petを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月19日
親殺し、自分殺しの血の池地獄から、司を蘇らせたヒロキ。しかし司のダメージは大きかった。
一方大陸では、ロンが”社長”の宿願を果たすべく暗躍していた。メイリンの”蝶”が羽ばたく時、心が壊れ人が死ぬ。
ベビーの叫び声は外に漏れることなく、その涙を拭うものはいない。
そんな感じの、加速していくさらなる地獄、pet新章開幕である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月19日
マッッッッジでガキが泣いてるのは許せねぇからよ!!!(開幕の挨拶)
自分の心の中の子供を、どう扱っていいか判らねぇ大人共のカルマに、弱いガキを巻き込んで権力争い、銭稼ぎしてんじゃないよホントに!!!
すいません、つい…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月19日
大陸の方の事情にも切り込んでいく今回、ロンの道具になってるメイリンの描写も多いわけだが、ほーんとただの子供な彼女がワンワン泣いて、でもそれは心の中のことだけだから表には出なくて、立ち向かうことも出来ないまま便利に使われてて…スゲーキツかったです。
柔らかい部分があろうとも、自分で人生を選べる(その責任も自分で背負う)連中がカルマに飲み込まれていくのはまぁ飲めるんですが、子供は流れに抗うパワーが全然ないからね…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月19日
だからこそ誰かが手を差し伸べなきゃいかんのだが、それやった林さんは”子”に潰されちゃったからなぁ…。
そんな司の親殺しを、ロンが憎悪し警戒している様子も描かれ、情が背中を刺し愛が憎しみに変わる厄介さ、自分への愛情が他人に敷衍していかない不自由が、色んな所で軋んでいます。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月19日
誰もが他人の辛さを、己のものとして引き受ける優しさと強さを持つなら、こんなに寒い世界じゃないのになぁ…。
さてお話は、第3話の親友殺しを生き延びたはずのボンから始まる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月19日
あの催眠血の池地獄は、今回の”仕事”のための仕込みであった。サイコダイバー達は超常の力で、幾重にも罠を仕込み、自分の望む状況を手に入れていく。
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ロンはメイリンの”蝶”のイメージを使うことで、都合よく記憶を書き換え、後の惨劇の仕込みを済ます。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月19日
”蝶”は儚い存在で、自由に飛びすぎれば太陽に炙られ、落ちてしまう。
林の”風”、司の”水”、悟の”ドア”…ペットは皆イメージの中に、自由を夢見る。でもそれは、”会社”という檻の中の自由でしかない。
ボンのタニが”砂場”なのも、幼馴染が撲殺されたバンカーのイメージが強く焼き付いているのだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月19日
あの惨劇が、イメージで心を捻じ曲げられた結果だと知らないままに、ボンは”会社”の都合のいい人形へと変えられ、祖父を殺すことになる。
それが『自分のため、家のため、父のため』なのがキツい。
後に社長も修羅の顔で『親を殺されたお前の顔が、ずっと見たかった!』と吠えるけども。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月19日
自分の親を愛していたから、それを殺した相手に親を殺させるっていう、出口が一切ない修羅界があらゆる人を飲み込んでいる。司も親殺ししちゃったしね…。
愛情というプラスが、殺意というマイナスに繋がる逆接。
それが、あらゆる場所で口を開けている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月19日
ヒロキの頑是ない純情を、司はのし上がるために利用している。自分が何を話しているか、子供に理解されないように北京語を使っている。
でもそうやって成り上がりたいのは、林さんとの約束を果たすためだ。もう一度、愛する人に出会うためだ。
そんなに焦がれたヤマ親を、司は自分の手で殺してしまった。帰ってきても、その腐った感触は彼を傷つけ、ジワジワと殺していく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月19日
全てがネジ曲がり、愛が愛として順接で発露できない、不自由な世界。そこから飛び出すイメージすら、誰かの便利な道具でしかない。
その一番中心で苛まれているのが、自分を表す言葉を持たない…林さんが与える前に奪われてしまったメイリンである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月19日
オメーロンよー…何も感じない便利な道具扱いしてっけどよー! キッチリ人間潰して辛くて辛くて泣いてんじゃねーか!!
