BLUE REFLECTION RAY/澪を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月12日
三日後に迫った世界の終わりを前に、陽桜莉たちと都の思いはすれ違う。
離れ、近づき、手を取り合う。青春の律動を確かめる彼女たちの背後で、紫乃が隠した刃を取り出す。
破滅までの日常を、少女たちは瑞々しく過ごしていた。
そんな感じのファーストクライマックス直前、運命が静かに雪崩を起こし始めるブルリフR第10話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月12日
今回はとにかくサブタイと、その入り方が最高に良かった。
シンプルに言霊としていいし、本編の進みにも似合った、グロテスクで美麗な言葉だ。
(画像は"BLUE REFLECTION RAY/澪"第10話より引用) pic.twitter.com/IzEmwnFYIc
百ちゃんがバディから告げられた、三日後の破滅。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月12日
それを疑いはしないのだけど、同時に実感ある体験としては受け止めきれず、三日後に自分たちが死ぬとは思っていない余裕で日々を過ごす少女たち。
彼女たちの在り方を語る時、”墓を掘る美しい娘たち”より適切な言葉はないだろう。
目の前に在る自分の、世界の、全ての墓。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月12日
それを回避するべく闇の聖母となった美緒も、紫乃の秘密と凶悪さには気づけず、心の隙間を揺さぶられて落ちていく。
約束された破滅を拒む決意も、卑しい計画に悲しき少女たちを巻き込んだ罪も、全て淡い夢の中で融けていく。
どう考えても超ろくでもないことになる”3日後”…クール折り返しへの、絶望と期待がジワジワと高まり、グラグラと煮立っていく奇妙な感覚。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月12日
運命の瞬間に一体何が湧き上がり、今回優しき青春を過ごした少女たちはどんな傷をつけられるのか。
悪趣味でサディスティックな、否定し得ない喜悦。
描かれているもの一つ一つは凄く手応えの良い、善良な青春なのに、そのおっとりと優しい歩みでは運命を乗り越え得ないと、静かに突きつけてくる展開。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月12日
凄く上手くクライマックスへと話を運びつつ、ここまで見てきてキャラに生まれた愛着を、丁寧に受け止め返してくれる個別の描写。
どれも、凄く良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月12日
『この子たちはこういう子なんだ』と、一つ一つ理解が深まりありがたいと同時に、俯瞰で見るとどう考えても間に合わない危機感が募る。
演出全体が醸し出す、避け得ない破滅の茫漠とした巨大な輪郭を、作中の少女たちは知らずに、あるいは知っていても飲み込まれていく。
その取り返しのつかない手触りが、恐ろしくもあり気持ちよくもあるエピソードだった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月12日
このゾワゾワと慄きつつ、心の何処かで”それ”を待ち望む感触はとても独特で、黙示録の物語としても面白い仕上がりになってきたなー、と感じる。
そこの仕上がりが良いのは、日常と青春がよく描けてるからなんだろう
というわけで、各陣営それぞれの日常を進んでいく回である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月12日
百ちゃんの投げかけた爆弾に陽桜莉と瑠夏は軽く揺れるが、実感ないまま信じ、対応を考える。
都だけが果断な速攻を提案するが、対話を重視するリフレクター達はそれを拒絶する。
多分、この停滞が死を呼ぶのだろう。
一人だけ、リフレクターではない焦り。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月12日
だからこそ、誰よりも前がかりに事件に向き合う熱量。
都が学園完全洗脳の真実を暴く過程は、彼女の有能さと、それが何処から来るかがよく見えて面白かった。
都だけが、おそらく破滅に向き合うのに必要な速度と熱意を持っていて、でもそれは伝播しない。
結論を急ぐことなく、一人ひとりの傷に向き合い、孤独な魂をちゃんと見つける余裕。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月12日
それに都自身も救われていて、しかしそれは何処か、異能を持つがゆえの特別なゆとりでもある。
都も別に、差し迫った破滅をリアルに感じているわけではない。使命感なんかで動いちゃいない。
ただ、大事だからこそ失いたくないし、何も出来ないからこそ何かがしたいだけだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月12日
その切実な感覚が多分、結果としては正しい。
そしてそれは、異能を持つリフレクター達には伝播しきらない。
ではそのおっとりと優しい心根は、現実見えてない悪いものなのか?
