体操ザムライを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月15日
冷たい雨が降りしきる中、ついに全日本選手権が始まる。
ここまで歩んできた全てをぶつけるべく、集う選手たち。
新たな境地を結果に結びつける城太郎に、鉄男の歯車が狂う。タッキーも愛を込めた演技で、トップに食らいつく。
そんな男たちの戦場に、レオの姿はなかった…。
そんな感じの、決戦! 代々木体育館前編である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月15日
足の怪我をものともせず、ここまでの物語全てを背負い円熟の演技を見せる城太郎…に終わらず、愛に舞うタッキー、不安定に揺れる鉄男、観客席の人々と、この作品らしい群像が強く、優しく切り取られるエピソードとなった。
僕タッキー好きなので、目立って大変嬉しかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月15日
主役に位置づけられたベテランを、支え賑やかしてきた好青年。
しかし彼も”体操”に己を賭ける競技者であり、勝つ理由のある男である。
ならばその奮戦は、ないがしろにされて良いものではない。しっかりと、名脇役に報いてくれた。ありがたい…。
競技を追い、城太郎がこの物語で何を手に入れたかを丁寧に積み上げながら、最終回への盛り上げも忘れてはいない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月15日
足首の爆弾、鉄男の不調と奮起、レオの不在。
男たちの想い、見守る者たちの祈りが次回に集約するよう、いい感じに盛り上げてくれた。
いやほんと、どうなっちゃうの…マジ楽しみ。
というわけで、チケットを見て欲しい人に渡せた男から、最終決戦は開始である。タッキー、良かったね…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月15日
しどろもどろに巧いこと言えず、OKの喜びのあまり椅子を蹴倒して、雨の中駆け出していく。
ここにも一人、純情の体操バカがいる。好きだなぁ…。
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『貴重な尺を脇役に割かなくても…』と言われるかもだが、あゆちゃんもタッキーも城太郎の再起を助けてくれた大事な人であり、何よりも彼ら自身の物語を持つ一個人である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月15日
そういう一人ひとりの尊厳をないがしろにしない所が、この作品のいいところだと思うし、面白さの源泉だとも思う。
玲ちゃんは”アスリートの娘”である自分を越えて、夢を叫べるようになった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月15日
城太郎は揺るがない自分を見つけ、最高の演技をやりきる。
それは自分が頑張ったからだし、同時に色んな人と触れ合い、支え合ったからでもある。
やるべきことが出来るのは、やらなくても良いことに手を伸ばしたから。
目指す夢、突き進む理由はそれぞれ別々でも、奇妙な縁で繋がっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月15日
そんな心地よい連帯を書いてきたこのお話が、掘り下げるそれぞれの未来。
そこにタッキーの恋と競技がちゃんとあるのは、僕はとてもいいことだと思う。次回の決戦に向けての序奏としても、ね。
そしてもうひとりの体操バカも、思いを胸に戦場へと進んでいく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月15日
今生きている人、既に去った人。それぞれの繋がり方で力を貰って、父であり夫であり体操選手である男は、決戦に挑む。
知世さんへの供え物を腹に入れて、力に変える流れ良かったなぁ…食卓の情景だ。
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対して”銀”という結果を出した鉄男は、世間の注目を気にかけることなく、孤高の頂に立つ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月15日
レオが苛まれたのと同じ、顔のない瞳達に取り囲まれたとしても、鉄男は揺るがない。両腕を組んで堂々と、自分の戦場に挑む。
だが、別の存在が彼を揺るがすことになる。
第1話、カメラに取り囲まれつつヌボーッと、『引退しせ…ぬっ!』と言い切った城太郎は、自分をサムライと持て囃し捨てた”眼”を、全然気にしていない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月15日
良くも悪くも他人と自分を切り離せるのが、荒垣城太郎という人である。その強さが、全日本で躍動することになる。
レオは顔のない視線にゆらぎ、鉄男は城太郎が追い上げてくるからこそ失調する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月15日
世界に堂々立つために必要な自分と、その外側にいるはずの他人。向き合い方もまた、様々にある。
渡せなかったチケット。待ち人は、暗い闇にとらわれて動かない。
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玲ちゃんの世界が広がったから、少年は知らないままネタにしていた体操を、自分の目で見るようになった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月15日
その手助けをしてくれたレオは、舞台からも荒垣家からも逃げ出す形で、雨の檻に閉じこもってしまっている。
やるべきことをやる。
城太郎を突き動かす信念を、歪んだ言い訳に構えて。
そんな彼のどん詰まりを、ちゃんと見てくれる人もいる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月15日
サングラスを小道具に、エージェントさんの人情を描く筆も非常に元気で、とても良い。
彼女がレオを再び羽ばたかせたいと、信じて支えるその手付きは、憧れのサムライの再起を助けたレオと、どこか似ている。
エトワールは、再び輝くのか?
