春なので、唐突に白鷺千聖と瀬田薫と氷川日菜の話すっけども。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月2日
”What a Wonderful World!”辺りから、普通になりえない、理解されえない氷川日菜を白鷺千聖が妙に気にかけ、寂しがる描写が多い印象がある。
パスパレは日菜の異質性を仲間として、丸のまま飲むスタンスだ。
日菜は自分が優れすぎている異物であることに自覚的だし、それが凡人との間に生み出す沢山の差異を、呪いではなく祝福だと感じながら生きている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月2日
皆は私と違うからこそ面白い。
そのスタンスは、『私と同質である誰か』『私と同じ立ち位置で判ってくれる誰か』を、猛烈に遠ざける。
パスパレで千聖だけが、その状況を冷静に把握しつつ、一抹の寂しさを感じ続けているように思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月2日
彩とイブちゃんは異質性こそが日菜なのだと納得し、特に問題視せず楽しみ受け入れている。
麻弥は持ち前の知性で異質性が浮かび上がる社会を視野に入れつつ、それを寂しいことだとは感じていない気がする
彼女が一般的なアイドル像と同質化出来ない、”フヒヒ”な自分にある種の後ろめたさとコンプレックスを抱えていたことは、”ジブンアイデアル”で判る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月2日
むしろそれを力に変える物語も同エピソードで展開されるが、麻弥は一般に受け入れられる自分であることに、そこまで強迫を感じていない立ち回りをする
それは一芸に秀でたスタジオミュージシャンとして、異質だからこそ価値を持つ経験が、既に自分の中にあるからかも知れない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月2日
返って千聖は、一般的な価値判断を内面化し、社会や世間が求めるものを分析・内面化する視力と欲望が強い。第一章での腹黒い立ち回りは、その証明だ。
野心を持ちつつ、己らしさ一本では突破しきれない壁。それを女優として思い知らされたからこそ、自分の値段を社会の中で高く保つ価値基準が、千聖の中には根強くある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月2日
それが”丸山彩”との出会いで崩れ、再構築されて『夢を見る白鷺千聖』になっていく物語が、彼女のありようとも言えるだろう。
日菜が己の異質性、社会や他者との距離に悩まぬ孤独な星であることを、千聖は妬むのではなく寂しがる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月2日
それは彼女の異質性や才気が強い魅力であることを、パスパレの同僚として、大事な友人として理解しているからこその寂しさだろう。
こんなに面白い人を、我々は真実判ることが出来ない。
その断絶を認識できるほどには千聖は頭が良くて、同時にそれを越えていくことが非常に難しい事実もまた、賢さ故に認識できてしまう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月2日
”アイドル”としての日菜の”売り”は異星人めいた異質性だし、彼女も異質であることを楽しみ、己の一部として肯定している。外野が『普通になれ』と言う筋合いもない
しかしそれでも、千聖は日菜が『理解られない』ことに結構こだわり、同質的(あるいは本質的)な理解を誰かがしてくれることを望んでいるように見える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月2日
そして、己の凡才を理解している千聖は、日菜と同レベルで世界を見れない自分もよく判っている。望む場所には到達できないのだ。
でもその未達が、人の本質を反映すればこそ幸福な無理解であることもまた、千聖は判っていると思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月2日
永遠に孤独な、遠い星。
日菜がそういう存在であることは寂しさと幸福の入り混じった色彩を宿し、多かれ少なかれそういう距離感はあらゆる存在に付き纏う。
誰かを完璧に理解することは出来ないのだ
その上で、日菜という星のコアに誰もたどり着けないこと、彼女が(様々な人に愛され、その孤高を肯定されつつも)孤独な星であることに拘るのは、瀬田薫の存在が大きいのかな、とふと思った。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月2日
”幼き日の面影は今もそばに”で描かれたように、薫くんは生まれたときから無敵の王子様だったわけではない
もう何処にもいなくなってしまった、自分が守れなかった”ちーちゃん”に報いるべく、一生をかけた嘘(あるいは芝居)として、王子様を演じている存在だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月2日
