地縛少年花子くん を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月21日
土籠の依代を通じ、花子くんの過去を垣間見た寧々。
彼が地縛霊なのだと思い知らされたことで、変化していく世界と自分に、少女は戸惑う。
光のアシストもあり、再び関係を気づき直せた…かに見えた時、黒い花子くんが現れる。
噂を捻じ曲げる”放送室”は、何を願い望むのか
そんな感じの新章開幕、さらなる加速を見せる心霊ジュブナイルである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月21日
土籠の肩越しに覗き見た、人間時代の花子くん。彼がかつて人間であり、もはや死んでいる事実を確認した寧々は、その大きさに戸惑う。
それは自分の世界しか見えない子供の世界が、広くなっていく変化への当惑だ。
寧々が目の前三センチの世界だけで生きてる、徹底的に浅はかな女の子として物語に着地したことが、凄く活きる運びだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月21日
恋に憧れても、人の顔は見ない。足元に広がってる危うい境界線も、怪異に満ちた世界も知らない。
そういうところから始まった物語は、花子くんと出会うことで変化していく。
少女は幽世と現世の境目を歩き、生と死を知り、恋と闘いに身を投じていく。超常と日常が繋がった不思議な体験が、彼女の身の丈と心を大きくしていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月21日
そういう変化に、ポップに真面目に向き合う展開でとても良いと思う。センス抜群の軽佻浮薄に見えて、ベタな部分が強い。そこが好き。
花子くんと寧々の距離感は、”16時の書庫”に潜って以来ギクシャクしている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月21日
寧々は見てしまった過去の重さを、どう扱ったものかわからないのだ。まぁ、今までノンキに一般少女してきたからねぇ…。
©あいだいろ/SQUARE ENIX・「地縛少年花子くん」製作委員会 pic.twitter.com/VgIbYc7IJ9
子供時代の延長線上にこそ、成熟した人格はある。だがそこには断絶と跳躍があり、成長痛にも似た摩擦も発生する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月21日
青春の戸惑いと憂鬱を込めて視線を落とす寧々を、光くんはしっかり見ている。凄くいい子…なんだが、このお話の王子様レース、花子くん以外絶対勝てない構造だからなぁ…。
笑顔は爽やか。優しい嘘を付いてでも、気鬱を紛らわす楽しいイベントを作り上げ、前を向く良いヒントもくれる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月21日
光くんのいい人ポイントがガシガシ溜まり、いい人だからこそ最終的に勝てない少女漫画の鉄則を思い出して、少し悲しくもなる。
©あいだいろ/SQUARE ENIX・「地縛少年花子くん」製作委員会 pic.twitter.com/AOtCAwGl2c
同じ人間として、児童として。そして人ならざる怪異を前に戸惑う、境界線上の存在として。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月21日
光くんの真摯で無垢なアドバイスは、寧々の悩みをしっかり支える。
これは超常存在である花子くんには出来ない、只人だからこその温もりと強さだ。寧々とはまた違った形で、”愚者”をアルカナとするキャラなのね
『どうするべきかではなく、どうしたいかで決める』
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月21日
規範を逸脱し、意志で未来を決めていくのは、実はとても大変だ。決断には責任が伴い、力を試される局面も増える。
それを知らない子供だから、無邪気に綺麗事が言える。
そういう側面もあるだろうが、子供は子供なりに、色んな理不尽を知っている。
それでも過剰に大人になりきらずに、自分の心に素直に生きていきたい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月21日
そんな光くんの温もりを、寧々は両手でしっかり交換し、受け取って進んでいく。非常に清潔で風通しが良く、微笑ましい風景だ。良いなぁ、この二人。
©あいだいろ/SQUARE ENIX・「地縛少年花子くん」製作委員会 pic.twitter.com/MFH5f0Lo19
幼く甘酸っぱい恋の予感も、ドーナツと一緒に交換…いや、光くんの一方通行か。寧々…罪深い女…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月21日
かたや危険な亡霊少年、かたやイノセントな純情ボーイ。光くんは花子くんが担当できないものを、『もう一人の少年』として寧々の側で背負い、手渡す仕事を担っている。
花子くんの強烈なキャラクター性、作品全体がテーマとする超常の魅力を鑑みると、なかなか報われないポジションの子なんだが、僕は彼が好きだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月21日
真っ直ぐで、嘘がなく、陰りが少ない。そんな天性の”陽”が、”陰”に惹かれていく寧々が道を踏み外しそうになった時、何か決定的な仕事をして欲しいものだ。
怪異と日常に明瞭な線引をする優秀な兄、源頼へのコンプレックスが、彼を主役にするだろう次のエピソードでどう動くか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月21日
なかなか楽しみである。鋭く冷たい視線を化外に向けつつ、弟には甘いお兄ちゃんが僕好き。
©あいだいろ/SQUARE ENIX・「地縛少年花子くん」製作委員会 pic.twitter.com/9nYS3wMFcb
兄ちゃんが俯瞰で睨みつけてる、”放送室”の密かな動き。その視線は、旧校舎で青春している花子くん達に向いている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月21日
花子くんチーム VS 頼 VS”放送室”と、三つ巴の構図がだんだん表に出てきて、今までとはちょっと違った面白さが見えてきた。立ち位置的には”HELLSING”のアンデルセン神父だよな兄ちゃん
寧々は光くんから受け取ったドーナッツ、『やるべきことより、やりたいこと』という生き様を、花子くんに手渡そうと一歩踏み込む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月21日
