七月鏡一×藤原芳秀、小学館。殺し屋にして教師、藤沢真吾ことジーザスの物語、とりあえずのピリオド。色々あって13巻14巻と連続で読みきったんですが、最初に抱いた正直な感想は「随分駆け足だな」です。ラスボスっ面してた教授はタリクにさっくり殺され、バトルボーグこと”鋏”が突然自己主張し、あれよあれよという間に24残党とTPCが壊滅する。イベント山盛りであり、もう少し尺があってもいいかなぁ、と感じてしまう。ジーザス出てくる話は、毎回尺との戦いだなぁ。
しかしながら、各キャラクターのエピソードとしては盛り上げ盛り下げ結構うまく行っていて、特にこの二巻が実質初登場となるタリクと”鋏”の登場時のインパクトの強さ、盛り上がりの消化の巧さは、やはりこのシリーズ、という安定感と信頼感がある。生徒役である綾木の物語に正解が出るのはある意味当然ですが、教師役であるジーザスの物語も一回転させるのは意外かつ嬉しかった。
今までさんざんカマせドッグにされたアッシュに美味しいところが回ってきたり、小此木は最後までヒロインだったり、カイザさんが美しい退場を見せたり、14巻描写されてきたキャラそれぞれに見せ場があり、「殺しの継承」というテーマにも答えが出た。形になっている分、もっと見たいという気持ちは強いけれども、いい最終巻だったと思う。