Dr.STONEを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月25日
百物語に紡がれる、石神村創生秘話。
人類最後の六人が、いかに石の世界で生き、死んでいったか。何を夢見、何を願い、何を託したか。
百の夜を越えて、千の空を目指す。幾万の時を超え父から託されたものに、一つの落涙と無限の決意。
一つの幕が下り、そして…。
というわけで百夜編後編ッ! さらばオヤジ、男の涙は一度だけッ!! なエピソードである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月25日
原作からして超いい話なのだが、アニメはさらに軸を太らせ、描写を足してドラマチックに仕上げてくれた。
千空たちが何を背負って前に進んでいくのか、物語に分厚さを足す改変で、非常に良いと思う。
ハイテンポにザクザク進んでいくのがこのお話の心地いいところだが、ペースを落として分厚くやるところでは、しっかり時間を使っていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月25日
この見極めが的確なのが、科学知識無双を薄っぺらく落とさず、人間ドラマとしての熱量を生み出す土台になっていると思う。早いだけじゃダメなわけよ。
千空は百夜から様々なものを受け取っているので、百夜がどんな人間だったかを描くことは、主人公がどんなヤツかを浮き彫りにしていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月25日
好きなのは、百夜→千空という年齢勾配に従った一方通行ではなく、千空→百夜という影響がちゃんと描かれること
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同じ構図を、石化した(そして未来に蘇る)千空と地べたを這いずる百夜で共通させて、通ずるものがあるのだと"絵"で分からせる構図が、今回多用される。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月25日
それは"父から子"への影響という一般的な方向性だけでなく、"子から父"への敬意という、逆向きのリスペクトとしてえも描かれ、状況を打破していく
石化光線の出処を割り出した、Twitter逆算処理。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月25日
それは百夜が『千空ならこう考えるだろうな』と、息子の生き方を模倣した結果だ。
あんだけの天才が身近にいて影響を受けないはずがないけども、百夜は年とか余計なことは考えず、スゲェやつはスゲェと素直に認め、自分の中に千空を住まわせる。
年も性別も社会的立場も関係なく、人格と能力を認めて平等に接する千空の生き様は、父から学んだものなのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月25日
いざとなれば額に汗して、生命救助に勤しむスタイルも、オヤジそっくりである。せ、背中がデケェ!
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同時に違うものもあって、百夜は千空ほどのチート野郎ではないので、人類救済の逆転策は思いつかない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月25日
せいぜい命を存続させて、未来の救世主のために村一つ、仲間の絆一つ手渡すくらいだ。
歴史の教科書に乗るくらい立派な、凡才の地道な奇跡である。
それでもいつか、アイツなら。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月25日
そう心から信じて、曇り空の奥の星を見つめることで、絶望的状況に飲まれない。
『絶望するのは非論理的だ』
息子ならそういうだろうと、強がりで顔を上げて未来を見据えていく。
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そういう姿勢と視線も、親子が相互に影響しあって描かれた、時を超える"継承"であろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月25日
千空がそれなりにひねくれつつ、人類と科学の可能性を億パー信じる楽観主義者に育ったのは、その才能を素直に認め、自分に取り入れる家族が、身近にいてくれたからこそだったと思う。
特別な力が傲慢を生むのは司見てりゃ判ることで、それを殴り飛ばすのではなく、認めることで真っ直ぐに進める出会いが、千空にはあった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月25日
ここら辺、『家族がないと自動的に人間が歪む』という書き方にもなりかねないので難しいが、あくまで百夜と千空、個人の資質がどう影響し合うか、の話だと思う。
父子の継承以外にも、シャミールの描写が原作より太くなっていて、別れのシーンがよりグッと刺さった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月25日
コニーに惹かれ。家族として支え合うようになる心の動きが丁寧になっていたし、その結果残酷に家族を引き裂く"死"の重さも描かれていた。
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積み重なっていく墓標。科学という鎧を失った人類はあまりに脆く、肺炎程度で人間は死んでいく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月25日
それでも、生きることは楽しい。そう信じることで、絶望を乗り越えて未来に踏み出せることを学び、証明したから、シャミールは微笑んで死ねたのだろう。
やっぱ質の良い男ツンデレ摂取すると、肌が潤うね
始祖の命を奪った"肺炎"にルリも罹患していて、しかし千空たちはサルファ剤を開発し、それを乗り越えたこと。父母が救えなかった命を、その手に掴んだこと。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月25日
父たちが心を繋げた"ラーメン"が、アウトサイダーが共同体に溶け込む最初の一手になったこと。
過去要素をリフレインさせる手腕がメッチャ巧い
何気なく描かれたものが再登場し、運命が繋がっていたような錯覚を与えるリフレインの巧さは、作品に奥行きを与える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月25日
時間も取り巻く人も別なのに、共通している何か。それを見いだして意味を与える行為が"読む"と言われるなら、非常に公正かつ綺麗に"読める"作品なのよね。巧い。
後半は顔面の強さ、風景の美麗さといった作品の強さが全開になって、こちらの心を殴りつける画面が多かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月25日
死すら当たり前に飲み込んでしまう、ストーンワールドの残酷な広さ。そこを駆け抜けていく一瞬の命と、積み重なる時代。確かにそこにあった、人々の想い。
そういうものが感じ取れるのは良い
過去と現在がザッピングしながら進む今回だが、千空が"勝った"ことで何を手に入れたか、酒宴のシーンでよく見えた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月25日
オヤジが遺言に刻んだように、彼らは人の繋がりを手に入れたのだ。妖術使いも乱暴者も、皆居場所を手に入れて酒を飲む。
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完全アウトサイダーなゲンですら巻き込まれる無礼講に、金狼銀狼が距離を置くこと…門番という責務を忘れないことに別の意味があることは、来週あたり見えるかな?
