ましろのおと を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月12日
弦が切れても心は斬れず、梶は見事に己の風を奏でる。
その音に心揺さぶられた雪に、母の妄念が叩きつけられる。
松吾郎の音を継ぎ、弾き、響かせろ。
未だ見つからない答えの中で、遂に澤村雪の舞台が始まる。
そんな感じの情念クライマックス! 主人公が歩んできた物語全てが鳴り響く、松吾郎杯個人戦第ニ回である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月12日
アクシデントを力に変えた梶くんの演奏も良かったし、梅子の業の深さも、それに翻弄されつつ、弾きながら答えを掴んでいく雪の演奏も良かった。
前回伸るか反るかの瀬戸際で引いたわけだが、土壇場で前に出て弾ききることを選んだ梶くんの強さとひたむきさ、それが結果には結びつかない審査の厳しさが相まって、良い運び方だったと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月12日
”頑張った、諦めなかった”は観客を動かすが、点数には反映しない。コンクールはそれでいい。
梶くんは他人の演奏をよく聞ける人で、だから団体でも調和の取れた音の中心になれた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月12日
それは”聞きすぎる”という欠点でもあり、自分の中に溢れる気概をどう扱っていいか理解らず、撥に力が入りすぎて弦を切った。
その未熟が、彼のカセを壊すことにも繋がる。
二弦でひたむきに弾ききる演奏は、採点には結びつかないが観客を震わせる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月12日
何よりも、梶くんは自分の演奏を善いものと聞き惚れながら、最後まで弾ききる。
そう思える自分を見つけることが、今の彼には何より大事だ。成長の契機として、勝敗より大事なものと出会える舞台だったと思う。
しかしそれと、未熟を晒す結果となった無念は別の話。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月12日
梶くんは大粒の涙を流し、ライバルと存分に競い合えなかった事を嘆く。
ここで悔やむのが『勝てなかったこと』ではないのが、梶くんの良いところだな、と思う。あくまで透明な風を巻き起こす、爽やかな少年なのだ。
雪も清流先生との合奏を契機に、他人の音を聞く喜びに目覚めてきた感じがある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月12日
同好会での舞台も皆の音をよく聞いた結果、今の自分を最大限活かす演奏ができていた。
梶くんの風に心躍る雪は、東京に出てきた当初の空虚が上手く逃げて、いい表情をしている。
しかし同時に、名手・松吾郎最後の弟子であり、鬼の子であることからは逃れれられない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月12日
梅子の鬼詰め、カルマ濃すぎて思わず笑っちゃったけど、あの人絶対『オヤジ』って言わないのよね。『松吾郎』って言うのよ。
血の縁よりも、天才の音が埋もれていくことを恐れているんだろうな…。
まぁ血が大事なら育児放棄なんざぁしてないと思うし、若菜ちゃんが先週言ってたとおり、鬼なんだろうけども。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月12日
当然息子も息子である以前に、天才・松吾郎の共鳴器であり、そのコピーであることを望んでいる。
…ここら辺、雪個人の音が化けるの望んでる清流先生と反対だよなー。
『俺の真似をするな』
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月12日
祖父の遺言に追い立てられるように流れてきた東京で、雪は色んな人に出会い、色んな音を聞いた。
その意味を言葉には出来なくても、桜ちゃんのお握りをしっかり味わい、感謝できるようになってる彼の糧に、出会いは既に変わっている。
そこが音に変わる前段階、静かに滴るクラシックな雨だれの音が、今回雪が弾く三味線となる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月12日
流石に団体戦と個人戦の違いはよく判っていて、雪は落ち着いてスタンダードに弾きこなしつつも、自分を培ったものを全面に出していく。
経歴なんも知らん審査員が、演奏から雪の個人史読んでくの面白かった。
実際所作には稽古が…それを育んだ体験、育まれた人格が出るもので、それが芸の面白さでもあるけど。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月12日
否定しようもなく、雪は老巧なる松吾郎の弟子であり、そこが彼の一番最初だ。
雪の舞台は彼の人生がどう歩んできたか、それを振り返り焼き付けるように進んでいく。
松吾郎が死んで、彼は初めて枷を外された。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月12日
なにもない自分に気付かされ、何かを求めて東京に出た。
その旅路は、ドラマに触れて情を宿さないと弾けない彼に、色んな事を教えてくれた。
スタートは松吾郎譲りの雨だれでも、結末はまた別の色がにじむはずだ。
母親に師匠のコピーであることを期待されて、凹む雪にまず、朱理ちゃんが踏み込むの大変いいと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月12日
彼女が一番色濃く、雪が雪であるからこそ生まれる音に影響され、自分自身を変えてきたわけで、雪が探し求める音を一番求め、一番知ってるキャラだろうからね。
ほのかな恋の予感も宿しつつ、何よりも二人が音で繋がってるのが、三味線をテーマにする物語にとって凄く良いことだと、僕は思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月12日
松吾郎の写しである以外なにもないと、真っ白な景色に身を置いてる雪が自分を定位できる、一番の道標。最初で最高の聴衆。
それが朱理ちゃんだなー、と思うのだ。
おんなじ強度で”澤村雪の音”を求めてるのが、清流先生なのマジで面白いけどな。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月12日
ライバルなんだが、雪個人の実力と可能性をしっかり認めてて、誰かのコピーなんて求めてないあたりヒロイン力も高ぇ。
そんな風に色んな人に、”雪の音”を期待される演奏を既に、雪は果たしている。
後は同好会での出会い、自分の心に宿った沢山の音を載せて、弾ききるばかりである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月12日
透明で老巧なる雨だれが、一体何に変わるのか。水は雪とも、波とも変わりうる自在なモチーフ。
こっからの変化が楽しみである。
それが、この物語が何を描いてきたか、雪が東京に出てから何を手に入れたかを切り取る
1クールの物語を〆るにあたり、演奏に雪の青春を、作品が切り取ってきたドラマを全部乗っけてまとめるのは、カタルシスのある見せ場となるだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月12日
この音を生み出すために、あの場面が、あの会話が必要だった。
やっぱそういう収束が奏でられると、音楽の物語はグッと胸に迫るよね。
そこに期待を高めつつ、静かなる怪物・田沼総一のソロがどう鳴るかも楽しみである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月12日
結構感受性が強い…からこそ、音を拒んで自分を守ってた雪に対して、あの子チューニングが合う他人が(自分の家族含めて)全然いなくて、雪の演奏だけがそこに届きそうな感じあるんだよなー…。
そして二人の邂逅が、清流先生望むとおりの共鳴を生み出すのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月12日
『やっぱ個人戦の方がキャラクターの思いが演奏に乗って、個人的に作品に求めてたものが帰ってくるなー』などと思いつつ、次回も大変楽しみです。