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メイリンのタニに、迷い込んだ一匹の蝶。それは林さんのヤマの欠片だ。誰かが側にいて、声を聞いてくれるという希望だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月19日
『いつか必ず、おじちゃんは戻ってくる』
その約束は、潰されてしまった林さんには果たせない。彼女は燃え上がる世界の中、蝶を夢見て泣き続けるのだ。マジ辛い…。
ヤマを分け与えられる前のペットは、他人の地獄を吸い上げてしまう。そこに鍵をかけることで自分が生まれ、世界に立つことが出来る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月19日
でも、自分と他人の境界がハッキリしていなくても、炎は熱いし涙は辛い。表に現れなくても、メイリンはずっと泣いている。林さんを待っている。
その不自由な状況を、便利に使ってるロンと会社がマジで許せねぇけども、彼らもまた肉親の情を欲得に一滴混ぜ合わせて、マフィア稼業を続けている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月19日
親を殺されるのは許せねぇ。だから、お前の親を殺してやる。泣いてるガキを、復讐の道具に使い倒してやる。
『だから』で繋がってない、ケダモノの逆接
それしか人間には許されていないと考えると、非常にしんどい。カルマの話だなぁ、つくづく…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月19日
車から車、シャッターからシャッター。日本と大陸を行き来しながら、ロンは謀略を進めていく。”会社”のルールを自分のモノに出来た大人と、それに反逆する子供。
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髪を染めなきゃいけない”次の仕事”の後、物語のクライマックスはロンと、会社の本丸にペットたちが対峙する話になると思うが、今回の接触はその前哨戦だと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月19日
鍵が緩く、他人のイメージをすぐ受け入れてしまうヒロキは、メイリンの幻蝶を視認する。
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その共鳴、風の子供と水の子供が出会ったことが、何らか幸福に繋がってほしいという想いが、非常に強い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月19日
親を助けるために必死になって、血の池に飛び込んだガキ。
涙を誰にも拭ってもらえず、押し付けられた地獄で泣き続けているガキ。
そういうのがさぁ…酷いまま終わるのはちょっと耐えられんよ…
まぁ作品世界のルールが厳しいので、全てが焼け野原になって終わるエンディングも覚悟しなきゃいけないのかも知れないが…ヒロキとメイリンはキツいな…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月19日
そういう終りを迎えないためのトリガーとして、『司だけいればいい』はずのヒロキが、名も知らぬ子供を気にかけたことは大事な兆しだと思いたい
仕込みを済まし、社長は念願の復讐を果たす。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月19日
ただ殺すのではなく、自分が背負った地獄を再演し、より厳しく取り立てる異能の決着。
裸になれば武器は持てない。嘘も付けない。
そういう常人の価値判断は、”会社”には通じない。
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ボンの親父さんが息子を結構気にかけていて、親友をぶっ殺されれたことに言及する『良い父親』な描写が、奇妙な殺戮の残酷さ、世知辛さを強調している。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月19日
社長もまた、『良い親』を殺されて、菩薩の仮面に修羅を秘めた怪物になってしまったのだろう。
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社長が潰し屋とペット、ベビーを便利に使い倒して、闇社会でのし上がりたかった理由…果たしたかった悪夢は終わった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月19日
でも、経済体としての”会社”はもう、心を書き換える異能を手放せない。暴力と我欲を加速させながら、毒蝶は今後も羽ばたいていくだろう。
むしろ思いを遂げたことで、枷を失った凶暴さは鋭さを増し、ペットたちをさらなる修羅場に追い込んでいく予感もある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月19日
ペットたちが生み出された、巨大な復讐劇は終わった。でも、物語は終わらない。愛憎のカルマは様々なものを巻き込みながら、延々と転がり続けるのだ。
その運命の車輪に、司も巻き込まれている。コントロールを失い、綺麗なものを血に染め上げながら、それでも生き続けている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月19日
司が初めて林さんのヤマを分け与えられた時の、最上の思い出。それも、山の彼方、自由に繋がっていた。
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それが今は血と蛆虫に汚れて、すっかり憔悴している。そら、親殺したんだからな…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月19日
ヒロキはそこになんとか寄り添おうと、不器用に食事を作り、手を差し伸べる。でも司は彼の純情を利用し、野望の階段を上がる意志を捨てない。
そうしようと思った約束は、自分で砕いてしまったのに。
メシも食わず、縄張り意識と闘争心だけを燃やす闘魚。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月19日
『ベタは別の水槽で飼う』という基本すら知らないまま、熱帯魚をやろう、普通の人間として生きようとしているヒロキの無知が、非常に痛い。
彼をこういう状態で保つことが、便利に使える”ペット”の条件なんだろうなぁ…ヤマ親の教育が悪いッ!
