イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

誰かがカッコウと啼く 1&2

イダタツヒコ小学館。「美女で野獣」が打ち切られたときはマジで切れましたが、ベテランはそんなことに負けず連載を続けるのであります。つーわけで、イダ先生得意分野であるホラーで新作、っても一巻はワリと前に出てて最近出た二巻とまとめて買ったんですがね。うむうむ。
イダ先生の絵は正直あんま巧くはないんですが、漫画としてのパワー、記号としての情報量はなかなかのものがあって、そういうのが映えるのはホラーなのかな、というのが一番最初の感想でした。ワリと不条理系というか、スプラッタでも不条理でもなくて、独特の神話形態をもって切々と繋ぐ、諸星大二郎系のホラー。
説明を片っ端から省略して、巻き込まれていく感じ、世界に食われていく感じを実感させてくれるのは本当にベテランの力を感じますね。怖いというか気持ち悪いというか、ともかく皮膚と神経に訴えかけてくる話の作りこみが、ホラーの構造を解っている職人芸の極みでありグド。今回の怖さの象徴である『恐ろしき子供達』の理解不能さ、不気味さも徹底していて、流石の一言です。
ホラーは漫画でもギャグの次ぐらいに難しいジャンルだと思いますが(センス勝負になる上に、完全に同じ話で話数を稼ぐことが不可能)、とりあえずストーリーっぽいのから外れて書かれた二巻ラストエピソード「ドッペルゲンガー」の圧倒的な構成力を見るだに、やっぱイダ先生の漫画力はスゲェ、と実感します。面白い漫画だ。今度はちゃんと終わってくれ。