・四月は君の嘘:第7話『カゲささやく』
自覚のない天才の業まみれ爽やか青春記、今回はトラウマと決戦前夜の二本立てでした。
相変わらず演出意図がすんなり飛び込んでくるアニメであり、直球が早い。
画面の見せ方がクリアで、解釈に迷うシーンが殆ど無い素直さが強いなぁ。
いろんな事をやって忙しい構成なんだけど、亮太の意地の貼り方を頭に持ってきてくれたのも良かったなぁ。
今回はAパートのトラウマと、Bパートの決戦前夜が上手く呼応する構成になっていました。
過去の公生くんが周囲を一切見ず自分も見ず、恐怖すら感じないのは母親しか見ないから。
それを失って、かをりちゃんという天才に出会って蹌踉めきながら立ち上がって、はじめて恐怖を自覚する。
そうしてはじめて、彼は演奏する他者を認識出来たわけです。
競技の場の厳しさと、そこに並ぶ人たちへのフェアネスにしっかり言及してくれるのは、見ていて安心できる描写でした。
この流れの中で決定的な仕事をあらゆる局面でしてるのがかをりちゃんで、トラウマを聞いたのもかをり、解決の糸口を与えたのもかをり、コンクールに引っ張ってきたのもかをり、緊張する公生くんを笑わせたのもかをりと、まさに世界の中心。
きらきら星で笑わせたシーンの構図はすっげー残酷で、公生くんの笑顔が発生源であるかをりちゃんを貫通して、椿ちゃんに刺さるポジションになってます。
椿を一切映さないのが最悪に性格悪くて、すっげー良いと思います。
公生くんはかをりちゃんに夢中ですが、ぴょっこり飛び出した金髪ボーイと黒髪ガールは公生くんに夢中。
夢中っていうか完全にべた惚れ状態で、「あ、この子らチョロい良い子だな……」と一分見てるだけで分かるね。
『技量だけ』『人間メトロノーム』と揶揄されつつも、至近距離で競り合って負け続けた二人は、公生くんの才能をしっかり認めてるという対比は、見ていて気持ちよかったですね。
対する公生くんも、人間台風かをりちゃんに進んで巻き込まれる形で生き方を変えており、ようやく自分に焦がれる二人の顔を認識した状態。
母親以外の人間がいなかった世界から神がいなくなり、ようやく見つけた神様はあまりに人間力が高いので、世界に目もくれないことを許してくれなかった結果ですね。
こうして考えると、やっぱ高校生離れした人格の持ち主だなぁ、かをりちゃん。
……その背景に死病があるとしたら、あんま喜べもしませんがね。
主人公の精神に一歩踏み込むエピソードと、大きく飛ぶための足場を踏みしめるエピソード。
お話が向かう方向は正反対ですが、共に今後の飛躍を予想させる、しっかりとした足場固めでした。
新キャラもこの話しらしい気持ちのいい青年たちであり、音楽という舞台で彼らの人間が見えてくるのが、とても楽しみになりました。
コンクール本番、盛り上がってきましたよ!
