イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

卓上ゲーマー夏の新作祭り、第三弾

(このプレイレポートには、暴力的、不謹慎、ろくでもない表現がそれなりにあります。ご注意願いします)



JGC開け三度目のオンセは、サイコロ・フィクション新作のろくでもない方を遊んだよ。
シナリオタイトル:キル空〜切ない恋物語〜 システム:キルデスビジネス GM:シェンツさん
Braveoneさん:リリヤ:ファイアドラゴン:オカルト:19才女性 フリーキッシュ・ヴァンパイア・メタル・バンド「MALkavIAN」の熱狂的おっかけバンギャル。何故か自宅の風呂場で死んでたバンギャル仲間を、後腐れなく始末するために殺したり殺されたりする立場に。日和見主義と自分可愛さのハイブリッド生命体であり、したたかな生き様で暫定チャンピオンに上りつめる。
よねちょさん:井之頭純子:ファイアセクシー:恋愛:42才女性 同人フィギュアとBL本のセット販売でガッツリ稼ぐも、愛を手に入れられなかったので悪魔と契約したヘル腐女子。今回のギリギリ王であり、中の国の方の嫁さんのイラストを生で出して「ヤバいって! コミケとかJGCで遭遇したら目合わせらんないって!!」という周囲の恐慌により目線が入った。運命のいたずら(=サブプロット表)によりリリヤとのテコ入れシーンを徹底して狙い、唯一のサブプロット達成者に。
浅間忍さん:ジョージ:サムライドーザー:修行:35才男性 鎧衣ゲンスイにだまくらかされ、魂と片腕を安値で売っぱらわれたアタマのおかしいライダーマン。殺戮衝動に囚われ、コロシ上等なキルデス倫理観にあっという間に飲み込まれる様は、平成ライダーに出てきたら8週で命を落とすこと間違いなしな外道感。ソウル借金で死にかけるものの、追加シーンで見事ヘルトラクター(動力は核)の宣伝を成功させ、テコ入れ報酬でギリギリ生き残る。
コバヤシ:"闇金キルデスくん"斬々舞深淵:ドーザートリガー:正義:25才男性 キルデスファイナンスの社長であり、借金の形の魔導書をいじってたら悪魔を召喚してしまった。名前の読みは「きりきりまい・でぷす」。ガードを下げて交流しやすくするために「実は善人」と設定したが、死んだり殺したりするろくでもない世界に飲み込まれ、因果の輪から抜けられないまま借金まみれに。追加シーンで標的をぶっ殺して、ギリギリ食われる側に回らずにすんだ。
「斉藤高吉全部出し」「帰ってきた頭蓋粉砕」「サイコロ・フィクション最凶システム」などの異名をプレイ前から一部で(つーか俺の脳内で)獲得していた、超ろくでもなく殺したり殺されたりするシステムに集まったのは、VtMからやって来たヴァンパイアポーザー、ヘル腐女子、気の違ったライダーマン闇金キルデスくんという「ああ、こりゃ酷いね」と事前準備の段階でわかる面々。よねちょくんの踏み込み方がマジ凄くて、思わず源文ッ面でHERHER言ってた。
実際のプレイが始まってからもろくでもなさは収まらず、というか全てがダイスに左右されるシステムにより更に加速を早めていった。何故か挿入されるスペースオペラアニメ26話。ヤミ金業者が被災した東北の地元住人を尋ねる「田舎で暮らそう」(遭遇したのは、倉庫で人身売買を商う腐れヤクザ。テコ入れ判定は失敗し、同行したリーリアとの「東北ってヤクザしかいないんスか!」「まぁ、箱根からあっちヤクザしか取れないからね」というやりとりがマイクの切り忘れで全国に放送された)。
リリヤはライブを敢行し、無論「クソニワカが!」「フール様に近づきすぎよ!」など反感を買いまくって襲撃され、バンドメンバーであるジョージのライダーアームが唸り観客席にいたソーニャ・ブルーが飛び出しナイフの腕を振るう。何の脈絡もなく挿入される純子とリリヤの水着サービスシーン。そしてそこに襲撃する、やっすいヘルクラーケンのキグルミ。全てが地獄絵図だ。ヘルTVだしね。
2サイクルが終了し、さて最終決戦……となったが、ダイスの神様は微笑んでくれずに全員敗北。追加シーンで誠っ面の彼氏を屋上から落下死させ、いとうかなこがEDをがなりたてる中言葉っ面のヤンデレを味気なく撃ち殺し、なんとか形を付ける。だが、洗礼としか言いようのないろくでもなさの乱打(ラッシュ)を受けPLは疲弊していた。スカイプの調子もいきなり悪くなるし。しかしシーズンは未だ終わっておらず、ギリギリのところで脱落者も出していない。いったい、どーなってしまうのか!(ガチンコ風味に〆)
そんな感じの、キルデス初体験でした。シェンツ先生が本気で笑いを取りに来る時特有のモードに入っていて、賑やかしのためだけに用意されたヘルピープル達、携帯小説と韓流ドラマとレディコミをわざわざ読破などなど、シナリオにろくでもない風を吹かしまくるための丁寧な準備がばっちり仕事していました。恋愛脳が求める歪で邪悪な展開を、あそこまでエミュった今回予告マジで初めてみた。狂気の沙汰ほど面白い……ッ!
システムの方は色んな意味で楽しく難しいシステムで、ダイス目で進展していく物語をどう解釈しつなげていくかとか、自分のろくでもなさ銀行からどうやって演出を引っ張ってくるかとか、テコ入れが発生して思い通り動けないストレスをどう楽しんでいくかとか、非常にテクニカル。世界観も最強に強まったろくでもなさだし。
しかしながら、このアクが強く難しいシステムを遊べるように最大限努力し、軽いところは軽く、作りこむべきポイントをしっかり補強したメイキングは非常に良く出来ています。数値関係の取り回しはスムーズだし、ろくでもなさ銀行が閉店したら取り敢えず名詞のアタマに「ヘル」って付けておけば最低限それっぽくなる緊急避難策も使いやすい。サブプロットもテコ入れ表も全てろくでもなくて、とにかく俗悪なことをしたくなるのは良いことだ。良いことだってんだろ!


