イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

緋弾のアリアAA:第10話『ファーストミッション』感想

一気にシリアスの勾配を曲がった武装探偵ガールズストーリー、今回はあかりの過去と現在、そして決戦。
アリアとの離別で引いた前回を受けて片っ端から奪い尽くす序盤、山田風太郎の忍法帳モノみたいにハードコアなあかりの過去、そして復活のアリア先輩と決戦開始。
これまでアホな話の合間に積んできた真剣さをフル動員して、一気に話をクライマックスに引きずり込む、良いエピソードでした。

アリア先輩戦闘不能からののか気絶、凄惨な過去の告白に至るまで、今回の前半はとにかく暗いです。
戦姉と実妹、大事な存在を一気に2つも奪いに来る畳み掛けも、主人公をガンガン追い詰める展開で素晴らしい。
奪われて何も無くなって追い詰められてこそ主人公の奮起が輝くわけで、ストレス与えるシーンで圧迫感がちゃんとあるのはグッドだ。
常時振り続ける陰鬱な雨がうまくお話しのトーンを造っていて、良い演出でした。
これまで甘い夢から始まっていた物語が、悪夢を経てもう夢も見ない現実にすり替わっているところとかも、気が効いてて好き。

間宮の過去は思いの外血塗れでしたが、かなり解りやすい形で描写を積んできたこともあって、納得力は高かった。
夾竹桃の魔人っぷりが上手く出ていたので、あかりちゃんの根底となる間宮の里丸焼き事件も、緊張感があるシーンに仕上がっていたなぁ。
この過去が『殺し技しか持ってないけど、殺したくない』『だから殺さないアリアに憧れた』という現在に繋がり、アホアホなあかりちゃん(と作品世界)がギリギリで崩れない一線にもなっているのは、なかなか面白い。
『未就学児にFatality技教えるとか狂ってるな』とか『なんでお母さんもブルマ!?』というツッコミもあるが、それはまぁアレだ、このアニメアリアAAだし。(久しぶりの万能言い訳)


そんな感じで追い込まれたあかりちゃんに道を示す、パーフェクト先輩神埼・H・アリアの頼もしさ。
AAのアリアはあまりにも強く正しく美しすぎる師匠役であり、灯ちゃんが公開した真実をコンパクトにまとめ上げ、彼女の憧れを受け止めた上で最も大事なものを示す動きとか、ホント完璧だった。
イ・ウーという敵を共有する状況を確認し共闘のオーダーを出すことで、あかりとの関係が戦妹候補から対等の仲間に変わる展開は、これまでのゆるふわ戦姉妹日記を活かして感動に変える良い流れだったなぁ。

『振り返れば奴らがいる』展開は定番といえば定番なんですが、定番は効きが良いから定番になるわけで。
前半での追い込みも十分だったし、音楽での盛り上げも上手くハマっていて、あかりちゃんお友達部隊が整列するシーンは非常にアガるシーンでした。
普通の麻話しの上げ下げを普通にやり切って、欲しいところに球がちゃんとくるってのはやっぱ最高だ。
クソレズたちも前回までの桃色オーラを引きずらず、良く空気読んで黙ってた。

アリアが光の師匠だとすれば、あかりを追い詰め覚醒させた夾竹桃は闇の先達。
毒使いにして幻術使いらしい幻惑に満ちた演出は、なかなかの強キャラオーラを発生させていて良かったです。
やっぱ敵は強そうに見えたほうが、主人公を追い詰める過程に説得力が出ていいわな。

一目離れるごとに服を着ているスタイリッシュ着替えとか、そもそもなんで全裸やねんとかは、まぁこのアニメ緋弾のアリアAAだから。(二度目)
マジレスすると、シリアス一本で行き過ぎるとAAっぽさが削がれていくわけで、ちょっとマヌケなシーンを真顔で提出することでツッコミどころにしているのは、いい作りだと思う。

というわけでこれまでのお話がググッと収束する、クライマックス突入回でした。
お話に込めた圧迫と開放が演出と非常に噛み合っていて、するすると展開に引きこまれていくパワーが有ったと思います。
ゆるふわクソレズ銃弾コメディからシリアスに舵を切る展開でしたが、前回終盤の見せ方とあいまって、かなりスムーズにカーブを曲がったんじゃないでしょうか。
主人公の秘められた過去を公開し、仲間との絆も確かめ、残っているのは決戦のカタルシスのみ。
カーブを曲がった先にあるストレートを、とにかく気持ちよく走り抜けて欲しいものです。