かわぐちかいじ×藤井哲夫、講談社。かわぐち先生が新人原作者と組んで描いた、ビートルズ型時空改変漫画の二巻目。またタイムスリップで歴史改変かよ！！ と思ったりもしないわけではないけど、銃とか国家とかは全然出てこないので安心。つーか原作者が付いたことが、いいアクセントになったのかな。
ビートルズが好きすぎて頭がおかしい主人公が、コピーキャット剥き出しの超理論でビートルズに成り代わろうとする、というのが大体の筋。タイムスリップして盗作で大勝利狙い、と一見犯罪かつ卑怯な物語に見えますが、マコトはビートルズが好き過ぎて気が狂っているので、ビッグになりたいヤツの話、というよりはファナティックなヤツの話です。ファンという存在に潜むキジルシ力は、時空SFの原動力として新しくて、なかなか面白い素材だと思います。
音楽描写は流石のかわぐち先生、という説得力で、ビートルズという"体験"を上手く漫画に落とし込んでいます。ビートルズになる以上、それは巨大なムーブメントにならないといけないし、それを書くには大きな説得力がいる。演奏や曲の受け入れられ方、業界の反応などなど、今のところそれは得られている気がします。二巻のヒキもとっても気になるし、続きが読みたくなる良い漫画でした。