・ Gのレコンギスタ:第9話『メガファウナ南へ』
おかんの決死行が呼び水となって、久々にベルリ候補生故郷に帰るの巻。
メガファウナは南米ののどかな風景を通り過ぎ、マスクの襲撃など受けつつ無事キャピタルへ到達、トップ同士の顔合わせが実現した所で空からの脅威が顔を見せたという流れ。
いつものごとく飄々と、軽やかに政治的状況が凄い進展を見せた回でした。
アーミーの思惑はさておき、ガードの人たちは長閑な善人だし、腹に一物ありつつもクンパ大佐も法皇も対話には応じてくれる。
最前線では見えなかった対話可能性が今回見えて、なかなか面白かったです。
旅の道程や街の中の描写が活き活きしてるのが、なんか戦争ばっかしてるのも良くないなという印象を強化してくれてるのは凄い良い。
ベルのセリフじゃないが「顔を見ちゃったら殺せない」のは、皮膚感覚的な真実だなぁ。
そういう政治劇の前に、南米の自然の中をのんびり進み、クセの強いメンバーの奇妙な日常生活を挟んでくるのがGレコセンス。
滝に驚くスルガン親子やら、鶏買い取りシーンやら、やっぱGレコの日常描写は奇妙でありながらいい匂いがする。
今回は奇妙な存在感を持つステアさんの出番が多く、僕の大好きな長閑なキャピタルの風景もたくさん見れて、個人的にグッドな感じでした。
声の通りが凄くて、不思議な魅力を持ってるよなぁ、ステアさん。
あとノレドとラライヤのシーンが絡みが印象的で、これも俺によしでした。
ラライヤは何かというとノレドの真似ばかりしていて、毎日世話をしてくれるノレドのことが本当に好きなんだなぁと判り、ホッコリする。
今後も仲良くなり、ますます仲良くなって欲しい。(アニメ実篤先生、再誕)
一方クンタラの運命を背負って毎日命がけ男ことマスクは、今週も襲撃をかけてきた。
何が酷いって、実験部隊とはいえモビルスーツに脱出装置付いていない所。
スカイダイビングのシーンはいつもの様にトンチキで面白いんだが、あの状況に追い込まれた背景を考えるとやっぱ笑えない。
ピンク色の美少女が出てきましたが、今後マスク部隊として活躍するんですかね?
クンパ大佐は、アーミー実戦部隊とも溝がある感じでした。
「地球人は絶滅しても良し」発言といい、まだまだ底が見えない人物。
空からの脅威に近い立場の人間なのかなぁ?
実権を拡大したいアーミィが、仮想敵国の軍総監と自分の国のトップの会談を黙ってみているとも思えないので、次回は横槍が入る感じでしょうか。
同じ国の中でも組織・人物によって利害や心情は大きく異なり、それ故様々な軋轢・衝突が起こる。
それとは逆に、身内より敵対的組織の相手のほうが話が通じることもある。
このアニメが見ている世界の複雑さが、しっとりと見えてくる回だったと思います。
・ selector spread WIXOSS:第8話『この世界は私物』
今週のカードゲーム邪霊譚WIXOSSは『イオナさん独演会』『カードゲーム詐欺の起源は電波だった』『SAYONARA』の三本立て!
前回ラスボスだと思った人が刺されて退場し、もう一人と世界の起源が解説されました。
いやー、大変なことになってんな。
パーフェクト気持ち悪い系女子から見事な浄化を遂げ、いつもの様に卑猥なセリフを口走りつつメス顔してたイオナさん。
るぅ子と出会ってから角がとれてった描写すごく丁寧にやっていたので、心変わり自体はようよう判るのですが、初めて知った人の情を表現する言語がどう考えてもエロワードなのは……いつものことだな。
まぁ浄化された程度で幸せになれない世界なのも何時もどうりであり、黒くて悪いタマに顔面ボッコボコにされちゃいましたけどネ。
ほんとヒデェなこの世界。
一方カードゲームで勝ったからといって油断できないのが現実の世界であり、調子こいてたら刺されちゃったよウリスさん。
お前が刺されるのは人間を弄びすぎた帰結だからいいとして、完全に重犯罪者になっちゃった晶は、これから一体どうすればいいのか。
心の欠落を抱え込み、ギザギザ尖った末に偽物の愛に依存し、それが破綻して刺した。
晶の歴編をまとめればこうなりますが、これで終わるのはちょっとシンドイかなぁ正直……。
繭さんの妄念が創りだしたWIXOSSという地獄が、どれだけ悲惨なのか見せるのには悔しいが最高のキャラだとは思うけど、ネ。
係る輩全員不幸にしかしない最悪の願望機を創りだした繭さんも、今回オリジンが開示されていました。
孤独と不変の結果世界を恨み、未練の中で死んでった存在が悪霊になって世界を呪う。
