原田宇陀児、小学館。まさか出るとは思ってなかったよ正直！ ウダルちんのネロネロしたオモイデ教スピンオフ、のツラを被ったラノベレーベルから出てるラノベ以外のおぞましい何か二巻目。ガガガをラノベレーベルと言っていいかは、少々疑問の残るところでありますがね。だってこれとか樹海人魚とか。二巻出るとか思ってないって。
うほん。話がずれました。雫とか色んなものに影響を与えた、元祖オモイデ教の名前を関するこのお話。ウダルちんも雫同人からプロになったわけで、シンパシーの分厚さとか尋常ではないんでしょうが。元祖オモイデとは一切まったく何にも関係なく、しかも今回はただの前振りのまま終わりました。スゲェ自由だな。慣れてたつもりだけどびっくりしたよ。
前回乱歩のオマージュだったわけですが、今回は横溝です。裏日本の湿った旧家で盲目お姉さんと多重人格女装弟がが！！ ウダルちん、ホントミステリ好きねぇ。全体としてみると、ミステリのいわゆる｢事件編｣でありまして、特に何にも進まず謎だけチラリホラリと置いております。これで三巻出なかったら笑う。終わってねぇわよ。
んじゃあ終わってねぇこの小説どうなのよ、という話ですが。僕は好きです。相変わらず、日本語が巧い。風景の描写など、非常に映像的かつ鮮明で綺麗ですね。漢字旧字の割合が小気味よくて、そこらへんの意味合いでもミステリ好きだなぁ、と思います。ブロックとしての文字だけで読めてしまう心地よさがあるというか。裏を返せば衒学臭が漂いすぎなんですが。
まぁそこらへんは好みで。構成ブッチギリで好きなだけやってしまう迸りとか、表向きスピンオフってことになってるのにオモイデ教のオの字も出てこないただのミステリになってるとか。消すつもりも無い作家エゴがバリバリなウダルちんの小説が、僕はやっぱ好きで。出るとは思っていなかっただけに、やっぱこの小説は面白かったよ。願わくばちゃんと三巻出て、終わらせてほしいなぁ。Ｌｅａｆでもファウストでも、ウダルちん終わったことが無いのだもの。終われない作家は、少し寂しいよね。それが好きな作家ならなおさら。
