編がたくさん載っているわけですが。中でも異常に長いタイトルを読み飛ばされることを前提に、凄まじい小説トリックを仕込んだ「アジン(略)の国」の巧さは別格だと思います。小説のテクニックというのを久々に見たなぁ、という感じで。単純に巧い。巧すぎる。他の短編も、キノっぽい(まぁ他のシグサワ先生作品でもたっぷり出てくるわけですが)乾いたヴァイオレンスとリアリズムがいい塩梅に発揮されていて面白いですね。
一年振りとはいえ、シグサワ先生(そしてシグサワ先生後の、変化球系ライトノベル)っぽさとかは薄れるどころかいい塩梅に洗練されており、満足して読みました。シリーズが続く以上マンネリというか「同じ話」が続くのは切り離せない話なのですが、僕はワンパであること自体はむしろ評価の対象だと思うのですよ。ワンパを維持する努力、というのもあるわけで。そういう意味で、今回は安心できる内容でした。