かとりまさる&安藤慈朗、集英社。アフターヌーン連載の将棋&サスペンス、遂に最終巻であります。いや、終わった終わった。個人的には、将棋のほうもサスペンスのほうも、満足の行く終わり方でありましたよ。しおんちゃんと歩くんの関係にもきっちりケリが付いてたし。うんうん。
将棋マローダーばかりが跋扈するこのマンガでしたが、マローダーどころかマーダーでもあったよ、というオチでサスペンスのほうはケリがつきまして。まぁミステリじゃないんだし、このオチでいいんじゃないの、と思います。というか落としどころはここにしかないような気もする。将棋のほうは、マロードするばかりが将棋じゃないよ、という平凡ながらもしおんちゃんのキャラを考えるとこの一手というオチ。こちらには文句なし。
八巻見終わってみると、ジリジリした勝負の部分と、声を盗まれた少女の再生というテーマが実は巧く絡み合っており、事件がほぐれていくにつれてそれらが融合していく構造だったのね、と思いました。そこがわかるのが最終巻、というのはちょっと弱いところですが、まあ解るので別に良いかと。将棋、サスペンス、少女の成長に恋愛と欲張った漫画だったわけですが、とりあえず全部に決着をつけたのはとてもいいことだと思います。
キャラに関しては文句なし。しおんちゃんは相変わらず強くてよいこだし、全部のキャラが落ち着くところに落ち着いて話が終わりました。現実の将棋界と照らすとちょっと開放的過ぎるオチですが、まぁそこらへんに引っかかる人は途中で脱落してるだろうし。さておき、やっぱこのマンガ最強の萌えキャラは神園九段だったということで。強キャラを崩さずに萌え属性を付与するとは、なかなかの離れ業です。
僕は何度も書いているんですが、漫画が巧く終わるのは、漫画が巧く続くより難しいと思います。月刊誌ということもありますが、この漫画は楽しく、そしてしっかりと終われたわけで。その二つの単純な事例が、漫画を評価する軸としてかなりの強度を持っているんじゃないかなぁ、と、このお話を読み終えて思いましたよ。とまれお疲れ様でした。