ランウェイで笑って 第5話を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月19日
芸華祭への参加を切っ掛けに、広がっていく育人の世界。
モデルにしてデザイナー志願、長谷川心の熱意を知り、人形を用いた選考の場に身を置く。
ヒリヒリと肌を焼くどす黒い感情と、それを押し流す熱い奔流。
夢のど真ん中で、迷うのなら。
戦友に、会いに行こう。
そんな感じの、女の子の私室に”二回”入るエピソードである。1話十分背負えそうな材料を1パートにみっしり叩き込んでいるので、スピード感ありちょっと急ぎ足な感覚もあり、やっぱ独特のフィールがある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月19日
必要なパーツをしっかり拾って、何を見せるか考えて作っているミニマルな感覚も継続である。
同時に心ちゃんと千冬、育人に関わる二人の女の子を並列で描いたことで、育人が彼女たちに寄せる感情の差異…”ムラ”みたいなものもより可視化された。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月19日
まー心ちゃん独り相撲伝説はこっから始まるわけだが、それがあんま”負け”と見えないのが良いところで。
色恋より夢と仕事が先に立つから、かな?
さて、夜の公園で郁人パイセンは、ホイホイ足の長ーい女の子を介抱する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月19日
膝下の折り曲げ方、それでも指二本分頭が飛び出すあたり、心ちゃんの”フィジカル”の強さが伺える。え、エグい。
組んだ両手の使い方が、ナチュラルに反感買いそうでグッド
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お酒の勢いもあって、心ちゃんは凄くオープンにグイグイ前のめり。しかしシラフの郁人は、礼儀正しく接してはいるものの、個人的にどうこう、という段階ではまだない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月19日
このアニメバリバリの悪意もひっくるめて、人間が持ってる心理的障壁、それが触れ合うアンバランスを、結構大事にしてる感じがある
世の中上手くいくこともあれば、形にならないこともあって。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月19日
ままならなさと取っ組み合いながら、どう魂を汚さず結果をもぎ取るか。そういう命題に、それぞれの個性と人格がファッションを通じ、挑み続ける話でもあると思う。
心ちゃんと育人の間にある幸福な断層は、そんな現れの一つだ。
夢のパリ留学、プロデビューが待ち受ける芸華祭。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月19日
フワフワと夢に踊ってたら、スーツ姿の現実が心ちゃんの腕を捕まえて、凄い強さの言葉でバコバコ殴りつけてくる。
ここで埒を乗り越えて前に出るあたり、”弱い人”に弱いんよね育人。
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お母さんの宿病と、家庭の経済環境。それでも死なない家族への愛。弱い人を支えるために前に出て、自分を抑えること、他人の顔色を読むことに凄く長けている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月19日
それは『着る人に寄り添った服を作れる』という長所と、『ファッションの最先端で勝負するにはエゴが弱い』という短所に、両方繋がっている
ここでマネジから心ちゃんを守る盾になり…きれないのが、育人の弱さで。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月19日
結局車で回収されていくのを止めるだけの、個人的な材料を掴めず、脇をくぐられちゃうのよね。
『弱い人を守ろう!』って衝動はあるけど、具体的な現実を動かすだけのテコが(まだ)ない。
技術にしろ経験にしろ認識にしろ感情にしろ、世知辛い世の中に立ち向かう武器を一個一個手にしていくのが”大人”になるってこと(の、一つの現われ)なら、その不足を書く必要がある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月19日
この話は、そういう失敗や未熟や傷でいっぱいなのだ。そして、それが満たされる物語でもある。青春だなぁ…。
去っていた心ちゃんを育人は見捨てず、自分の足で私室に近づき、扉の前に向かう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月19日
溢れんばかりのモデルの適正(千雪が欲しくても手に入らないもの)を持ちつつ、他のすべてがモデルに向かない。
だから、逃げ道としてデザイナーを目指していた。
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マネージャーが投げ込んだ波紋を、心ちゃん自身が見えなくなっていた夢を、育人はドアの向こうからしっかり覗き込む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月19日