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月25日
共同体の内側に入る喜びと、その境界線を守る意味。朗らかでありながら、作品の核が描かれたいいシーンだと思う。
その輪から外れていくものが、また二人。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月25日
親子の情を慮ったルリに導かれ、千空は想い出の眠る墓所へと進んでいく。
青い森を進む千空のクールな、しかし不思議なぬくもりのある顔面が良い。
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同じ夜を、オヤジも見つめた。木々の中で朽ちていく文明の象徴…ソユーズ脱出艇の上で月を見ながら、世界を必ず救うだろう息子への敬意と信頼を、自分たちが残した命に託した。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月25日
その営みが、百万の墓標として刻まれている。人は生きて、死んで、また生きていく動物なのだ。
青い空を征く鳥のように、自由な生き方はできない。地面に這いつくばって、一個ずつ命を繋ぎ、意思を物語にして託す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月25日
そういう生き方しか出来ない、当たり前の人々。千空は"そっち側"には居ない。救世主で大天才だからね。
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しかしそんな凡人達の当たり前で、個別で必死の生き様があればこそ、特別な奇跡は成し遂げられる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月25日
千空はそういう、当たり前の人達の汗を忘れない。オヤジが成し遂げて届けてくれたものを、墓標の先にある光を見落とさない。
しゅ、主人公~~~~~~。
スカシた態度とチート能力はあくまで”ガワ”で、千空はあくまでオールドスクールなジャンプ主人公だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月25日
友情、努力、勝利。特別な才能を持ちつつ、当たり前の人達の尊厳に強く敬意を払い、自分に出来ないことを顕著に認め、それでも諦めずに舳先に立つ。
強がり、前を向く。
他人を思いっきり見込める息子最大の資質を、百夜はしっかり見抜いていたのだろう。だから”村”を、凡人が手渡せる唯一の希望として、遥かな未来に手渡した。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月25日
自分より遥かに巧く、人々を使ってくれるだろう、と。
ここら辺、義父であるコクヨウと通じるところがあって好き。
ルリがそういう強がりボーイの涙を見ないために、スッと身を引いて二人きりにさせる所が、また良いわけよ。この上田麗奈、”仁”というものがわかっちょる!!
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月25日
恋愛要素をあんま発展させない作品だけど、『これは”恋”になってもいいな…』と素直に思える距離書くのが、メッチャ巧いよね。千ルリキテる…
時を超え託されたオヤジの遺志。うず高く積まれた墓標が示す、人々の営み。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月25日
一瞬だけ涙を流し、主人公は再び前を見る。減らず口一つ叩いて、想い出を受け止め未来に進む。
しゅ、主人公~~~~(二度目)。
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このメロウな雰囲気で終わりにしないのが、アップテンポ科学無双物語の強いところで。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月25日
ゲンちゃんの濃い口顔面と、嵐を前に不敵に笑う主人公の宣戦布告で次週に続く、である。いやー、休まんねぇホント…。
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という感じの、大満足過去編であった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月25日
石神村という社会基盤、千空という人格の根っこに繋がる物語なので、ただの回想とは重さが段違い。
たっぷり仕込まれた伏線を一気に回収する、謎解きの面白さもあった。
しかしやはり、たった六人からなんとか希望を繋いだ凡人達のあがきが、強く胸を刺す。
人を石化から戻す手段も知らず、幽かな物語に文明の残滓を刻み、病に虚しく斃れていく、当たり前の人々。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月25日
主人公になり得なかった想い出たちを背負うことで、特別な奇跡が成し遂げられる。
チート無双物語が見落としてもおかしくない、他者性への強い敬意が刻まれた回想でした。
そういう普遍の価値をガッチリ見つめる男が、この話の主役だと強く刻まれたのも良かったし、それが”親子”という密接な関係で繋がってる生っぽさも素晴らしかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月25日
こういう個人的な事情をしっかり見せることで、デカいことを為しげ続ける主人公が、バッチリ”人間”だって実感が視聴者に届くけんね。
千空が知らず手に入れていた、父達の遺産。”仲間”の祝宴に酔う暇もなく、伸びる司の魔の手。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月25日
当たり前の人間に、生きる価値なし。
そう断ずる高慢と暴力に、千空と”仲間”、科学と意思はどう立ち向かっていくのか。
次回、新章””開幕。今度は戦争だッ!!
マージ面白い。