BEMを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月21日
借り物の顔、嘘っぱちの人格、偽物の人間関係。
アナベルは偽りの名前。メアリーは亡霊の思い出。10年前に沈めたはずの過去が、墓穴から長い手を伸ばし手招く。
助けて、と。
その悲痛な叫びを受け取った無垢なる魂は、人間という怪物に牙を剥く。鉄の王冠は、いかな栄光を祝福するのか。
というわけで令和に蘇った妖怪人間奇譚、ツンデレヒロイン・ベラたんメインのお話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月21日
『く、クソ…BEMが超面白い…』と思わずダメージ表現するくらい、バッチリ面白かった。アウトサイドのクソっぷりを見せた第一話から、アッパーサイドの地獄を見せる第二話へ。世界観説明的にもいい感じ。
ベムは『刑事ソニアの正義執行に、陰日向に現れる怪人物』というペルソナで、アウトサイドの影に潜んだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月21日
その寡黙さ、薄暗さに対置するように、ベラは"アナベル"という明るいペルソナをかぶり、アッパーサイドの女子高生に擬態している。性格も外向きに作った、謎めいて社交的な美少女だ。
"ベラ"という真名を慎重に廃した、"アナ"という愛称。彼女は妖怪人間的な薄暗さ(アウトサイドの地域性)を廃し、学校内秩序にスマートに潜り込む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月21日
しかしその魂の奥には『早く人間になりたい』という不器用な色彩が強く滲み、怪物の顔は涙をにじませる。
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妖怪人間は泣き続けている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月21日
死人の顔を借りないと、人間のマネすら出来ない己の不完全に。
人間が人間を妬み、嘲り、殺す世界の不条理に。
学友に見捨てられた墓場で、誰にも届かない声を投げかけていたメアリの無念を背負って、赤児のように泣きながらベラは変身する。あるいは本性を現す。
人に姿を見せられぬ、獣のようなその体。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月21日
それを隠すために人間の皮を被っているのは、エレーンも同じである。ドス黒い本性を覆い、自分に都合よく世界を塗り替えるために重なる嘘、嘘、嘘。
そこにソニア刑事が、暴かれた死体を切っ掛けに切り込んでいくのはなかなか良い構図だ。
怪物めいたドス黒いエゴを見せるエレーンと、頂点を越えた怒りで二段感変身ぶっ込むベラと、どちらが怪物なのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月21日
妖怪人間も、人を殺す。Drリサイクルの施術で身体が変化しなくても、人間は心の中に獣を飼っている。
リブラシティで、天秤は揺れ続ける。
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殺意に己の魂を塗りつぶした時、ベラは瞳を失ってしまう。目無しの怪物になって人を食おうとする所を、寡黙系ツンデレのベム兄さんが救う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月21日
誰を殺し、誰を殺さないか。それを見分ける窓を閉じてしまえば、俺達は本物の獣だ。
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ベムは善悪の境界線を乗り越え、真実に挑むベラを静かに止める。知らなければ幸福な幻想に浸れた嘘が、ボウリング男の襲撃と殺害で砕かれ、裸のベラに優しくジャケットがかけられる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月21日
もう、人の形を真似する髪飾りも、服もいらない。むき出しのベラは、巨大な悪意に素裸で対峙する。
ジャケット一枚の半裸は嬉しいサービスというより、悲痛な態度表明で。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月21日
妖怪人間がその本性を顕にすると、必ず"服"はなくなる。人間の形はあくまで借り物で、簡単に剥がれてしまう。その都度かぶり直して、形を維持しないといけないものなのだ。
その嘘を、いらないと投げ捨て殺意に変える。
計画殺人者と同じ淵に身を投じようとした同志を、ベム兄さんはしっかり受け止める。その寡黙と優しさが、今回は頼もしい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月21日
ベム兄さんは黙って人間を信じ、アナベラは積極的に嘘をついて人間を愛する。この寡黙と饒舌の対比が、独特の陰影を生み出してていい。男ツンデレ最強。
全体的に渋くて暗くて良い話なのに、マジボウリング男だけはリアリティーフレームをぶっ殺したハイテンション過ぎて、『一体どこに行きたいんだよ!』とツッコんでしまった。いや、嫌いじゃないっつうか好きだけど。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月21日
ほんと急に、Z級ホラーの雑な殺人鬼みたいの飛び出してくんだもんなぁ…。
Drリサイクルの施術を受けた超人(あるいは人間廃業者、妖怪人間の同類)は殺して良くて、身体改造を受けていない"人間"は殺させない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月21日
それは司法システムが、人の中の獣を正しく見分け、裁けると信じているからだ。妖怪人間と同じ怪物は、普通のルールじゃ裁けない。だから、自分たちが始末する。
