イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

アニメ感想日記 15/07/13

GANGSTA:第2話『HUNDEMARKEN』
血飛沫飛び交うまんがタイムきらら殺伐、第二話は首輪付きと二人の女の話。
相変わらず人がモリモリ死ぬのにどこか温度が低いままという、独特の雰囲気が気持ちいい。
単純な『超人設定まじすげー!』で終わらず、身内にもビビられてるし社会的には弱者だし、辛い所もちゃんと描写してたのがバランス良かったな。

先週『モブが棒立ちでぶっ殺されるのがちょっと……』とグダグダ言っておりましたが、今週のバイオレンスはタグ付きパワー全開の超筋力バトルに、女をお取りにした不意打ちキルと、捻りが加わった内容。
やっぱロクでもない世界のロクでもないお話には、人間の想像力を良くない方向にフル動員したバイオレンス描写が欲しいな。
ムキムキ兄貴が銃器取り出したらどうすんだろと思ったが、銃弾くらいなら弾くのかな、A/0等級は。

無敵パワーを思う存分見せつけた『タグ付き』ですが、街の支配者層からは換えの効く消耗品扱いだし、お薬飲まないと死ぬっぽいし、心を開いてくれてる女達もビビり混じりだし、気楽な家業とはいかない感じ。
ニナちゃんとの交流は心温まる感じだったけど、街と同様リスクへの恐怖込みで付き合ってる感じもあり、ピリッと苦い描写が良かった。
ニックの超暴力にしても腐った街の現状にしても、リスクを受け入れた上で頑張って前を無効と震えてるニナちゃんは、人間味あって良かったです。
セックスの領域から離れたと思ったらバイオレンスの領域に引っ張り込まれている麻美子も、よそ者立ち位置を巧く活かして、『タグ付き』の設定を引っ張りだしてました。

結構じわっと時間を使うアニメなんですが、暴力が日常である便利屋の毎日とよく噛みあっていて、独特の魅力になってます。
今回で言うと、ニックの三分タグ付きクッキングがはじまった後裏路地にカメラが移り、グシャグシャになった空き缶がアップになる所とか、『ああ、アニキがろくでもない事になる……』というウンザリした予感を生んでいて、なかなか良かったです。
医者も指欠損してるし、暴力や性描写以外のところでも踏み込んでるね、このアニメ。
手話もヌルヌル動くし、ただの悪趣味暴露にせず、それなりに向かい合っているのは良い。

あとさんざん血を流した後、フツーに買い出しして帰るおじさん達。
狂ったペーソスがあるところが、このアニメの好きなところです。
なので、人ぶっ殺した後の捨て台詞がややキマリすぎでありもうちょいぼんやりさせて欲しいというのが、個人的な感想だったりする。

今回『超ろくでもない『タグ付き』がわんさかいる、ろくでもない街』という説明を終えたことで、色んなタグ付きが登場する素地が整いました。
今後も個性豊かな暴力を携え、犯罪と殺人に躊躇いのない人間のクズたちがゆったり生きたり死んだりしていって欲しいです。
いやー、ほんとうに素晴らしく最悪だなこのアニメ!!

 

ガッチャマンクラウズインサイト:第2話『penetration』
変わった世界の変わらない問題を扱うアニメ、二期はその社会の中に浸透して、一期で行われた選択の結果を見せていくお話。
同時に新主人公ツバサと旧主人公はじめを対比させることで、二人の利点と欠点、強さと弱さを見つけていくお話でもあった。
ゲルサドラの笑顔の地獄っぷりといい、VAPEが引き釣りだしたクラウズの問題点といい、不穏なオーラ満載のいい序章でした。

クラウズ一期でカッツェの悪意に対校するべくヒーローたちが選んだのは、クラウズという超常的な力を別け隔てなく分配し、世界をアップデートすることでした。
結果、駅前のモール内部で宇宙人と変身ヒーローが堂々とイベントをこなし、電送型テロが襲いかかる世界が生まれた。
良くも悪くも世界は変化していて、モバイル市長戦は多分、そうやって変わった世界の一番分かりやすい象徴として選ばれてると思います。

んで、その変化を生んだ一番の原因であるクラウズは、相変わらず良いことも沢山ありつつ、問題点も山積。
累くんは性善説信奉者で理想主義者であり、クラウズを配ったのも『群衆は賢く、より善い方向に進んでいく素養がある』と信じているからだというのは、彼自身が今回口にしてました。
VAPEと理詰夢(『理詰めの夢』って、もう破綻すること前提みたいな名前で凄いな)が赤いクラウズで浮かび上がらせているのは、累くんが信じている人類の本当に信頼に値するもので、強大な力をふるうのに必要な責任を受け取れるほどの覚悟があるのか、という所だと思います。
一種露悪趣味といいますか、『お前の理屈はこうだけど、こういう都合の悪い事実が目の前にあるんだけど?』とカウンターを当てている感じが、VAPEと理詰夢からはしますね。

中心がない平等なクラウズは、状況に対して個々人の判断で対応します。
それは一期で示されたような柔軟性や即応性を生み出すわけだけど、同時に統率のなさや事態を把握する能力の欠如にも繋がる。
結局生まれた混乱に対し、累くんは管理者としてアクセス権限の剥奪で対応しました。
この対応は『世界をアップデートするのは僕達だ』と、『みんなが』ヒーローになることを根本哲学にしてきた累くんに自己矛盾を突きつけています。
中心がないはずのクラウズは、しかし超天才的技術者であり革命者でもある爾乃美家累と、彼が生み出したGALAXというシステムによって統制されてしまう、中心のあるシステムとして機能してしまっている。
この自己矛盾を顕在化させることが、今回の長岡テロの主目的だったのかな、と思います。


