長きに渡ったデュララララ二期もついにファイナルラスト、ごちゃごちゃ絡まった因縁の意図は1クールで巻き取りきれるのか、色々気になる第三クール開始であります。
二期最終回で意味ありげに集まったオモシロ人間たちが、新羅の部屋でそれぞれの事情を話……そうとするたびサイコとオタクが話を混ぜっ返して全然進まない、閉鎖空間コントみたいな話でした。
話が前に進んだと思ったら逆走し、あらぬ方向に曲がってワープした後本筋に戻ってくるごちゃごちゃ感がなんだかとってもデュラララで、『ああ、始まったんだなぁ』と感慨深かったです。
視聴者は神の目線でそれぞれの事情を知っているから良いとして、お話しの中のキャラクターは限定的な情報しか知り得ません。
話を収めていくためにはお互いの視点と情報を共有し、話の筋道を付けるのが大事。
今回マンションコントでやっていたのは、話を先にすすめるために必要な、キャラクター間の情報共有というわけです。
同時にトンチキ人間たちが面白コントを繰り広げることで、警戒レベルが少しずつ下がっていくというか、何となーく仲良くなっていくという感情面の仕事もあります。
お話しの機能的にはいわゆる『整理回』なんですが、作中最強の腐れサイコブラコンビッチと、作中最強の人格破綻腐れオタクがどんどん話を脱線させていくので、単調にならないのが良いところだ。
むしろおもしろ人間たちのぐだぐだコントを楽しく見せてくれるのが、今回のお話の主目的とすら言える。
情報の収束と共有、今後有効活用されそうなセルティギルドの結成自体は、カットを多用してスパッと終わってるしね。
波江さんはイザヤと一緒にいる時より三倍ぐらいキャラが立っていて、やっぱサイコは本音むき出しになってる時が一番魅力的だなという思いを新たにする。
あとセルティは『常識人な進行役』を装いつつ、何かと新羅と一緒にラブコメ時空に飛び込もうとするところがあざとい。素晴らしい。
何の意味もなくEXILEごっこする白マスク軍団とか、さらっと電波法違反を告白する張間さんとか、マトモだからこそ影が薄い渡草とか、オモシロ人間の面白いところがワチャワチャ出てきたのは、ホントデュラらしい楽しさだった。
そんな風にセリティ周りが結束を固めている裏では、イザヤがボールにされたり、シズちゃんが我慢してたり、青葉が双子にキスしてグッバイしたりしてた。
新羅チームのトンチキだけど暖かな空気を見ていると、中心人物が投擲武器として扱われるイザヤの軍団(裏切り者一人発覚)の冷えきりっぷりが目立つ。
まぁ新羅は性格破綻者の人外フェチだけど、医者だけあって他人の面倒よく見るしな……高校時代から一歩も進んでねぇイザヤと、結構残忍な対比だったな今回。
同級生のもう一人であるシズちゃんは、最強警官のアシストもあって暴力以外の対処で頑張ることにした。
怒りと殴りしか知らなかった超人類が、『戦わない』という選択肢を自発的に取るという今回の見せ場、地味だけどすごく好きだなぁ。
シズちゃんもなんだかんだ面倒見は良くて社交的であり、中二病満開でサプライズ訪問を企ててる裸の王様とは、人格的成長度が全然ちげーな。
僕がデュラで好きなのは、イザヤを『一歩も成長しないガキ』、新羅とシズちゃんを『自分のカルマと付き合う手段を覚えた大人』と描きつつも、3つとも一つの生き方として区別なく物語に乗せているところであります。
双子とイチャイチャラブコメするルートより、凡人過ぎて病んだ元主人公と心中するルートを選んだ青葉は、やっぱりこのお話一番の重力源だと思う。
双子を冷淡に切り捨てるんじゃなくて、後ろ髪を引かれつつ決意してヤンホモ街道にズブズブはまっていく決断力が、僕が青葉を好きな理由であります。
今回纏まったセルティギルドは帝人の悪落ちを認めない立場なので、殉愛ラバーである青葉とは対立しかねない立場なんだよなぁ。
そこら辺がどうバチバチするかも、今後楽しみなところやね。
というわけで、混乱する状況に楔を打ち込むべく、セルティギルドが結成される話でした。
沢山のアクターが入り混じりつつ、それぞれの欲望とエゴを叶えるべく敵対したり、協力したり、敵対しつつ協力したりで忙しない池袋。
この狂騒状態ははナシが終わるまで続くと思うので、楽しいカーニヴァルにどっぷりと浸からせていただこうと思います。