ベム兄さんが闇の法務執行者であり、ソニア刑事と対になる存在だということがより強調される回でもあった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月21日
そーいうキッチリした構造を見据えつつ、ボウリング男爆誕だもんなぁ…。
なんなんだあの特攻爆裂…もうちょいしんみり殺すところじゃないのか。それがBEMの味か! …良いじゃない。
ベロボーイも"代理戦争"の傭兵として、アッパーサイドに足を運んでいた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月21日
今回はクラスメートに見せる明るい外面と、妖怪人間としてのダウナーなクールさがいい感じの対比になって、ベラたんの魅力がぎゅと引き出される話。
その呼び水として、ずっとダウナー人間嫌いなベロはいい仕事してた。
ベム兄さんの裏稼業っぷりでは顕にならなかった、アッパーサイドの取り繕った日常が、アナベラの日常を追うことでよく見えたのも良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月21日
そこは悪くない、明るいスクールコメディの舞台だ。同時にクソみたいな偽善と嘘で塗り固めた、何が真実かわからない虚栄の市でもある。
妖怪人間たちは今日も風に吹かれながら、アッパーサイドとアウトサイドの境界を見つめる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月21日
やっぱこの天秤上の会話は最高に良い…毎週、不安定な自分と世界をビジュアライズしながら、ヒューマニティについて語り続けて欲しい…。
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人間の在り方を逆さまに見つめるベロと、学校に混じって光の側から見据えるアナベラ。そんな二人を、じっと腰を落とし見守るベム。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月21日
妖怪人間がどういうスタンスで"人間"に向き合っているか、物理的によく判る良いまとめであった。
『10年前から妖怪人間絡みの事件は動いていた』『妖怪人間は死人の顔を借りる』など、大きな背景に繋がりそうな情報もちらほら出てきました。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月21日
今後学園生活を送りつつ、化けの皮を引っ剥がされるキツイ事件がどんどん襲ってくるんだろうなぁ…あとハイテンションな面白怪人も。
アナベラがメアリから譲り受けた王冠は、妖怪人間が唯一持てる装飾具だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月21日
人は綺麗で、誰かに助けを求める。そんな夢を継承して、ベラは"アナベラ"を続けている。
でもそれは、大人になった(なれてしまう)"人間"の薄汚い嘘で、簡単に取り替えられる。謀略の道具になり、人を殺しもする。
その危うい嘘を綱渡りしながら、妖怪人間は今日も天秤の上を歩く。だから、嘘がつけない少年は好き。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月21日
エレーンの外面にコロッと騙されて、髪飾りは付け替えるわ『私妖怪人間なんです』と言いそうになるわ、ベラのチョロさはマジヤバい。絶対ロディ少年との甘酸っぱい恋も、地獄みたいになるよ~。
希望は容易く、絶望へと転がり落ちる。ベラが我を忘れるほどに激怒したのも、エレーンに"人間"への希望を投射していたからだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月21日
そうならないように、ベロはダウナーにニヒルに、人間を諦めたふりを続け、自分を守っている。ベラが人間を積極的に信じ、演じることで自分を守るように。
そんな少女の鎧と脆さが、じっとり描かれるエピソードでした。寡黙に、しかし誠実にその夢を守り続けるベム兄さんの優しさも見れて、非常にグッド。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月21日
10年前の殺人事件を絡めることで、ソニア刑事の存在感もグッと上がりました。人を人で居続けさせる"法"の重さを背負うキャラで、責任重大だな…。
エレーンは無事、人の法で裁かれる。真実は顕になり、妖怪人間を女子高生に変える嘘は破られない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月21日
だがそれは危うい天秤の上でいつも揺れていて、人間も妖怪人間も、簡単に怪物に為れてしまう。
危ういマスカレイドを続けるアナベラは、今後どんなスクールライフを送っていくのか。
今後の展開が楽しみになる、良いベラ紹介エピソードでした。いやー…いいキャラだなBEM版ベラ…。外面と身内に見せる顔のギャップが、ツンデレとして完成度高い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月21日
BEMは三者三様のツンデレ道ブラックベルトを見せてくれて、非常に良いです。次週はベロのツンデレが見れそう。非常に楽しみですね。
追記 妖怪人間は一方的に善良で、人間だけが愚かしい。そういうシンプルな構図にはしなかったのは、今風でもあるし原作をリスペクトもしてると思う。
BEM追記。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月21日
第1話では、ベムは人の姿を取り戻したの人に銃で打たれた。
第2話では、ベラは瞳のない怪物になって人間を殺しかけた。
殺すこと、殺されること。人の形をとること、怪物になること。その全てが渾然一体となって"妖怪人間"である。
このトンチキヒューマニティアニメ、かなり賢く強い…?