それを問うのは次回として、今は体操戦士たちの激戦である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月15日
機械の瞳が容赦なく睨みつける中、ライバルたちが注目する中、コーチが優しく見守る中、無敵のはずの鉄男は着地を乱す。
その不調に、岡町くんが向ける視線が好き。
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日中合宿で示されたように、有象無象のライバルたちも人間で、鉄男を潰したいのではなく、勝ちたいと思っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月15日
圧倒的な才を持ちつつまだ幼い十代を、心配しつつも己の競技をやりきり、だからといって切り捨てはしない。
自分の道に邁進することと、誰かを思うことは両立できるのだ。
ここで中ノ森コーチが表に出てこないのも、体操界の至宝である鉄男の未来を信じればこそ、だと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月15日
この全日本を捨ててでも、若い鉄を本物の鋼に変える。”銀”の好調が生んだ不調を自力で突破…あるいは挫折させて、世界で戦える逸材に鍛え上げる。
そういうビジョンもあったかなー、と思う。
一方城太郎は足の爆弾なんのその、細部にまで意識の行った演技で高得点を連発し、サムライ復活を堂々宣する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月15日
その台頭に、鉄男は目を奪われ、更に揺れる。
声援に応えるように突き上げた拳と、スコアボードの”六い”に握りしめられた拳。立場は逆転した。
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鋼鉄のように揺るがず、高みを目指し続けるように見えた鉄男が、見せた脆さと人間味。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月15日
しかしそれは、わざわざロートルに果し合いを挑み、本気で勝ちに来た時から見えていた震えだ。
彼にとって荒垣城太郎は特別な存在で、見ればこそ不調に苛立ち、復活に揺れる。
今のレオが”見ない”のとは対照的だ
しかし世界は、城太郎と鉄男だけで出来ているわけではない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月15日
短いカットだが、ライバルたちがそれぞれの物語を背負い、この決戦で結果を出してる描写が嬉しかった。
海を越えた強敵とすら、敬意を持って向き合える。そんな体験を経て、体操選手達は己を燃やし尽くす。
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その一意専心のまっしぐらから、独り置いていかれてしまっているのが今の鉄男である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月15日
乱れた吊り輪が、そのまま彼の心の内を語っている。
細部まで意識の行き届いた城太郎の演技とは、正反対の乱れぶりと言える。
解説さんが上手い具合、競技の補足を入れてるのがよく効いてるね。
そんな群像入り乱れる戦場に、愛を抱えて踏み込む男が一人。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月15日
いつもの三枚目をキリリと置き去りに、筋肉をきしませて挑む平行棒。胸に去来するのは、アイスピックで突き刺された恋心。
それで強くなれる人生も、またある。
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まぁ結果を出そうが恋を吠えようが、バカはバカで変わりゃしないのだが。しょーがないよな、『地獄に落ちろ!』が恋の着火剤だったんだもん…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月15日
そんなアホな愛弟子の汗を、天草さんはちゃんと見てきた。城太郎だけに、かまけてきたわけじゃない。
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ここでタッキーの奮戦、それを正統に評価し支えてきた天草さんを写すことで、作品世界が凄く風通しよく、靭やかになったと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月15日
主役である城太郎だけが、体操に汗を捧げてきたわけじゃない。色んなやつがそれぞれ、譲れない願いを込めて戦う。見守り、支える人も沢山いる。
バカも弱さも、迷いも涙も引っくるめて、人間は必ず高い場所に飛び立てる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月15日
そういう視野の広い人間讃歌を、”体操”を主題に…しつつも、それに縛られることなく豊かに語る群像劇。
そんな、僕の感じる作品の良さが凄く出たシーンだったと思う。大変良かった。
不在の観客席を視界に捉えつつ、城太郎の演技は乱れない。経験が生み出す驚異の修正力でまとめあげ、初日を一位で折り返す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月15日
そんな”結果”も、城太郎にはあくまで通過点でしか無い。
自分は、まだまだ出来る。それを最高の形で証明する。
