イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

プリパラ:第57話『ジーニアスって何パンダ?』感想

約二ヶ月のふわり編、最後を飾るのは有終のステージと、シリーズ全体を引き締める敵役の登場。
クールごとに明確な軸のあった一期に比べ、新キャラを逐次投入して盛り上がって入るものの、中心軸のない感じのあった二期。
ここで『みんなトモダチ、みんなアイドル』という基本テーマに泥ぶっかけてくるプリンスを明確な敵に設定して、お話がまとまってきたのはとても良いと思います。

と、その前にふわり編の始末。
前回プリンスに三行半を突きつけたふわりは、普通のパルプスの少女として学園に残ることになりました。
屋根裏に追いやられた境遇を大神田校長が嘆いてたり、みんなで引越の手伝いをしたり、人情味溢れる描写が結構好き。
『みんなトモダチ、みんなアイドル』という題目が虚しいシュプレヒコールで終わらず、じんわりとした憧れと一緒に体感できるのは、こういう描写あってのことだと思う。

いや、ヤギは暴れるしソフィは寝るしで、いつもの様にキチってはいるんだけどさ。
笑いというのは奇妙なオブラートでして、真正面から突きつけたら拒絶反応の出るクッサいテーマも、笑顔になっていると素直に飲み込めたりします。
コメディであることに全力を尽くし、本気で狂いながら真面目に児童向けをやってるプリパラのスタイルは、俺結構ストイックだと思うのんな。


王子の影響下から逃れたふわりの現状を描写した後は、久方ぶりのステージと衣装強奪。
システムの無力さと諏訪部の悪乗りが相まって、なんともカオスな展開でした。
男性声優たる諏訪部とイケメン力で張り合えるサイガーの声って、やっぱすげぇよなァ。

王じ……ジーニアスの悪役っぷりは非常に見事なもので、努力で勝ち取った衣装を横合いからかっさらい、みんなが大事にしているものに泥ぶっ掛けるのは、登場人物全員の反感を買うのに十分。
『みんなトモダチ、みんなアイドル』とは慣れ合いとイコールではなく、勝ったり負けたりのせめぎあいも含めてのトモダチなわけです。
今回ジーニアスがやったのはプリパラの競技性に対する挑戦なので、一応競技者でもある女の子たちは怒るし、笑いつつ彼女たちの勝負を応援してた視聴者もイラッと来る。
作品の中で大事なものが何か、クリティカルに把握しているが故の見事なヘイトアーツでした。

こうしてヘイトを集めることでジーニアスがお話の軸になり、彼に対向する女の子たちにも一貫性が出てくるので、優秀な敵役というのは大事です。
『彼』って書いたけど、下睫が描写されていることと、コーデの所持周りを考えると多分女の子だとね、プリンス。
『プリパラに男が侵入!!』言われてレオナが動揺していましたけど、今後掘り下げていくんでしょうか。
自分はプリパラのジェンダー周り(というかマイノリティ周り)への気配りはとても良いと思っているので、思い切って踏み込んでくれると嬉しいですな。


ふわりが今後も作中に居座る状況を整え、今後を担う敵役の顔見世もしっかりやる、丁寧なお話でした。
来週は作中最強の叙情性を誇るロボットヒロイン、ファルルの帰還。
無垢な人形の成長、生命と家族の概念学習、愛ゆえにねじ曲がっていく創造主、死と復活。
思い返すとSF的アイコンを最大限に活かした、いいエピソードだったなぁファルル編。
どんくらいパラ宿に滞在すんのか分からんですが、大谷さんも参戦するし、面白い話には絶対なるでしょう。
ていうか、予告でテンション上がりまくった自分を見て『俺……ファルルの事好きじゃんよ』ってなった。(ツダケン声でラケット握りつつ号泣)
ふわり編を終えたプリパラ、まだまだ勢いが止まりませんね。