ノートに書き込まれた、沢山の改善点。それに追いつくために、部屋を埋め尽くした”服”の道具。
性別も体型も年齢も、かかえる問題も違う。
しかし自分と同じ熱い思い、『”服”に携わっていたい』という願いに対して、育人は常に目が開いている。その純粋さを裏切りたくないと、真っ直ぐに思い続けている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月19日
自分にも襲いかかる厳しさが、心をへし折りそうになった時、育人は踏み込む。
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…んだけど、それはあくまで善良さの発露であって、個人的な特別さは向いてないんだよなぁ…心ちゃん、ある意味かわいそう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月19日
完全に恋心入っちゃった瞬間を、可愛く切り取ったいいシーンであるが、後の千雪への反応と比べるとあまりに体温違いすぎて、少し悲しくなる。
しかし恋が双方向でないことが人生の不幸全てではないし、同志でありライバルでもあるような存在と出会えたことは、二人にとって大きな幸福だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月19日
まぁ色恋だの言ってる場合じゃねぇ仕事の大波が、次から次へと襲いかかってくるしな…冷たい現実と、ヒリつく敵意のカクテルも。
心ちゃんの中の育人とと、育人の中の心ちゃんのサイズはアンバランスだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月19日
というか、育人が色んな人、色んな事柄を大事に出来る、度量の広い子って話かも。善人であることは、時に感情の不均衡とか、過剰な優しさとか、色んな問題を抱え込むことにもなる。
そんな危うさの一つが、”家”の問題である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月19日
お母さんは病床から手を伸ばして、育人の疲弊を心配する。この仕草が知らず千雪とダダかぶりな所に、彼女の唯一性があるなぁ…。
厳しい風の中でこそ、微笑みと気遣いを。
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そういう母に育てられたからこそ、育人は優しくなった。それが、心ちゃんに手を伸ばす源泉にもなる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月19日
同時にそれが足かせにもなることを、今後の展開は語るわけだが、しかしそれが悪いはずがない。そうではいけない。
そのためにも、育人は夢を諦めず、誰かに優しくもあり続ける困難な道を進む事になる
彼を突き動かすマザー・コンプレックスの源泉が、静かに切り取られたいいシーンだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月19日
同じ目の下のクマを気にかける仕草で、千雪に”母”の影をどこか重ねてる心理もよく見えた。
露骨マザコンなんだが、環境と人格を考えるとまぁ、しょうがねぇ。千雪もファザコンだしな…。
コンプレックスてのは全ての人間が抱え込むもので、それが現実の行動をあまりに歪める時にだけ問題視されるべきだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月19日
育人の家族への愛、それが生み出す束縛は確かに強いが、だからこそ彼の人格、デザイナーとしての強みが生まれている側面も強い。
千雪に育人が惹かれるのは、『母に似ているが、母ではない人』だからだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月19日
青春期に出会うべき、己を良くしてくれる鏡としての、異質なる他者。同質な熱量を持つ、魂の同志。
そして、恋の向かう先。育人は母の影を重ねつつも、千雪個人の異質な魅力に、頬を熱くしていくのだ。
そういう”他人は他人”という感覚が結構育ってるのも、育人の良い所で。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月19日
嫉妬と敵意が渦を撒く、歓喜が悪い被服室。そこで与えられた課題は、”セイラが着たくなる1/3サイズ”である。
命金の一万円に、ギャーギャーほざく他人の声。
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『有名モデルのセイラ!?』と、ファン目線のヌルい声援含め、モブのガヤがまー耳障りだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月19日
しかしそれは、確かにそこにある。
愚鈍も侮蔑も悪意も、たっぷり大気中に含まれた世界の中を、育人は生きているのだ。きららアニメじゃねぇんだぞ!(雑なジャンル把握を用いた、良くないマウント)
しかしそんな黒さ、尖った歪みに、育人は飲み込まれない。…呑み込まれないよう、必死に頑張る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月19日
