笠井スイ、エンターブレイン。お嬢様可愛い漫画の三巻目。そしてそんだけではないところを見せる巻でもある。一番大きな事件はエリックくんの離脱でしょうか。お嬢の成長、エリックくんの成長のためには絶対必要なので、必ず起きるイベントだとは思っていたんですが、想像より早い。お嬢よりも一足お先に、エリックくんは苦い世間の水を腹いっぱい飲まされていますが。モニクさんゴミクズすぎる……。
一方、取り残される形になるお嬢は相変わらずの愛されガールであり、試練の日は少し遠い感じ。クレープ屋の親父はツンデレだし、女の子にもモテモテだし。可愛いからしょうがないね、うんうん、と思わせるキャラ造形が、この漫画最大の武器だと思う。ほんとうに可愛いなぁ、子供時代のエピソードも健気でよい。親父さんはもう少し敷居を下げてあげれば良いのに……。
船長久々のメイン回となった十七話は、子供の夢と大人の夢が交じり合った、上等なメルヘンだったと思う。屋敷の中に侵入する時の、視線の低さの丁寧な描写。造船技師の自由なキャラクター造形。ジゼルの解決策の綺麗さ。漫画の構成構成、一つ一つの粒がかなり立ってて、良質なエピソードだったと思います。船長の話を笑わずに聞くP194とか、非常に良いですな。