自分と司にも通じる夢を壊して、達成された”会社”の仕事。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月19日
その手触りがずっと残っているから、ヒロキは頑なに仕事を拒絶する。普通に生きようとする。
その熱い涙を、司は利用し、受け流し、はぐらかす。信頼に意味などないと、冷たく突き放す…
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と思わせて、ペットだけが可能なイメージの繋がりで、会社の手が届かない”水”を、二人は共有する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月19日
司は水で作られた裸になって、自分の思い、未来の野望を言葉にしていく。しかし、それは全てではない。
裸になればすぐさま、安全と率直が生まれるわけではない。
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社長血みどろの復讐劇も、裸で行われたのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月19日
それでもヤマ親が自分に寄せる信頼を、ヒロキは心地よく受け取る。
何しろ、愛しているのだから。それだけあればいいと、心に思い詰めるほどに。
司にとって、林さんはそういう人だった。だが、だからこそ潰した。
この逆説を、ロンは警戒する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月19日
社長の甥として、”身内”への情を理解しているのに、他人の心は書き換えて潰し、メイリンの涙は見ない。
心を書き換える修羅達は皆、愛を持っている。
しかしそれは方向と視界が限定され、すぐさま無理解と暴力に繋がってしまう、脆く儚いものだ。
それが『間違った愛』だというほど、僕は正しさのことをよく知らないし、心の鍵がかっちりかかっているわけでもない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月19日
エゴとアガペが背中合わせに張り付いてしまっている、人間の初期不良。それを真っ直ぐ見据えつつ、いろんな形の歪みと純粋を掘り下げていく物語は、虚心に群像を見据える。
司は憔悴した夢の果てに、『全てをやり直す』瞬間を夢見る。そのためには、悟が邪魔だと。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月19日
『…何言ってんだオメー!』って感じだが、彼が掴みたいものが林さんとの満ち足りた関係、自分で壊した過去だとすると、そらまぁ邪魔だよね…。
なんでこんな事に…。
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ヒロキの不器用なホットケーキを、悟は『旨そう』だという。誰かが誰かを思って、必死に差し出すモノの意味を、ちゃんと判る人間なのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月19日
そんな男たちが、ヤマ親と子供をめぐるカルマの渦中にいる。
共存できない闘魚は、闘ったから死んだのか。それとも、目の前にあるエサに気づけないから死んだのか
美しい外見と闘争心が加速するように、品種改良を重ねられたベタが、林さんから繋がる子供たちのメタファーなのは非常に的確で、哀しいことだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月19日
誰かの楽しみのため、争わされる美しい魚。
炎の暑さに耐えかねて、一人で泣き続けている蝶。
皆、檻の中にいる。
…凛として時雨、良いOP作ったなぁ…。
彼らが髪を黒く染め、飛び込む水槽はどこなのか。そこに閉じこめられた愛憎は、どんな衝突をもたらすのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月19日
狂いきった愛の歯車が軋みつつ、運命の車輪が回る音を聞き続けるような、胃の痛いエピソードでした。
とりあえず、メイリンには幸せになって頂きたい。マジで。切に。
ロン周辺を濃く描いたことで、大陸本家もまた”親”への情に縛られ、だからこそ他者を虐げる、あまりに人間的な人間であることが判ってきました。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月19日
愛があれば残酷が許されるわけじゃないけど、心のない獣などこの世にはいない。情を知っているのに、それがひどく狭く、歪んでいってしまう哀しみ。
そういうものがベットリと、キャラクター全てを縛っている息苦しさが、ザワザワと広がるお話でした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月19日
いやー…しんどいな、つくづく。
その重たさがサイコダイブの異能を通し、人間の業を描き切ろうとする意欲と誠実に支えられている所が、この話の強さだと思います。
次回も楽しみ。