ノー・ガンズ・ライフを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月25日
"街"を支配するベリューレン社と、本格的に対立した十三。維持の代償は自分一人では収まりきらず、無関係な子供たちが手足をもがれていく。
青臭くも真摯な正義感を、十三にぶつける鉄郎。そこに"何か"を感じつつ、現実を突きつける十三。二人の思いは衝突し…。
そんな感じの、ハードボイルドサイバーパンク第三話。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月25日
べリューレンの長い腕がニョロニョロ伸びてきて、十三と鉄郎のスタイルをなぶり倒した結果、鉄郎の青臭さが大爆裂。
十三をハックして飛び出した先で、ベリューレンの手先になるしかない少女たちとも大衝突、というお話。
歯車が歯車を回し、あらゆる存在が疎外と抑圧のど真ん中で窒息しかかっている超高度資本ディストピア。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月25日
"街"のクソっぷりが束で襲ってくるような話で、なかなかに胸糞が悪い。子供に子供の手足もがせて、それを大人の体借りた子供がどうにか止めようとしてる構造が、無力の連鎖に満ちてるね…。
十三と鉄郎が話し合う前に、九星会の兄貴がズカズカと乗り込んできて、状況の事前説明をかねた"圧"をかけてくる形に。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月25日
反拡張者テロリスト"スピッツベルゲン"の存在といい、色んなロクデナシがグツグツ煮込まれている所が、最悪って感じで素晴らしい。やっぱ"街"はゴミ溜めでないとな!
しかし九星会はそれなりに筋が通ったストリートギャングらしく、十三のツッパリに感じ入って、素直に引いてくれる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月25日
"GUN"と"眼"を突きつけ合う、兄貴との睨み合いはかなり好き。十三のコーヒー一服もチャーミング。
©カラスマタスク/集英社・NGL PROJECT pic.twitter.com/akgGa7Nkzz
会話を拾っていくと、十三は銃頭になる前の過去を喪失しているようだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月25日
不偏不党の無頼っぷりは、帰るべき場所を知らないが故の無謀と、意地を貫くことで自分がどんな存在だったかを知りたいという願いのアマルガム、ということか。
白紙故に、企業が押し付けるスタンダードではなく、意地で己を埋める
それが可能なのは、十三が超絶性能の戦闘者であり、理不尽を(意志と意地で制御された)暴力で跳ね返す力を持っているからこそだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月25日
文字通り『手も足も出ない』鉄郎は、理想を貫きたくてもその手段がない。結構典型的な、"大人と子供"の構図だ。
十三自身も鉄郎と同じく、世を支配する理不尽にNOを突きつける人間だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月25日
だからこそ二人は出会ったし、機械のように使い捨てにされる怒りに共鳴もした。"子供"が物分りよく理不尽を飲み込む行為に、苛立ちもした。
その上で、今回十三は道理を説く。
善を求めるのならば安全席からではなく、火の粉が飛び交う最前線で。体を張り、力を示して初めて意地に筋金が通る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月25日
それは"街"のヤバい現場で、実際意地を貫き通してきた十三が、白紙の記憶に書き込んだ自分だけの生き様なのだろう。
だから、鉄郎の過剰な正義感が鼻につく。
しかし十三も、何もかも諦めてクソを流し込まれてろ、と言っているわけではない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月25日
理想に伴う代価を払いきれるだけの、強さを身に着けろ。それでも背負いきれない世界の全てから、自分が本当に大事にしたいものを見分けろ。
非常に不器用だが、処理屋はそういうメッセージを叩きつけている。
鉄郎はそういう、銃頭の判りにくいツンデレを読めるほど大人ではない。プッツンキレて、ハルモニエで十三をハックしてしまう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月25日
歯車と使い潰されるのがイヤで、処理屋の手をとって自由に飛び出したはずの少年が、味方の意思をねじ伏せ歯車にしてしまう矛盾。
そのヤバさに気づかない辺りも"子供"だなぁ、と思うが、彼が盗んだ力は結局他人のもので、十三のようにタフに生きられるわけではない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月25日
即解体の危機が隣合わせの"街"の現実も知らないし、超絶拡張体のパワーも乗りこなせない。銃頭に向けられる奇異と怯えを、鼻息一つで吹き散らす矜持もない。
米袋で覆い隠された銃は、意思を世界に解き放つ手段を上手く見つけられない、鉄郎そのものだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月25日
"子供"を相手にするには不器用過ぎる十三が悪いのか、"大人"の不器用な共鳴を感じ取れない鉄郎が悪いのか。なかなか難しいところだが、ハードコアな状況はどんどん加速していく。
ベリューレンの歯車として、暴走寸前の獣を体内にねじ込んだエンデと、その制御装置たるアン。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月25日
子供に身の程を分からせるために、子供を使って子供の手足をもぎ取る。最悪の児童搾取が、ぐるぐる回るメリーゴーランド。"街"は最悪であるほどいいが、最悪にもほどがあるぜ…。
鉄郎は十三という、自分の居場所を体張って作ってくれる"
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月25日
大人"と出会えたけれども、アンとエンデ(というか"街"の殆どの住人)にそんな幸運はない。
ゴミ以下の共食い行為だと知りつつも、弱者の腕を貪って、巨大な装置に媚びるしかない。アンの憤激には、鉄郎の理想を弾き返す生々しさがある。
それでも、そんな理不尽と、理不尽を飲み込むしかない無力が飲み込めないから、鉄郎は檻を飛び出し、十三と出会った。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月25日
そんな青臭い理想をバカみたいに信じてくれるからこそ、十三も哲郎の手を取った。
そこら辺の共鳴に、鉄郎も目を向けて欲しい所だが、さて…。
ここまで意思をなくした企業の歯車と、それに抵抗する好漢ばかりが見えていたので、犠牲者なんだけど加害者でもあるアンとエンデの登場で、作品世界の陰影が増した感じもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月25日
彼女たちは十三に出会えず、ハルモニアという特別な力を持っていない、鉄郎の影なのだろう。
それは世界中に満ちていて、だからこそ鉄郎は反抗する力を求めた。おかげで十三ボディをハックである。何度考えてもよくねーなこの行動…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月25日
己の影法師、救うべき同士を前に、幼い理想はどう動くのか。生き様を貫く"大人"は、目の前の理不尽に一体何を差し出せるのか。
次回も楽しみですね。