無力で優しく儚かった”かおちゃん”を覚えているのも、もはや世界で千聖だけなのかも知れない。
皆に求められ、愛し愛される王子様の仮面。
その奥にどれだけ柔らかいものがかつてあって、もしかしたら今もあるかも知れないことは、ハロハピの皆も知らない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月2日
かつて非常に親しい距離を共有し、別れたからこそ各々の生き様を選んだ二人だからこそ、お互い失われた”かおちゃん””ちーちゃん”が深く、心に刺さっている。
薫くんの嘘はプライドと優しさのあるもので、沢山の人を救っている。その様子はハロハピの物語で幾度も描かれたし、千聖もまた、もはや”かおちゃん”ではない瀬田薫の尊厳を”儚世に咲く薔薇の名は”で肯定した。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月2日
決別ともまた違った、瞼の裏に焼き付いた”かおちゃん”がもはや、自分の中にしかいない実感
そしてその思い出が、もはや戻ってこない程に気高く、美しく変質した役者・瀬田薫の存在感。”かおちゃん”を取り戻し得ない、大人になってしまった自分と自分たち。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月2日
そういうものの残影が瞼を焼くから、千聖は変わってしまった薫を敬しつつ、完全に認めるわけには行かないのだろう。
あれだけ現実と寝れていた女が、”かおちゃん”だけは譲れずツンツンした態度を取ってしまう所に、もはや不在となった思い出の巨大さがうかがい知れるが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月2日
とまれ、もはや”かおちゃん”を判ってやれるのは千聖だけであり、彼女が判っていても薫は自分を”かおちゃん”には戻さない。
戻ってしまえば、自分が掴みそこねた”ちーちゃん”に準じた生き様は崩れてしまう。変わろうと決意した過去も、取り返せないものへの疼きも、淡雪のように消えてしまう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月2日
二人はお互いだけが判っていて、でもその事実だけでは動かし得ないモノに突き動かされて、18歳になっていく。
過去と現在に呼応し合う、幻影と実像。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月2日
今目の前に在るものが、過ぎ去って届かないものへの祈りの結果であり、でもそれが過去そのものを取り返し得ない儚さ。
判り合っても通じ得ない、でも敬意と切ない愛おしさで、夢の残骸から生まれた今を肯定できる関係。
そこに身を置いていて、”理解る”ということの暖かさと切なさを己の根本に置いているからこそ、”理解られない”日菜に千聖は強く執着し、誰かが日菜に寄り添う双子星である夢を、叶わぬと知りつつ求めるのではないか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月2日
双子星に成り得なかった過去があればこそ、己と重なり、全く違う緑の星の孤独を…
時に当人よりも、あるいは当人でないからこそ的確に理解し、寂しさに思いを馳せるのではないか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月2日
そんな事を考えた。春だからね。
白鷺千聖という人は、色んな女の子に強い思いとある種の支配欲を寄せて、同時に一個人としての尊厳を大事にも出来る、結構めんどくさく複雑な人格の持ち主だ。
花音の純朴と優しさに包まれつつも、瞳の奥では遠くの”かおちゃん”を何処か求めている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月2日
あるいは彩のひたむきさに惹かれ、影響を受けつつも、その影にそうはなれなかった自分を追い求めている。
彼女の視界の中では、非常に複雑な引力で他者が配置されていて、引き合い跳ね除けながら、軌道を描く。
その星図の中心部に、”かおちゃん”であり瀬田薫でもある少女への思いと寂しさがあり、その残滓が氷川日菜の孤独に繋がっているのではないかと、まぁ思ったわけだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月2日
キャラ多いこと活かして、感情と関係の星座を立体的に作れるのがガルパの強みだ。ここに時間経過と喪失、他者性への断絶が重なる。
そういう多層的な面白さが、一番出てるの(一人)が、白鷺千聖なのかなぁ、とも想う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月2日
ここで同じエイリアン系で、天敵のような存在である花園たえとの軌道が加わってきて、プトレマイオス天文学めいた難しさと面白さも出てくるのだが、まぁ今回はこのくらいで。