イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

うしおととら:第六話『あやかしの海』感想

夏だ! 海だ! バケモノだ!! というわけで、うしとら六話はひと夏の経験値
このアニメの的確な圧縮率は指摘するだけ今更ですが、要素を的確にピックアップし再配置し、時にはトランシーバーのように改変もして、しっかりと24分に収めていました。
単純にエピソードをこなすというわけではなく、エッセンスを抽出した上で必要なシーンを再構築しているから、この時間で原作の醍醐味を味わえるのだなぁ。


今週の主役はメインヒロイン麻子でして、自慢の空手を披露したり、自慢の足と胸を強調したり、ショタの性癖をねじ曲げたり、バケモノの恐怖に屈しなかったり、獅子奮迅の大活躍。
ハイネックなのにハイレッグという、布地の配置バランスがフェティッシュに過ぎる水着が画面狭しと動きまわっていて、非常にありがたかったです。
ホント藤田先生足フェチだよなぁ……日輪のスカート切りとかかがりとかさ。
あとショタにJCおっぱいを押し付けるシーンが多発してて、『ああ……この子みかこし声の包容力ある年上ガサツ系ショートカットでしか興奮できない体になるんだな……』と哀しい目をすることしきり。
マジレスすると、ヒロインに欲情できるのってスゲー大事だと思うので、今回麻子がエロかったのはベリーナイスだと思う。(真顔で言い訳)

肉欲の話はさておき、シナリオヒロインであるタツヤを真正面から拾いつつ、ピンチに陥って潮がシナリオに介入する余地を作り、ラストのアクションではタツヤに見せ場を用意して成長につなげるという動きはまさに円熟。
窮地と活躍を的確に切り替えることで、キャラクター全員が頑張っている感じ、応援したくなる空気が生まれてるのは、本当に正統派少年漫画のパワーを痛感させられます。
負けブックの飲み込み方の巧さはとらちゃんも凄くて、あやかしに一回負ける時『どれだけあやかしは強いか』を言葉で説明することで強敵感を出し、潮へのトス上げもきっちりやっている。
見せ場をもぎ取るのでも譲るのでもなく、お互いに膨らませながら共有していることがこのお話の強さだなぁと思いました。


話のメインではないがアクションのメインである潮は、やや引いたポジションに位置しつつ、『母なし子』というタツヤとの共通点を活かした絡みで、エピソードテーマの強調に貢献してました。
あくまで話の主役は麻子なのでタツヤをミドルフェイズでは拾わないし、自分の過去も麻子に言ってもらう見切りは良い。
前回のとらとの反目もそうですが、綺麗ごとを言う役である潮が人間味のない聖人にならないように、ヤダ味のあるエピソードをちゃんと用意し、それを乗り越えることで人格が形成されていった様子を見せるのは、すげー大事。

悪人から聖人への変化という意味では、麻子のオヤジ→潮→タツヤという真心のリレーが発生していて、うしとらは善因善果な作品(正確に言うと、善因善果が世の理であると強く信じたい作品)だと再確認。
ヒネちゃってるガキをわざわざぶん殴って、道を真っ直ぐにしてやるという父の思いやりと、涙を胸で受け止める麻子=母の思いやり両方があって、ラストで見せたタツヤの成長に繋がるんやね。
こうして考えると、オヤジとオフクロ両方の仕事をやった麻子のオヤジさんは、坂口っつあん(岩に潰されそうになったバケモノと潮を、『俺ぁ人間だからよ!助け呼んでる者ほってけねえって。』と言いながら率先して助けたオッサン。なお現場はガソリン引火寸前)くらいの聖人。


とらちゃんに関しては『前回ツンツン気味だったからよ~、俺達が仲良しコンビだってことを少し見せつけねーとな!!』とばかりに、全力でデレ期だった。
うしおも見事なデレ返しを見せつけ、男子ツンデレ道ブラックベルトコンビの実力は伊達じゃないなと思いました。
『ピンチに回想シーン→自分の体で時間を稼いで主役に伝言』のコンボは、どう考えてもヒロインの動き。
こうしてバケモノフェイズと仲良しフェイズを適度に繰り返すことで、うしおととらの絆が深まっていく様子がじんわり染みこんでいくのだなぁ。
……二人のデレはもうじんわりってレベルじゃなくダダ漏れな気もするが、公式発表ではいがみ合ってるの!

今回とらちゃんは自分のリソースである海座頭をうしおにトスすることで、今後の展開に繋がる大きなヒキを生んでいて、そういう部分も視野が広い。
ただ必要な流れをなぞるのではなく、状況の説明は最低限に省略しつつ、感情のうねりに時間を使ってメリハリを付けているので、短い時間でも展開への納得度が高い。
さすがに色々すっ飛ばした感じもあるけど、結果テンポが良くなっている部分もあって、やっぱリメイク大成功だなぁ、うしとらアニメ。

そんなこんなで、原作六話を一気にまとめつつ、今週も人間の心のうねりをしっかり描いたお話でした。
アクションシーンが派手なのもいいけど、激情が人にぶつかってお互い成長する様子が見えるからこそ、うしとらはスカッと面白いんだろうなぁ。
来週からロードムービー編に入るわけですが、魅力的なエピソードのどこを取りどこを切るのか、その結果どんなものが生まれるのか。
ワクワクが今から止まりませんな。