イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

鋼の錬金術師 18

荒川弘スクウェアエニックス。国民的少年漫画の十八巻目。曰く「安定して面白いので特に語ることがない」漫画ですが、まぁ確かにね。漫画の面白さは、特色は基本一巻で出切るわけで、それを語ってしまった後はなかなか喋ることがないのは事実です。逆に言うと、一巻で感じた面白さが失せてくれば、自然読まなくなるということなのですが。
じゃあこのマンガを読ませる特徴、味ってなによって話しなんですが。少年漫画としての構成力、架空の世界を舞台にしながらも地面に足の付いた生命力溢れるキャラクター、ろくでもない部分から逃げない真面目さ、あたりでしょうか。それは一巻のころからあって(正確には長期連載が確定した二巻辺りで本気を出す)18巻の長きに渡ってずっと続いていることであります。
僕はなんどか同じことを言っていますが、同じことをずっと面白くあり続けるということは、特に漫画では難しいことだと思います。インクの中に込められた情熱とかそういうモノは、書き続けるうちに劣化というか磨耗というか、どちらにせよ薄くなってしまいがちです。ソレを思い出し、発掘し、再研磨して輝かせる作業というのは、商品として流通しきっちり価値を査定され納期がみっちり決まっている漫画という媒体では、なかなか困難なことでしょう。
んでこの漫画はその困難なことを毎回やってるな、と。その上で、今回のパーティー再編は漫画の巧さが圧倒的であり、ただある財産を再生産するだけではなく、ダイナミックに話を動かすぞ、という荒川先生の熱意が感じられます。キャラの粒が立っているのと、それぞれに行動理念がしっかりしているので、無茶に思える組み合わせでもお話が回転する当たり、さすが血管にインクが流れているだけのことはあります。
さらに遂に正体が明かされた最後のホムンクルス。何とはなしにそうじゃないかと思っていたよ、と思わせてくれる絶妙の情報制御力だと思いますねエエ。ただの設定出しではなく、現在絶賛大ピンチ中のホークアイ姉さんの現状にがっつり食い込んでくるところが、このマンガの漫画力といったところでしょうか。巧い。
とまれ、やはり人気があるには理由が存在するものだ、と確信する十八巻でございました。北方編はそろそろ収束かな? と思わせて、収束しても次の手はいくらでも打ってあるあたり、天性の漫画勘に震えがきますね。ナイスグッド、続きが非常に気になります。