しかしながらスタミナとテクニック、そしてPL相性を要求されるシステムであるのも事実なので、自分的に発見したことを書き残しておこうと思います。
1 魔法の言葉「これからワタクシ、非常に不謹慎な発言を致します!」 
俗悪本能を強化するシステムなので、酒の入ってない状況であれば白眼視まちがいなしな危険球も思わず放りたくなってしまいます。しかし、取り澄ました仮面を維持したいのも人情。そんな時この魔法の言葉を使えば、脊髄から湧き出てきたろくでなしパウアを全開にしつつ、パブリックイメージをそこまで損なわずに住みます。
2 諦めつつ諦めないキャラロール
 視聴率とソウルに全てを縛られた哀れな下僕達は、サイコロ2つで行動があっちに行ったりこっちに行ったり、「コイツ善人なのか悪人なのか、キチガイなのか天才なのかさっぱりわかんねー!!」とキャラもフラフラします。しかしそこに負けて、ろくでもない状況に最適解を反射し続けるだけのマシーンと化すと、TRPGやってる意味がゲシュタルト崩壊します。キャラ愛は抱きすぎず諦めすぎず、自キャラがやるべきストーリーの先読みもやりすぎず諦めすぎず。
3 生存と勝負に拘れ! 
連続するテコ入れ、「俺のカッコ良いキャラはこんなことしない」、どう考えても返せない借金、隣の人から垂れ流しにされるろくでもない妄言。心折れる瞬間も多々あるでしょう。がしかし、そこでゲームを投げてしまっては、如何様勿体無く口惜しいものです。逆転の芽は結構あるので、諦めずダイスを振りましょう。それでも挫けそうな時は休憩をとって、「ぶっちゃけキツイんスけど」と正直になりましょう。大丈夫、同卓の人はキクミミを持っていますよ。
4 脊髄反射に頼れ!
分散したプロットを纏めたり、他のPLと勝負を競ったり、一般的なTRPGではあまり使わない脳みその部分を使うため、キルデスビジネスは疲れます。ロールがぐずぐずになっても空中分解しないために、自分の得意分野をキャラに添付し、ネタを脊髄から出せるようにしておきましょう。好きこそものの上手なれ、脳みそがゆだっている時でもマイリストは裏切りません。ただし、キャラクターは確実に死んだりオカルトサイボーグになって復活したり死ぬよりひどい目にあったりするので、好き過ぎてヤバいネタはあんまりオススメしません。
こんな感じでしょうか。なお、「マトモな話やりたきゃ、アルシャードセイヴァーとか演ってりゃいいんですよ」というGMの発言と、終わった後PLから漏れでた「……なんか今、凄く王道な話がしたい。悪とか倒して世界とか救いたい」という言葉を記して、レポートを閉じたいと思います。いやー、良いゲームだった。