イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

プリンス・オブ・ストライド オルタナティブ:第3話『GALAXY 今、星たちが輝く』感想

急にマモ声でアイドルステージが始まるからうたプリかと思うけどホントは疾走部活モノアニメ、第3回は初の対外試合。
アイドルでストライド競技者なライバルが登場し、街を丸ごとサーキットに変えるストライドの試合風景を見せ、『エンド・オブ・サマー』というお話しのゴールを視聴者に見せる、色々あった回でした。
八神弟の兄貴コンプレックスをイジったり、支倉パイセンにメラメラしたライバルが付いたり、門脇パイセンが兼業故のハンパさに悩んだり、キャラ方面でも掘り下げがありました。

これまでは『学校での部内対抗戦(第一話)』『公園での練習風景』と、いわばストライドの前座を見せられていたわけですが、今回はエキシビジョンとはいえ吉祥寺を舞台にした本式のレース。
障害物を設置し、ガイドを配置し、街を借りきって沢山の見物人が出る競技風景は、そらースポンサーも付くし金もかかるわなぁと納得も行く、大掛かりなものでした。
現実世界で近いのは各種モータースポーツだと思うのですが、大げさな準備をしたリッチなコースを、人間が突っ走るというミスマッチが不思議な気持ちよさに繋がっていて、一種の独自性になっていると思います。

雰囲気はよく出ていたのですが、ストライドは架空競技。
障害をどう突破しどういう戦術で試合を運営していくのが『定石』なのか分からないと、キャラクターたちの手筋が『定石』の内にあるのか外に飛び出したのか、判断が難しいわけです。
競技説明の時間を削ってキャライジリに回している印象ですし、どっかと腰を据えて分かりやすい解説を入れるシーンはあんま作らない方針なんでしょうが、やっぱ(架空とはいえ)競技を見る以上、どこかに判断基準の軸を作るシーンは欲しかったかなぁ。
これをやり過ぎるとアクションとドラマの勢いが落ちるので、悩ましいところだとは思います。

ともかく、勝敗を競う『敵』がちゃんと出てきたことで、練習では感じられなかった路上の駆け引きが画面に写ったのは、なかなか面白かったです。
支倉パイセンにブラインドをかけて、障害物回避でタイムをロスさせるところとかはストリライド独特の駆け引きがあって良かった。
接触が許可されている短距離(を繋ぎあわせて中長距離にしている)競技なので、一回事故ったらスンゲェ事になりそうですが、まぁ顔が命だからヘルメットとかは被らせられないよね、ウン。
そこら辺の『んー、安全面とか配慮したほうが良くねぇ?』というツッコミは、色々忘れて楽しんでくれってことなのだろうか……つくづく、ガルパンの『学園艦』と『カーボン』という言葉の魔力はすげぇ。


ドラマの方は割と淡々としているというか、『清く正しく美しく! アイドル活動もストライド活動も、両方頑張ります!』な爽やかアイドルだったので、感情面でドロドロすることはあんまりなし。
前回リレーションのミスで接触したシーンを直接描写しなかったこと、エキシビジョンへのモチベーションだったはずのスポンサー問題がかなりラッキーに解決したことも含めて、あんまりショッキングなシーンは作らない方向なのかな?
その細やかなケアが心臓の弱い昨今のファンへの心配りなのか、はたまた及び腰なのかは、ドラマとキャラ描写がもう少し深まってから判断するところでしょうけども。

今回はストライドバカの中の異分子、将棋部門脇が結構美味しい位置にいて、彼が好きな男としては嬉しかったです。
別に男版萌え四コマ的なゆっるいギャグで場の空気を抜いていたのが良かったわけではなく、兼任だからこそ『自分は本気でやっていないんじゃないか』と悩む姿が、彼だけに与えられた特権で美味しいなぁと。
外野でのほほんとしてても良い立ち位置なのに、『自分のせいで負けた』とストライドストライド部に前のめりになっている彼の真面目さは、僕は好きです。
スト部の連中も、少しは将棋の大会とか出てやれよ! ……まぁ拾わんだろうな、ここら辺は。

八神のブラコンを突っついたり、妹尾くんがガツガツ来たり、方南パーフェクトフォームを暗示したり、他にも色々ネタを撒いた回でした。
やっぱライバルがガツガツ前に出てくれると、それに対抗してキャラの顔がよく見えてくるわけで、そういう意味では物分りの悪いライバル役ってのは大事だ。
藤原と諏訪のマッチアップがあんまり化学反応しなかったのは、まだ自分のストライドをメインで視界に入れている、藤原の内に篭った感性が原因かなぁ。
門脇の未熟さ描写といい、今後に広がりそうな要素をしっかり入れているのは、スポーツモノとして大事だと思います。

今回フルスペックで競技をして、学校外の相手と試合をして、このお話全体のスタンスが感じ取れた気がします。
全体的に健康で健全な方向(それを示す意味で、青すぎるくらい青い空を映すスタート前のシーンは良かった)で転がし、衝突や対立は巧くコントロールし、ファッションや芸能方面にも目配せしていく感じだと僕は受け取りました。
個人的には制汗剤でいい匂いに抑えるより、汗の匂いプンプンで泥臭く押し込んでくれる方向のほうが好みではあるんですが、こういう味付けもなかなかに面白い。
ジャンルの上澄みだけ掬いあげて魂を置き忘れる気配も(現状)あまりしないし、今後も制動をかけた劇作姿勢で行くのか、はたまたどこかでストッパーを外して正面勝負を仕掛けるのか、見守りたくなりました。


というわけで、"SLAM DUNK"で言えば陵南との練習試合にあたる、一種のテストマッチが終わりました。
東日本大会『エンド・オブ・サマー』という大きな目標も表に出て、次回はまた修行編。
練習真面目にやる部活者は好きなので、どんどんトレーニングし、どんどんキャラを掘り下げていってほしいものです。