そら詐欺通り越して不幸生産装置にしかならんわな、と納得できるWIXOSSはじめて物語でした。
繭さんは救済を求めて白と黒のルリグを現実化したわけで、綺麗になったイオナさんが訴えてた漂白計画が届かない相手だとは思わん。
ですが、晶がぶっ刺したボールペンは現実なわけで、ウリスの生死次第で話の落とし所が大きく変わる展開になったなと思います。
まー死んでなくても人間をこうも追い込み、不要なストレスを世界に撒き散らす悪魔のシステムではあるので、単純に綺麗になりましたー、で済む話ではなさそうだけど。
完全に白くなったイオナさん引っくるめて、主人公周りのキャラは既に答えを手に入れてるので、元凶たる繭さんと彼女が支配するWIXOSSシステムがそこにどこまで寄り添えるかが、今後の焦点になるのですかねぇ。
世界を支える秘密も公開され、そろそろ収まりそうなタイミングで大事件をぶっ込んでくる、WIXOSSらしい展開でした。
少女たちの地獄はもう少し続きそうで、嬉しいやらシンドいやら。
飽きさせないなぁ、このアニメは。
・ プリパラ:第21話『解散!?そふぃ様親衛隊』
1クール目でひとしきりの成長を遂げた……様に見えて、じわじわ出来ることが増え、じわじわ出来ないことは出来ないまま、かたつむりのような歩みを続けているそふぃさんと親衛隊のエピソード。
レオナとドロシーの関係もそうなんですが、強者が弱者を守っているように見えてその庇護感系それ自体に依存しているという共依存関係の描写は、プリパラには妙に多い。
そこを無理くり健全にしてしまうのではなく、軸をずらした関係性を提示してくるのはプリパラらしいなと思います。
露骨に子供であるそふぃがじわじわと成長していても、中身の方はまだまだ隙だらけであり、原宿から秋葉原に行こうとして真鶴に辿り着くくらいにはポンコツであります。
なので親衛隊の手助けはまだまだ必要だし、ソフィはアイドルでもあるので、ファンとしての声援を送る関係はどんなに自立しても必要。
後まぁ、脳味噌の裏っ側までそふぃ様に焼きつくされた子たちばっかなので、離れて暮らせるわけもねぇ。
何よりお互い想い合ってるなら、繋がっていたほうが無理は無い。
クドい海産物ギャグの裏には、お互い離れたくない強い思いを奥歯で噛み締めている、人情紙風船が見え隠れするわけですよ。
今回のオチは徹底的にボケまくった結果落とし所が無くなったのを委員長が強引にまとめたように見えますが、らぁらとみれぃがそういう『視点のずらし方』を指摘した結果、収まるべき所に収まったんだと思います。
そふぃは一番変化と成長の判りやすいキャラであり、ただ自立しているだけではなく、周囲の気持ちを考えて自分を抑える強さとかも、今回のポイントかと思います。
まー駅員さんがホームまで案内してくれたのを見ると、そうとう危なっかしいんだろうけどな。
ポンコツの社会性獲得が話の背骨になるアニメってのも、案外珍しい気がするネ。
お互い大急ぎで大人になろうとした結果、微妙なすれ違いが起きてた親衛隊とそふぃですが、それも真心から起きたもの。
今回の答えとしては『そんなに急いで大人にならなくても良い』となるわけで、これだけのことが起きた上で、結局距離感が劇的には変わってないのは、実はそんなに問題じゃないんでしょうね。
レオナのジェンダーギャップの問題にしてもそうですが、なにかドラマチックな瞬間からすべてが変わるわけではなく、変化のキッカケとその継続どちらも大事というのが、プリパラが成長や変化に対して持ってるスタンスなんだろうなぁ。
そこら辺のスローさは、のんびりしているように見えて、このアニメ相当豊か。
それにしたってボケ倒しの徹底された回で、ノーモーションでブラシがザリガニになっていたり、あまつさえそれを使ったり、解散するから海産物だったり、濁流のように溢れるボケに押しつぶされそうな展開でした。
あのアマダイ、どう見てもシイラだし……アナゴはウツボだし……。
この「え?」と思ってる間に二度目のボケが来るラッシュは非常に森脇イズム全開であり、非常に気持ち良い。
今回久々にクールモードでソロ活動してましたが、かつてはクール&スパイシーに聞こえた名乗りも、中身が「ウッカリ道間違えて相模灘まで出ちゃったの☆ミ」だと知ってると印象違いますね。
そういう面白みが出ているのも、そふぃが成長した結果。
彼女の道のりを爆笑とともに楽しめる、とても良い回だったと思います。