一方、超常の力に超常の力で対応できるヒーローたちも、色々ギクシャクとしてました。
二期の主役であるツバサは、フツーの女の子です。
怒りに任せて変身しちゃうし、そのくせ普段は巧く変身できないし、夢と現実の間にあるギャップに悩むし、ちゃんと反省もする。
人間味に満ちた、普通の女子高生です。

対して一期の主役である一ノ瀬はじめは、人類変革の物語にふさわしい、圧倒的な才気の持ち主でした。
感情に流れず常に最善の策を探し、解決法を直感する天才に恵まれ、自分の感情を適切にコントロールし、常に積極的に活動し続けてきました。
彼女が人間離れした直感力と対応力を発揮したからこそ、色々盛り込んだ一期のお話が暗礁に乗り上げずなんとか終わったというのは、否定出来ないところだと思います。
いや、TV放送に最終回間に合わなかったけどさ。

東京に向かう電車の中で、はじめはツバサに『ツバサちゃんの気持わかるよ』と言います。
彼女は何も感じない救世ロボットというわけではないし、カッツェを自分の体に取り込む選択区をする前は震えながら母に電話するような、普通の女子高生です。
持って生まれた直感力も相まって、ツバサの正義の気概ははじめにとっては理解も共感もできる、見守るべき良い行動なのでしょう。

でも、ツバサにとってはじめは分からない。
ゲルサドラの感情表面化能力に感化されず、常に灰色の気持ちのまま為すべきことを即座に見つけて適切に対応できる先輩の気持ちは、ツバサには分からない。
『みんな喧嘩せず仲良しでいて欲しい』という圧倒的に正しくて耳障りが良く、それ故不穏なゲルサドラの理想に共感して、ベットで抱き合ってしまう。
ツバサにとっては、ゲルサドラよりはじめのほうが宇宙人であり、理解し難い存在なんだと思います。

ここら辺の心理的距離は、ゲルサドラ-ツバサ 通路 はじめ と配置された電車のシーンで強く感じられます。
はじめはツバサを肯定し励ましの言葉をかけるけど、自分からツバサの横に座るわけではない。
ツバサは礼儀正しくお礼を言いお辞儀もするけど、通路を乗り越えてはじめに抱きつくわけではないのです。

能力的にも人格的にもツバサとはじめの間にギャップがあるというのは、ツバサの憧れであるゆるじいとはじめを同列に扱う描写からも判る。
ツバサにとってなんとかして追い付きたい、しかし今は追いつけないゆるじいの境地は、はじめにとっては(かなり珍しい)自分と同等のメンタリティであり、吹き出し様の色も同じように不動の灰色です。
これから描かれるだろう東京での生活の中で、ゆるじいのような憧れの対象にはじめちゃんがなれるのか。
それは、まだまだ先の話になりますか。


まだ二話ですので今後この二人の距離は変化していくと思いますが、なぜこのように隔たった二人の主人公を配置したのかというのが、気になるところです。
一つ思うのは、ツバサがはじめに感じる感情は、少なからず視聴者がはじめに感じる隔意とシンクロしている、ということです。
立川(というか人類)を襲った悪意の嵐は、はじめちゃんという間違えることのない圧倒的に正しい主人公意外に乗り越えられなかっただろうけど、でもやっぱりなんか、人間っぽくない。
正しすぎて怖い。
そういう印象を、これまでの一ノ瀬はじめの活躍を見ていて受けなかったかといえば、そりゃ嘘になるでしょう。
(その上で、人類壊滅の危機に才能と熱意を持って立ち向かい、分かりにくい震えを噛み殺して進んでいったはじめちゃんのことが、俺は大好きなんですけども)

比較的視聴者に近い凡人・ツバサがはじめへの隔意を共有し、物語の中でそれを変化させていくことで、一ノ瀬はじめという人間味のない(と受け取られがちな)キャラクターの人間味を掘り下げていく。
二期のテーマの一つにそれがあるが故の、W主人公体制かなぁと今回見ていて思いました。
VAPEが持ちだした問題提起と合わせて、一期で見せた解決の先、覆い隠されていたポイントの顕在化を徹底していて、二期をやる意味がガリガリあるのがとても良いですね。

悪意を以って混乱を生んだカッツェとの対決ははじめが解決するべき、はじめにしか解決できない物語でした。
ゲルサドラの描写に漂う砂を噛んだような違和感を見るだに、二期は善意を以って秩序を強制する存在と、どう対峙するかというお話になっていくのかなと思います。
それを引き受けるのは既に一度物語を終えているはじめではなく、二期で初めて物語に飛び込んだ凡人・ツバサになるのでしょう。
今の頼りないツバサが、世界を守るという大きな責務に相応しいくらい、それこそ一ノ瀬はじめと同じくらい大きな成長を見せたなら、それはとても胸躍るお話になると思います。
楽しみですね。


ゲルサドラ、理詰夢、VAPE、ツバサ。
二期で追加された要素がこれまでの物語とどう対峙し、何を際立たせ、何を変化させていくかが見えるような第二話でした。
こうやって現状を整理しつつ未来の展望を予感させてくれると、混乱せずに待てるのでとても良いですね。
期待が高まる、しっかりとした第二話でした。