イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

ヴァンパイア男子寮:第4話『美少年、友だちになる。』感想ツイートまとめ

 ヴァンパイア男子寮 第4話を見る。

 『これはHじゃなくて吸血だからセーフ!』とか『恋じゃなくて友情だからセーフ!』とか、ギリギリのトキメキ法解釈を積み重ねることでなかよしで連載されている、スーパーアモラル吸血鬼ロマンスも第4話。
 そのくせ登場人物たちは軒並み幼気でピュアなので、無垢なまんまメチャクチャ湿って熱い領域に頭から突っ込んでいく不思議な味わいがあり、門外漢としてはとても楽しい。
 多分ジャンル的にはあんま突飛ではない文法で、むしろスタンダードを全力でやりきってる感じなんだと思うが、外野から見えると全てが力んで捻れていて、そのくせ素直な真顔で…ヘンなアニメ!(ヘンなアニメ大好き)

 

 お話の方は外付け吸血鬼倫理押し付け装置である小森が、『貴族であるオメーは存在もしてない許嫁がいるので、それ以外に本気になるの禁止。全部遊び』と釘を差してきたので、開明派のピュアボーイであるルカくんが『コレは友情!』という理屈を貼り付け、美人ちゃんとの関係性を再定義する感じに。
 どんだけお子ちゃまで鈍感でも、心の奥底ではもう惹かれ合ってるズブズブな二人が、気持ちの導くまんま突っ走るとあっという間にカップル成立、吸血行為で収まらないイチャイチャネトネトを開始するので、小森が真祖の権威を盾にして、色々ワーワー言ってくるのは大事だ。
 見え見えなんだけど遠回りして、そのワチャクチャが可愛く楽しい。

 ストーリーラインの取り回しが、自分の中のスタンダードとはちょっと違っている所も、楽しく見れている理由だろうか。
 吸血鬼の定めとか男装女子への疑似同性愛とか、いろいろインモラルで一筋縄じゃない障害が用意はされてるんだが、そこまで本気で楯突いてこないというか、どこまでいってもお遊戯感覚というか。
 ルカくんと美人ちゃんの可愛いすれ違い(絶対Happy Loveに収まる)の火種でしかないアレソレがあって、物語が安易に決着しない状況が保たれているわけで、なかなか面白い。
 美人ちゃんがスゲー素直なので、彼女の外側に足止め要素置いておかないと、話は進みすぎるしキャラは捻れるし…なんだな。

 ルカくんの認識としては美人ちゃんは『血がクソ不味いけど、何故か大事にしたくなる禁断の少年』になるわけだが、何しろ吸血鬼なのでクソつまんねー人間の差別意識など蹴っ飛ばし、ダイバーシティに溢れた性意識をもって向き合っているのは、凄く良い。
 興味本位で更衣室に乗り込もうとする、治安最悪のモブ女子を蹴散らして、男だろーが女だろーが美人ちゃんが好きという、無自覚一途をぶっ放してくる姿は、流石闇の大貴族…なんてワルだッ!
 邪悪で貴族的な吸血鬼要素も、小森という外部に委託してルカくん本人は理想の”人間”なのも、面白い造形だ。
 宿敵たる吸血鬼ハンターも、めっちゃいい人だからなぁ…。

 

この透明度高いピュアラブっぷりと、隙あらばエロスを燃え上がらせる発情周期の短さのギャップも、また独特の味わいで面白い。
 『赤ちゃんはキャベツ畑で取れる』と無邪気に信じていそうな純朴な連中が、『コレ吸血行為だから! 合法だから!!!』と囃し立てられながら、メチャクチャエッチな表情で身体接触するの、独自の後ろめたさと興奮がある。
 自分たちがやってること、言ってることがどんだけヤバいか、まったく自覚せずボンボコ爆弾落としまくる無法が、妙に痛快なんだよな…。
 ここら辺の未熟で無邪気な感じが、話が煮込まれる中で同変化していくか…あるいは何かに守られ無垢なままかは、結構気になるね。

 いかに疑似とはいえ、あんだけHotに吸血行為を積み重ねていくと色々洒落にならんくなっていくと思うが、『愛されなかった子どもの血不味過ぎ問題』で上手く笑い飛ばすことで、えっちになりすぎないよう上手く制御してもいる。
 ここは『いちご味の美味しい血』という素敵なファンタジーが、エグすぎるエロスを上手くフィルターしている部分で、作品の強みである純朴な透明度を濁さないまま、皆が見たい(見たいだろッ!!)ドキドキを描く妙技を、巧いこと形にしている。
 本気になっちゃうその前に、キラキラなドキドキの段階で『クソ不味い~~』で笑い飛ばして、二人が心地よく距離を取れるしかけが、基礎設定に練り込まれてる感じ。

 

 このフェールセーフがあるので、性別バレやら恋心発覚やら、色んなピンチに接近しつつも軽やかに身を翻して、何もかもが心地よい宙ぶらりんの中気持ちよく踊っている現状が、見事に成立しているのだ。
 この精妙なフワフワ感は、ド本命のルカくんに純情LOVE捧げつつ、ときおりその宿敵蓮くんにフラフラする、愛されすぎ系男装女子の立ち回りにも通じている。
 友達というには向ける感情が熱すぎ親身すぎる、可愛い男の子たちの間でたっぷり愛され、両天秤に惑い、翻弄される気持ちよさ。
 美人ちゃんの立ち位置と立ち回りは、それを追体験したい視聴者の欲望を忠実に叶えてくれてる感じだ。
 ここら辺も、変に捻らず素直よね。

 『誤解あってこそ深まる愛にかぶりつきたい!』つうのも、ユーザーの大事な欲望なわけで。
 虚無から映えてきたお嬢様合コン部の面々が、場を引っ掻き回して火種を作るのであった。
 『ここで生まれたすれ違いが今後の燃料か!』と思ったところで、ラスト30秒で怒涛の蓮くん邪気眼発動で引いたの、あまりの牽引力で爆笑しちゃった。
 予想されていた新展開に、欠片も気配がなかった新設定開示を乗せて、異様な勢いをブーストしていくヤリ過ぎ感…たまんねぇな!
 キャラも展開も素直なのに、キラキラロマンス演出が明らかに法定値を超えて過剰なところとか、ヘンテコな部分はとことんヘンテコなアニメだ。
 好きだなぁ…。

 小森から注入される貴種要素が、いい塩梅にコク出してるルカくんに対して、蓮くんややキャラ弱い感じもあったので、ここで暗黒パワー覚醒するのはかなり美味しいと思う。
 そういやヴァンパイアハーフだったので、言うほどでも唐突でもないしな、吸血鬼ハンター闇の覚醒…。

 

 のんびりまったり純情可憐な、ほのぼのラブコメな部分も好きだけど、やっぱ”吸血鬼”タイトルに背負う以上、現代伝奇の暗い味わいも堪能したいわけで。
 そこら辺をどんくらい力強く描いてくれるのか、試金石にもなる展開だと思うので、次回どうなるか大変楽しみです。
 まーヘンテコなお話なんだが、真っ直ぐで気持ちいい部分が芯にあるのは強いね。