森高夕次&アダチケイジ、講談社。モーニング連載のサラリーマン的野球漫画。タイトルの「グラゼニ」は左サイドスローの中継ぎ26歳八年目っつー、野球漫画史上多分一二を争うビミョーなプロフィールの主人公の座右の銘であり、「グラウンドには銭が埋まっている」の省略形。
こんな風に概要を書くと、油っぽくて生臭い銭ゲバ系野球漫画なのか、と思うけれども、この漫画の特徴(でありいいところでもある)は、銭の話しをしつつも、プロ野球という場所が持っている夢の引力みたいなものを、当事者である主人公自体が失っていないところ。いつまでも続けられるか解らないし、やめた後の保障も定かじゃない商売だけど、プロ野球に夢をかけていること、それ自体を主人公は否定しない。
そういう、ニヒリズムに陥っていない主人公夏之介を筆頭に、丁寧にエピソードを積み重ね、じわっとした味のあるサブキャラを積み重ね、プロ野球を良く視てるネタを織り交ぜ、しっかりと漫画に仕上げている印象。四億円プレイヤーを抱え込んで、まともな補強も出来やしないカーナビーツの悲哀とか、かなりレアで巧い切り口。そーいう、野球業界漫画としての面白さと、銭というテーマ、根っこにあるポジティブさのバランスがかなり良い、丁寧な漫画です。面白い。毎週連載もゲットしたみたいなので、二巻以降にも期待大ですね。