当然そんなことはなく、瑠夏は逸れた都の魂をもう一度、ちゃんと見つける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月12日
ここで不器用な瑠夏が、死の匂いが濃く漂う踏切にちゃんと間に合って、都の心を受け止められたのが大変良かった。
彼女はそこに追いつくことに、一度失敗している。それこそが、彼女の切迫感の源泉だ。
最後に紫乃…に似た少女? を見落とさなかったように、消えてしまいたいと踞る風景を、瑠夏はもう無視できない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月12日
かけがえのない傷を消し去るのではなく、共に分かち合いながら乗り越えていく道を、今度こそ突き進む。
その思いで、はぐれた都に追いつけた。
『破滅を前に、そんな青春迷路をくねくねしている場合じゃねー!』と外野は思うが、救済だけを求めて焦ればお姉ちゃんルートだし、何も取りこぼさない”遅さ”こそが解決の鍵でもあろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月12日
逸れた都を見落とさなかったことは、少女たちにとっても、世界にとってもとても大事だ。
だがそれでは切り裂き得ない残酷があるから、お姉ちゃんは自分を闇に沈めた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月12日
その決意もまた、愛おしさに溺れて塗り潰されていってしまう。
動き出した宿命は、少女たちが抱えた小さなナイフでは立ち向かえないほどに早く、強く転がっていく。
それと同質な強さで抗っても、勝ち目はない。
では、どうしたら良いのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月12日
それを探っていくのが、おそらく破滅の後の風景を駆け抜けていく2クール目の眼目なのかな、と思う。
そしてその前に、都を見つける瑠夏の優しさと、巣に戻って宝石を編む都を描いたことには、ただ少女たちの致命的なのんきさを描く以上の意味があると思う。
偽物の輝石一つ一つに、本物の思い出がある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月12日
陽桜莉の宝石箱に詰まった姉へ(姉からの)の思いも、また嘘ではない。
それと同じくらい輝くものを、都が手渡し友が受け取ったことは、とても大事なのだ。だから、わざわざ描いているのだ。
そしてそれは、あくまで玩具の宝石でしかない。
仁菜ちゃんが手渡された魔石もまた、多重の偽りが込められている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月12日
美緒に救われ、募る想い。
その出会いも心も、生贄の羊となるための事前準備に過ぎなかった。
少女の小さな救いは、より大きな救済のための種。残酷に刈り取り、最後のピースとして使い潰す。
紫乃とお姉ちゃんの計画が想定の五倍邪悪で、そこから突きつけられる紫乃真実は百倍邪悪だった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月12日
お姉ちゃんが仁菜ちゃんと詩のこと、どう思ってるかマジ知りてぇよ…根っこまで救済至上主義者なのか、心の何処かに陽桜莉や百ちゃんと同じ、傷ついた少女への共鳴があるのか。
百ちゃんに真実告げちゃったのも、その時青い光が灯っていたのも、妹大事すぎて邪悪ロリにズブズブ漬けこまれるのも、まぁ優しいからなんだけどさ…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月12日
『絶望を刈り取って救済を生むとか言ってっけど、オメエの妹への仕打ちが一番絶望だから!』つう、メンタル殴りの容赦の無さな。
硬く鎧っていたはずの心に踏み込まれて、抱かれている時に別の女の名を呼ぶ女概念へと進化したお姉ちゃんのズブズブ弱々っぷりは、大変良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月12日
超優しい人が、無理して救世主ぶった結果がこれだよ!
この墜落にカタルシスがあるのは、偉そうなボスがロリに下剋上されたからだけではない。
むっつり顔で何考えてんだかよく解らなかったキャラクターの、過去が語られ、震える心情が見え、持ち前の善良さに溺れるわけにはいかない使命感と、それでも溢れてくる心根が話数を使い、伝わってきたからだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月12日
見えないものがジワジワと見える面白さは、やっぱこのアニメ力強い。
心のすべてを暴かれ、糸の切れた傀儡のように崩れ落ちたお姉ちゃんが、約束の瞬間を前にどうなるのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月12日
大変心配であるし、退廃的な破滅の快楽がメリメリ湧き上がっても来る。
みな善き人が、善くあろうと日々を過ごす。
嵐を前にあまりに優しすぎ、苛烈を気取ろうとしても足元から崩れる。
キャラは最善を尽くしているのに、暴かれてる真実が、待ち受ける運命への実感が足りないから、どうしても物語が破滅へ滑り落ちていく、どうにもならない巨大な手触り。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月12日
それが上手く滲んで、今回はとても良かった。
みんな、自分の見える範囲、出来る限りで必死に、誠実に動いている。
都の繊細な震えと、それを受け止めた瑠夏の書き方を見ても、それらが過ちではないことはよく判る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月12日
だが、答えでもない。それだけでは世界も、自分も、宝石箱に閉じ込めたとても大切なものも、多分守りきれない。
それを投げ捨てて救済を求めても、美緒のように砕けて沈むだけだ。
赤と青、どちらの軍勢も共に間違えていて、必要なのはお互いを混じり合わせることなのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月12日
だが敵対の構造は対話を拒み、その裏側で”何か”が蠢いている。
老いた猫のように、無害にのたくってるだけだった紫乃は何を望み、何を掴むのか。
第三勢力の不気味な牙が、満を持して光りだす。
マージで紫乃が、ジョーカーとしていい仕事してる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月12日
これからどうなるか全く読めなくて、しかし大変ワクワクする。
全てが終わっていく負のカタルシスと、それを乗り越えてくれそうな魂の輝き、確かな絆。
善なるものの無力と、悪なるものの魅惑。
それが燦然と乱反射して、クライマックスへの道を照らすエピソードでした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月12日
いやー…マジで”化けた”なブルリフR。中ボス務めてきたお姉ちゃん砕いて、紫乃に悪い顔させるタイミングとして、この話数がベストだったね。
娘たちが掘った日常の墓穴を、運命が埋める。抗う術はない。
次回も楽しみ。
つーか音楽じゃなくて国語の授業で”歓喜の歌”朗読させられる学校、文化レベル高すぎてビビるな。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月12日
九番に合唱が付くのは第四楽章、楽曲の最高潮だ。
体温の低い日常を過ごしているようで、クライマックスは近い…と示すには、あまりにハイコンテクストが過ぎる。そういうところが好きなの。