アイドリッシュセブン(第1話)を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月1日
ようこそイケメンたちの王国(クニ)へ! ど新米マネジと、アイドルの階段に足をかけた青年たち。
ドッキドキ青春アイドルストーリー、ついに着弾ッ!
人数多めのメンバーの個性、集団としての空気、1ON1の距離感、主人公の才覚まで、そつなく見せる第1話。
というわけで、顔面偏差値が高いオニーチャンが徒党を組んで顔面で殴ってくる第1話だった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月1日
メイン7人(+マネジ主人公)と人数多めの編成であるが、それを理解した上で個性を説明する…のではなく、極力描写していく筆がありがたかった。やっぱ描写で飲ましてくれる方が楽だ。
毒舌な一織くんがチト波風起こすものの、全体的には仲良しムードで進むようだ。冒頭、3ON3で汗を流しつつ全体的な距離感を見せていくのは、なかなか面白いシーンだった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月1日
スポーツのプレイには性格が出るんで、初手でまずドバっと地金叩きつけちゃうのはいい手筋だな。
キャラ把握はあくまで印象だし、作り手サイドもそれでいいと割り切っていると思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月1日
細かい内実を掘り下げるのはこの後の個別回であり、まずは『アイドリッシュセブン』全体のムード、それを構成するアイドルの根っこを理解してもらう所から。
第1話としては正しい作りで、ファンだけを見てもいない
バスケにしても待ちぼうけのシーンにしても、基本的には美味しいシーンのてんこ盛りというか、男向けで言えばお風呂シーンというか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月1日
アイドルという仕事の本質、キャラが抱えている具体的な問題には触らないソフトな歯ざわりなんだが、そこになにがしかの『芯』を入れてくる細かさを感じた。
例えばバスケシーン、緑の三白眼メガネ・大和くんはプレイに入らず、ちょっと遠い距離から審判をしている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月1日
熱くなりすぎないクールさでユニットを冷却し、誘導していく。それがアイドリッシュセブンでの彼のポジションなのだと、巧く暗喩していたように思う。(原作未読なので、ホントかは知らない)
『はい、アイドル椅子取りゲーム開始!』と言われた瞬間に一歩下がるのも、そういう客観力の強さの現れだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月1日
それは思いの弱さ、執念の無さにも繋がる部分で、今後より大きな波が襲いかかった時、弱点にもなろう。そういう『物語の種』みたいのを、キャイキャイシーンに油断なく挟んでくるのが良い
一番ちびっ子なのにお兄さんぶってた(実際お兄さんな)3月くんも、経験者ッ面で周囲をまとめつつ、実は負け続けた痛みと不安もあって…と、いい具合の陰影を見せていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月1日
洗面所の乱れた水は、彼の汗であり涙でもある。それを人前では見せない、見せられない青年なのだろう。
便所にしろ、アイドル密室から出た買い出しのシーンにしても、七人が一箇所に集う状況から離れて地金を見せる場面が、いい感じにナイーブで良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月1日
アイドルはファンの望む仮面をかぶるモノ。今は候補生の彼らも、いつか仮面と素顔のギャップに悩む時が来る。その時、今回見せた冴えが生きるだろう
他にも素直すぎて棘が出ている一織くんとか、プレイボーイな似非外人のナギくんとか、やっぱ『ワルイコ』は覚えやすい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月1日
環くんと壮五くん、真ん中担当の陸くんは、ちとプレーンな味わいか。白と白、イメージカラーかぶってるの弱くね?(門外漢の寝言)
ここら辺の個別のテイストは、今後物語が展開する中で掘り下げられ、キャラ記号と性格はシンクロしていくだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月1日
胸元にそれぞれ音楽用語がついてるの、ちょっとロマンチックで好きな記号だったな。アイドルの話なんで、『音』へのリスペクトは欲しいわけよ、やっぱ。
個別の領域を離れて『アイドリッシュセブン』としてみると、全体として雰囲気良さげで。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月1日
過剰に仲良しごっこにならないよう、外の空気と毒気の適度に織り交ぜつつ、基本的には相手を立て、見て、褒める良い関係性が、初手から作れてる感じ。性格いいなァみんな。
交通整理が丁寧なのは良いことだが、『衝突を起こさず、ストレスを産まない』というう作劇上の要求が前に立ちすぎると、不自然さが生まれる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月1日
『仲が良いために仲良くする』というトートロジーに陥ると、優しさはプラスティック製の偽物に変わってしまうわけで、そこをどう避けていくか。