第5話で校門の前、足を止めた時には見つめられなかった人間としての顔を、真っ直ぐ見る。
©あいだいろ/SQUARE ENIX・「地縛少年花子くん」製作委員会 pic.twitter.com/fJGmRrNMHk
性格的にも経歴的にも立場的にも、花子くんは面倒くさい。恋に恋する少女が向き合い、背負うには重たい人格だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月21日
しかし寧々は、光くんのアシストも受けてそれに向き合うことにする。亡霊と人間、過去と現在、死者と生者という境界を超え、自分から手を伸ばすことにする。
この働きかけ、ジジイはたいそう感心してしまった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月21日
今まで自分が見たいもの…恋とか噂とか日常とか、しか見なかった寧々が、自分の外側にある他者性の代表として花子くんの過去と向き合い、一人間として対応することを自分の意志で決めたのだ。
堂々『成長』と言っていい変化であろう。
そしてそこには、光くんとの甘酸っぱく清潔な交流、友情のアシストがある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月21日
人と関わり、境界線の向こうを覗き込むことで、自分が変わっていく。世界が広がっていく。
そういう普遍的な思春期の冒険へ、寧々が自発的に、己で責任を引き受けて進んでいく勇姿は、優しく眩しい。
この踏み込みは、ヒーロー/ヒロインの区分も変えていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月21日
”黒い花子くん”、過去から這い出してきた亡霊に接触することで、花子くんは帽子を落とし(第5話との照応!)、強いショックを受ける。
©あいだいろ/SQUARE ENIX・「地縛少年花子くん」製作委員会 pic.twitter.com/OP1RNCSeSV
『まるで人間みたい』なショックを受けた花子くんを背に庇って、寧々は”水”を投げつけ、花子くんを守る立場に動く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月21日
ここで”水”を武器にしているのは、怪異と向き合うほどに怪異に侵されていく宿命を上手く暗示していて、非常に良い。
どす黒い闇は、放課後のワンダーランドではありえない。
友達を害する怪異と闘うほどに、寧々の繊手には鱗が浮かび、怪物に近づいていくのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月21日
それは花子くんに抱きしめられ、庇われるヒロイン立ち位置からの脱却であり、亡霊である彼の立場に、だんだん近づいていく歩みでもある。
平和と闘争、日常と非日常は境界線越しに連動し、繋がっているのだ。
スーパー緒方恵美タイムをくぐり抜け、”黒い花子くん”は消え去っていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月21日
しかし花子くんを揺るがしたショックは抜けず、強姦の危うさを漂わせながら、彼は寧々の手を強く握りしめる。
それは”黒い花子くん”も行っていた行為だ。
©あいだいろ/SQUARE ENIX・「地縛少年花子くん」製作委員会 pic.twitter.com/Pw8pL62Ype
時を止めた亡霊の冷たさが、ハラワタの底から蘇れば女の柔肌を求める。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月21日
そういうむき出しのリビドーと、花子くんが身を置く領域は隣接している。
寧々が踏み込むことを決めた領域は、正しい成熟だけに満ちているのではない。性の危うさ含め、未知の混沌が旅路には待ち構えている。
『いつも飄々と明るかったあの子が、こんなにデンジャラスな顔を…!』という、ロマンティックなドキドキだけでなく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月21日
無意識と癒着したリビドーが生み出す、不定形のパワーを扱う怪異モノとして、ここで性の暴力性を花子くんに匂わせ、純情な寧々に怯えさせたのは正しく、上手いなぁと思う。
花子くんが見せたどす黒い危うさは、寧々が受け止めようと思った『人間みたいな顔』の一つだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月21日
キレイなものだけが世界に満ちているわけではないと、知ること、対処する力をつけることもまた『成長』であろう。
不和から清廉、决意から無明へ。Aパートで踊る寧々の青春は、嵐に揉まれて激しく踊る。
寧々はロマンス物語の中だけにある、綺麗な夢から身を乗り出す決意を固めた。しかしそれは、自分では背負いきれない重さ、難しさと向き合うことでもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月21日
扉で分割された、光と影、死者と生者。
今はまだ、この境界を寧々は超えられない。
©あいだいろ/SQUARE ENIX・「地縛少年花子くん」製作委員会 pic.twitter.com/GzdUKrzXf2
だが、いつか、きっと…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月21日
そういう未来への道標を刻む、なかなか面白いAパートだった。
花子くんは死者の国の住人なので、人間の温もりが宿ったドーナツは”今は”食べられないのだな。これを口に出来るのは、人としての因縁、それが断ち切られた過去が全部判る必要がある。
それを公開して、花子くんの面倒くささを受け止めた上で、寧々が彼を生者に戻せた時に、ドーナツを食べる当たり前の喜びが、地縛霊に与えられる気はする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月21日
踏みつけにされた帽子は、七不思議筆頭としての王冠。それを切り崩す悪意と力を、”黒い花子くん”は持ってる、ちゅうことやろな。良い敵だ。
そんな黒い花子くんに協力する、”放送室”の面々。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月21日
不敵に笑う三人は、噂を捻じ曲げ、怪異のあり方を変える。
生きてる少女の協力者を、神薙として現世に介入しているのも花子くんと同じだねぇ…なら、人に仇成す荒御魂か?
