イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

マリア様がみてる キラキラまわる

今野緒雪コバルト文庫。こっちも長寿、マリみて最新刊。前作「薔薇の花かんむり」で長々続いた瞳子問題に終止符が打たれ、どんなのでくるかなと思っていたら、凄く久々に少女小説でした。筋を一行でいうと「みんなで遊園地に行って楽しかった」です。ほんとにそれだけの話なんですが、それが非常にいい。
僕はマリみてがとても好きなんですが。波風立ちまくっていたここ最近の流れにドキドキしつつも、こうして「なかきよ」みたいな特に何が起こるわけでもない話しを読むと、こういう少女小説力がやはりこの小説の力か、と実感しますね。登場人物が激情をぶつけ続けるわけではなし(細かくけんかとかはしますがね)、淡々といかに遊園地が楽しいか、を書き続けているだけなのですが、ソレがとても面白い。
とはいっても、一段落した裕巳-瞳子ライン以外ではワリと戦争勃発加減であり、特に志摩子さんのさらっと重い設定を吐き出す病気が思い出したように悪化していてビックリ。まぁ乃志ラインは最近描写が薄かったので、このぐらい分厚くやっていただけると大満足。キャラの話しついでで語っておくと、克己さまと加南子が出てきて嬉しかった。奈々が写らなかったのは悲しかった。
マリ見ては微妙な現実と夢のバランスの中で浮かんでいる箱庭を楽しむ小説だと思っているわけですが、その中でなんというか、大切でキラキラしてプレシャスなものをテレと衒いなしで書ききってくる真っ直ぐ加減がやはりよい。その視点からいうと、今回はスールだけではなく友人や後輩先輩という色んな仲良しが、遊園地を舞台に目まぐるしく組み合わせを変えながらぐるぐる描写されており、単純に仲良きことは美しき哉、という気持ちで見れますね。
たくさんキャラクターがいるこの小説で、色んな組み合わせがとても耀いて見えるってのは、緒雪先生がずっと登場人物がこの危うい箱庭に足をつけることができるよう細かく書いてきたおかげでしょう。キャラクター達がこれだけの巻数を経て、なお瑞々しさを失わないってのはとても凄いことです。そういう部分を、今回のとってもキラキラした少女小説で再確認した感じでした。やっぱええな。裕巳が三年になっても続けてほしいなぁ。