安定感を切り崩していくエゴの炸裂を、どう制御し盛り込んでいくかが、今後大事になってくると思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月1日
アイドルフィクションが、綺麗な顔面を愛でるためのショーケースなのは間違いない。でもそれは物語でもあるから、人間の持つ業と輝きに嘘なく、本当のドラマを展開してほしいわけだ。
無論、それは苦味であって過剰に入れ込めば『物語を楽しむ』どころではなくなる。大事なのはバランス感覚と眼の良さ、熱量と制御系だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月1日
まだまだ第1話だし、そこで見えた快楽と真実のバランスはなかなか良かった。この平衡感覚を維持したまま、よりアツく、より深い部分までたどり着いて欲しい。
さて、そんなボーイズの先導役であり補佐役であり、俺らの当事者性の足場にもなる主人公ちゃん。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月1日
社会人一年生のひよっ子マネジとして、アイドリッシュセブンと一緒に成長していくポジションだ。分かりやすいし、ポテンシャルのある立ち位置だと思う。あと佐藤聡美のホヨっとしたお嬢声は最高。
アイドルのことはなんも分からんながら、人間を見る真摯な眼、言うべきことを押し通する熱量は十分。かなりストレートな主人子を配置したことで、ボーイズの内面にグイグイ切り込んで話を進めていくパワーにも期待が持てる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月1日
やっぱアクティブなキャラが主役だと、話が停滞しなくて良い。
ただ、そんな主人公の凄みを見せる『七人だから良い!』と言い張るシーンは、描写と言説がチト繋がってないと感じた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月1日
ヒロインの目を通して僕らが見たのは、謳いも踊りもしないアイドリッシュセブン。だが、彼女が見つけたのは『アイドル』としての彼らの輝きだ。
アイドリッシュセブンは歌って踊れる『アイドル』になる運命を背負い込むわけだから、『ここが強い!』という部分を強調しておく布石は判る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月1日
キャラ描写を積んで愛着を育てててから、言葉で形にしていく手順も正しい。ただ、彼女がその決断に至る足場を、僕はあんまり共有できなかった。
『アイドル』としての七人よりも、『人間』としての彼らをまず見せる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月1日
そういう第1話の方針と、『アイドル』として天辺に突き抜けていく(ことは、ラストのナレーションで予言された)未来が、ちと喧嘩した瞬間かな、と思った。
ここら辺の調整は、常に難しいと思う。
しかし主人公が見つけた輝きと期待感は、あのアイドル密室でイケメンの面見続けるご褒美タイムでこっちにもしっかり生まれている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月1日
ので、小さな違和感はありつつもその結末は飲み込めるし、『欲しい所をしっかり拾う主人公』という信頼感も、ちゃんと作れたと思う。アイツらいい奴らだ。
あ、糸目の優しいパパが社長なのは、『お仕事モノ』としては結構難しい配置だな、と思った。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月1日
白紙の状態からスタートしたこのアニメ、多分キャリアを積み上げていく成り上がりストーリーとしての側面も持つと思うけど、それをソリッドにシェイプしていくためには、現実的な厳しさが大事。
血縁が上司である状況は巧く使わないと、『学生の仲良しサークルじゃねぇんだ、ぬるま湯でチャパチャパやってんじゃねぇ!』という反感を作りかねない、優しい寝床だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月1日
外の風を厳しく吹かせて、事務所は暖かなホームとして使い倒す設計なのかな。ここら辺は今後を見ないと判らんな。
七人の攻略対象に主人公、そのアンサンブルの気配までしっかり描きつつ、『TRIGGER』なるライバルユニットと『JAIMA』なる(とりあえずの)目標まで見せたのは、手際が良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月1日
主役がいて仲間がいて、目指すべきゴールとそれを阻む強敵がいる。大体の遠近法が、これで見えた。掘り下げるのは先の話
大体の構図を見せ視聴者を掴む第1話として、隙なく丁寧で、ムードの示唆とキラキラした快楽に満ちた仕上がりでした。詩情と冷静さのバランスが、色んな部分でいい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月1日
その仕上がっている感じをどう活かし、どう崩して今後の物語を作っていくのか。胸キュン体験にずっしりとした人生の重さを入れるか。
はたまたそういう所には触らず、快楽味の麻酔薬として心地よいドリームを供給し続けるスタンスを取るのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月1日
どっちに舵を切るにしても、楽しみが沢山あって欲しいし、あるだろうなという期待を高めてくれる出だしでした。次回も楽しみです。