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それが大事な人に、自分を支えここまで押し上げてくれた人に届いたのなら、何よりも嬉しい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月15日
城太郎の精神は高く果てない夢を捕まえて、もはや揺るがない。空気を読めない体操バカだからこその強みが、総身に溢れてる感じだ。
こういう”強さ”の描き方が嫌味にならないのは、作品の長所よね。
というか、この境地に共感と実感を持たせるために、ここまでの物語があった、というべきか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月15日
娘の強がりに眼は行かない、自分の目の前しか見てない。
そんな城太郎の神経の図太さが、もたらすいら立ちをチャーミングに描いてきたからこそ、今回の”一位”にも納得がある。
まさに集大成。良いなぁ…。
そして無敵に思えた天才も、震えながら明日へ進んでいく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月15日
柔らかな態度を脱ぎ捨てた、中ノ森コーチの”圧”。
鋼鉄に思えた男が、アームガードに刻んだ幼い夢。
てっちゃん…最終話一個前で、さらに好きになっちまうな…。
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ただただ勝ちたいと、強く追い求め結果を出す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月15日
鉄男のスタイルもまた答えの一つであることは、ここまで幾度も描かれてきた。それを支えるコーチの存在も、そこにある震えも。
それが城太郎と天草さんのスタイルとは違くても、二人には確かな繋がりがある。
こうして思い返すと、第7話は本当に大事な話数だったんだな、と思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月15日
競技に挑むそれぞれが、それぞれの人格と夢を抱えて勝負に挑んでいる。
そこにはそれぞれの繋がりと物語があって、その全てに意味がある。
そういう豊かさがあそこで見えて、この終幕で再度結実しようとしている。
城太郎が”経験”でまとめ上げた最高の演技で、揺らされる鉄男の未熟。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月15日
しかしそこを超えてなお飛び立ち、高みにたどり着いてほしいと思える血潮が、この作品最大のライバルにはしっかり宿っている。
出てくるやつみんな好きになれるアニメって、やっぱ良いわな。
そしてもう一人、飛び方に惑う若人がいる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月15日
レオの未来をずっと見守ってきたエージェントさんの、思いを真っ直ぐ受け取る玲ちゃん。
サングラスで瞳を隠すチャーミングな”照れ”も、信じて孫を送り出すオババのスタイリッシュも最高である。
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色んな所がいいアニメだけど、ここらへんで暴れ倒してる”眼”の強さは大きな武器だと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月15日
弱さに迷い、強く信じる。
人の思いが様々に反射する瞳を、綺麗に印象深く、個性的に描く表現力の高さが、色んな思いが混ざり合う群像劇を、しっかり支えている。
サングラスに隠した人情が作ってくれた、短い邂逅。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月15日
玲ちゃんを支え、城太郎を導いたトンチキニンジャの面影は、今のレオにはない。
『自分がするべきことをする』
言ってることは、城太郎と同じだ。
でも、そこには熱がない。本気で挑む、刃の鋭さがない。
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『サムライはそんな、寂しくて冷たい目をしないよ…』と、レオに言ってやりたい気持ちだった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月15日
たとえそれが逃避から始まったとしても、母を失い父を支えてきた女の子と一緒に笑って、荷物を半分持ってくれた男が、辿り着いてしまった場所。
そこはひどく冷えて、暗い。
氷雨の中始まった”初日”を、信念を込めた演技で走り切る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月15日
雨雲を晴らした城太郎もまた、足首に爆弾を抱えて闇にうずくまる。
孤独な闇はレオ一人のものではなく、痛みを抱えてなお立ち上がれる光も、城太郎一人のものではない。
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そんな繋がりを、二日目の城太郎は伝えられるのか。レオは高くて暗い場所から出てきて、もう一度サムライの勇姿を見れるのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月15日
バラバラに分断された光と闇の中で、男たちの視線は確かに交錯している。
運命の二日目、次回最終回。マジ楽しみです。