イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

くまみこ:第3話『伝統を守る者』感想

寒い地方からやってきた砂糖菓子の弾丸アニメ、今週は敬虔さのかけらもない巫女のダラダラした日常。
毒がない丹精なお話しは魔女のアニメがやってくれるとばかりに、狂気とエロスが画面を埋め尽くす元気な回でした。
下着とか足とか描きつつも、直線的な記号に欲望を迸らせるのではなく、動きや仕草にこそ暗い炎を見つけるカルマが濃厚で、ほんっと変態が良く集るアニメだなと関心しました。
いや、モノホンは違うなぁ……。

ファンシーな外見に似合わず、登場人物全員が良い性格しているのがこのアニメ。
一話二話で大体の説明を終え、そろそろその本性に迫っていこうかというこのタイミングで、クマとみこと市役所職員の飾らない日々が描かれました。
神に対する敬意の欠片もなくぐうたらする巫女、煩悩剥きだして14歳の可愛さをイビリ倒すクソクマ、そして人間の心がわからない暴走お兄さん。
……並べてみると、ホントひでえ座組だな。

今回は特によしお君が大暴走しており、人間の心も一応あるし悪意で動いてるわけじゃないけど、共感能力をオフクロの腹の中に置いてきた切れっぷりが全開でした。
下着姿の14歳を押し倒す絵面は、アニメーターさんの気合もあって最高に犯罪的でしたが、よしお君的には性欲に突き動かされてるわけでも、暴力を振るいたいわけでもなく、本当にいわれのない差別にカチンと来ただけなんだろうなぁ……だから質悪いんだけど。
まぁよしおくんが大暴走してくれるおかげで、まちの可愛いファッションショーとか、太ももとか二の腕とかたくさん見れるわけで、有り難いっちゃ有り難いけどさ。
……ほんと今週はフェティッシュ迸ってたな……ラストの柵を乗り越えるところの細やかな動き、マジ変態にしか許されない観察力の発露。

被害者に見えるまちも相当なもんで、神聖な儀式はダイエットに使うわ、ダラダラゴロゴロ怠惰に過ごすわ、品行方正とはけして言いがたいダメ巫女っぷり。
主人公だからといって常識人というわけではなく、むしろ自分をフツーだと思ってるタイプのキチ力溢れる女子であり、そのキチっぷりをさらっと流す笑いが、くまみこの基本なわけだ。
この適度なクズさが笑いを生むし、被害者になってお話が転がるときに上手く後ろめたさを消すし、人間味も生まれてくるしで、いい塩梅にファンタジーとリアリティを混ぜたキャラよね。
可愛さという意味では、最高級のファンタジーだしなぁ……ホントアニメスタッフはまちのキチ力と可愛さ、両方怠けずアニメにしてくれて有り難い限りです。


くまみこのくまの方も、保護者ぶりつつ中々のマッド力を発揮していて、日々楽しく可愛く生きて羨ましい限りだこの野郎って感じ。
先週はわりかしみこを弄る側だったクマが、今週は巫女の横暴の被害者になるバランスの良さが、ひどいこと起きてんだけど笑って見れるポイントなのかなぁ。
ここら辺の『被害者/加害者』の入れ替わりは話のラストでも起きていて、イジられ倒しだったまちがピシャっとバカ騒ぎを〆る逆転の気持ちよさは、ぴりっとスパイス効いてて気持ちが良い。

……よしおはどんなことされても凹まないので、一生加害者サイドの強キャラなんだけどな……人間味がないことがヤツの物語的存在意義なので、なまじっか弱い部分を表現できないというね。
『こういうキャラどっかで見たなぁ』と引っかかってたんですが、プリパラのあじみ先生ですねハイ。
一般常識から逸脱し痛みを感じないサイコな存在はそのズレで笑いが取れるんだけど、痛みを感じるフツーのキャラとの意思疎通が難しくて、かなり特権的な立場になりがちなので、コメディでの扱いは難しいところですねぇ。
よしおの場合は『ダメダメなまちの世話をする保護者』としての側面を適度に出すことで、上手く一般社会に同化させてるとは思う。

と言うわけで、ポルノ力高く14歳女子をいじり倒す話であり、14歳巫女が自由気ままに暴れまわる話でもありました。
いくらむせ返る可愛さでコーティングしても溢れる狂気と欲望を、しっかり笑えるコメディにまとめてお出しする手腕は、ズバッと冴えております。
今後もダメダメ人間(動物含む)がダメダメーに暮らしつつ、時に欲望を暴走させ、時にお互いを支え合い、ハートウォーミングとクレイジーのごたまぜを叩きつけて欲しい。
心の底からそう思える、いい塩梅にダメダメなコメディでした。
いやー、ホントまともな奴がいねぇなあのムラ……最高だ。