©あいだいろ/SQUARE ENIX・「地縛少年花子くん」製作委員会 pic.twitter.com/P53IL74IHY
彼らの長い影が、どう今後に響くか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月21日
それは光くんが出会った、麗しい亡霊の物語が見せてくれる部分だろう。
一方的に掴まれた腕を引っ掴み、事情を聞いて封印を解く。亡霊にも対等に向き合う、光くんの純真が眩しい。
©あいだいろ/SQUARE ENIX・「地縛少年花子くん」製作委員会 pic.twitter.com/kH0vEIXn5J
それが良い結果につながらない可能性を、花子くんは当然見据えている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月21日
『その時は、俺の仕事がちょっと増えるだけ』
そんな冷徹な呟きを、寧々の少し良くなった聴力はしっかり聞く。そこに踏み込めない己の無力に、眉間を曇らせる。
©あいだいろ/SQUARE ENIX・「地縛少年花子くん」製作委員会 pic.twitter.com/D4rnch96sv
光くん主役の物語が元気に踊るなかで、こういう繊細な視線のやり取りがちゃんと切り取られているのは、非常に良いことだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月21日
屋上でのやり取り、それ以前の体験を経て、寧々も色々変わっている。物語開始時の彼女なら、花子くんの視線に宿る暗さには、気づきもしなかっただろう。
だが今の寧々は静かな殺意に驚き、そのドス黒さをどう受け止めたものか思い悩む。他人の顔を見て、そこへどう手を伸ばしたものか考える”思慮”というものが、だんだん生まれつつある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月21日
作中の出来事と交流を経て、キャラが小さく、確かに変わっている描写。とても大事だ。
そういう変化を、騒がしい亡霊の手を取ることで、光くんも手に入れていくのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月21日
なーんで”私立トレミー学園”やねん…もう完全にオタクミームか、あのセリフも。
んで、エロビデオみたいなことはするのかね?(しません)
©あいだいろ/SQUARE ENIX・「地縛少年花子くん」製作委員会 pic.twitter.com/0bhecOeqd8
物静かそうだった亡霊は、言葉を聞こうと封印を引っ剥がしたら、即座に罵倒語を投げてきた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月21日
顔に似合わず喧しくて、亡霊の癖に思い込みが激しい。
『まるで人間みたい』な亡霊を鏡に、光くんは一体何を見つけていくのか。
…”放送室”の暗躍と合わすと、まーロクでもない事になりそうだ。
つー感じで、寧々の成長とその痛みがしっかり見えるエピソードでした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月21日
僕は心霊ジュブナイルとしてこのお話に期待を寄せていたので、こうも丁寧に繊細に自意識の確立、他者性の尊重、决意と責任への踏み込みをやってくれて、非常に嬉しい。
今後もこの調子で、寧々の変化を切り取っていって欲しい。
そこにとても大事なものを差し出してくれた光くんが、生者と亡霊の交流(と、その失敗)を切り取った後、亡霊の手を取るのも意味深で。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月21日
生きてる相手ですら、他者は思い通りにならない。ましてや亡霊は。
キラキラな対話主義、怪異と人間を=で結ぶ無邪気は、色んな角度から試されそうです。
同時にその厳しさだけが、磨き上げる魂の地金というものもあろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月21日
雰囲気満点で顔を出した”黒い花子くん”と、彼に付き従う放送室の動きも気になる。あとにーちゃんの絶滅主義ね。
様々な思惑が渦を巻く、放課後の試練場。少年少女を待ち構えるのは、光か闇か。来週も楽しみ。