イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

マリア様がみてる マーガレットにリボン

今野緒雪集英社マリみての二十三冊目? になるのかイラストコレクションとか抜くと。いやー長いねこうしてみると。さておき、今回は短編集。といってもコバルトに乗ったのを集めたわけではなく、今の流れだと登場の機会が無い人メインで書下ろしです。具体的には旧三薔薇様。でこちんがバリバリと出てきたので大満足であります。
とはいっても、一遍一遍は短いので、他のメンバーメインの話も多々。加えて、例にー事件でのフェティッシュだった青いかさをメインにすえた、実験的な中篇がひとつ、という構成。短編は切れ味が命だと思うわけですが、そこに関しては問題なし。全編主役一人称で統一されているせいか、全体的に爽やかな読後感でした。短い中に必要かつ十分な素材がちりばめられていて、すんなり読める。
個人的には「僕の兄妹」が白眉かなぁ。こっから先、現三年が卒業するという大波が来る中、志摩子さんの周りが微妙に霧がかっていて。なんでこの子はこんなにシリアスかつ達観してるのかね、という疑問が常にあったわけですが。このお話でほぼ全て晴れたかな、と思います。寄り道なしで志摩子さんのオリジンをきっちり捉えていて、納得できました。
やっぱというか、緒雪先生は小説巧くて。長編でキャラに感情移入させる形でも読ませるし、今回みたいな切れ味勝負でも十分刺す。さすがにベテランですね。話が進んでないっちゃそうなんですが、とりあえず状況としては一段落しているわけで、シリーズの回転も大切だけど、今回みたいな小説芸をじっくり味わうのもいいな、と僕は思いました。次辺りで卒業式かな。楽しみだ。