江田くんや木崎さんがぶつけてくる、甘さへの指摘。顔のないモブ達の『かわいそう』という嘲り。
それをまっすぐに、”服”で跳ね返す决意。
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そういうものは、存外気持ちのいい連中と繋がっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月19日
木崎さんがアタリは強くとも、育人個人ではなく自分の不甲斐なさに苛立ち、同じく”服”で真っ向勝負したい気持ちを見せるのは良かった。
まー似てるよね、柳田さんと。似てるからこそ、強く惹かれるのかもしれんけど。
後のライバル関係を予感させつつ、状況は進む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月19日
育人は厳しい予算を反映し、パッチワークで服を仕上げようと奮戦するが、それがヤバいってことに気づく。
”服”を第一に考えなきゃいけないのに、着る人とか、経済事情とか、沢山の”現実”を前に出す
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厳しい家庭事情のなかで、少しでも家族の笑顔のために。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月19日
育人が”服”で生きたいと願った原典は、モードな服飾の只中に立つ時、弱点にもなる。
『命金、使えねー!』とか言ってないで、夢のためにバリバリ散財すれば、わざわざ悩まないだろう。
しかし『そんな主人公、見たいか?』って話でもあり。
抱え込んだ優しさと弱さを、必要とされる厳しさと強さにどうすり合わせるか。あるいは、優しさを強さにつなげて、他の人にはない”華”を掴み取っていくか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月19日
今後もたくさん顔を出す、都村育人の問題点。ビンボくさいパッチワークとその超克は、長い道のりの第一歩だ。
育人はかつてそうしたように、問題の突破口、心のブースターを千雪に求める。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月19日
携帯ケースにすら『ランウェイを往け!』と描いてる意識の高さを、私室のなかで共有する。
乳尻太ももにドギマギしてる場合じゃないんだよ!
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心ちゃんと向き合った時は動かなかった鉄面皮が、千雪相手だと赤く染まる。少年らしい純情エロティックは、しかしモデルに賭ける熱意、そのための努力に沈下させられていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月19日
生まれる体温は違うが、『私室に秘めた情熱の総量を見る』てのは共通ね
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デザイナーを目指すための、モデルとして立つための、必死の努力。それがあれば結果が掴めるわけではないが、けして無下にし、『かわいそう』などと嘲ってはいけないもの。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月19日
それをしっかり見止める人だからこそ、郁人の周辺には面白い連中と、確かな支えが集まる。それが、現実を動かすテコだ。
母に似た優しさに触れられて、母とは違う体温を呼び覚まされて、育人は突破口を見つける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月19日
心ちゃんの瞳に宿ったのは育人なのに、郁人の眼に住んでるのは千雪なんだよなぁ…そして三人全員、”服”が視界のど真ん中にある、と。
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さて、夜に吠えて見つけた突破口は、一体どんな”服”を生み出すのか。郁人達の青春ファッション闘争は続く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月19日
つうお話でした。
やっぱスピーディーな感じはあるけど、要素は抑えて進んでいる印象です。必要なバイタルパートでスペースが埋まっちゃって、潤いと余計なユーモアを入れられない感じもあるが
そこは”原作”を知ってしまってるが故の荷物でもあって、それを外した視線でアニメ自体を見る必要があるな、とも感じています。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月19日
スパスパ進むことで生まれる独自の感触、新たな発見もあって、それが掴めるのはやっぱ、原作をうまく換骨奪胎してるからかなー。難しいところ。
心ちゃんと千冬に、育人が向ける視線の熱量差、重量差。そこを強調してどう活かすかが、結構楽しみだったりします。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月19日
順調に見えると猛烈な足払いを食らうのが、このファッション青春物語の特徴。どんだけエグく”現実”叩きつけてくるかも含め、次回が楽しみです。