ヴァニタスの手記を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月22日
甘い青春の夢を抜けて、たどり着いた異界の中心。
吸血女王の居城にて、ルスヴン卿は激怒する。
瞋恚の焔に押し流され、人間の領域へ帰ったヴァニタス達が新たに挑むは、髑髏の地下墳墓。
古きカタコンベに待つは、狂信の聖騎士ッ!
そんな感じのさらば赤き舞踏場! アルタス・パリ編完結…というか”中断”の、ヴァニタスアニメ第8話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月22日
『なるほど…こういう形で新章突入か…!』って思わされた。吸血鬼社会の中心に近い分、アルタスにいすぎると話が停滞するから、ガッと画角を変えるのは大事よね。
ルスヴン卿相手に突っ込んだ話をする前に、(おそらくあえて)導火線に火をつけてぶっ飛ばされる展開となったが、適度に謎が明かされ、新たな謎も増えた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月22日
各キャラクターの過去、世界設定の秘密、そこに絡み合う謀略と思惑。
見た目よりも、異能ミステリしてる作品だなやっぱ…。
ボッコにされて追い出される流れは、ヴァニタスの狙い通りなのか、イレギュラーなのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月22日
華やかな執務室、朗らかな応対がヴァニタスの踏み込みで一気に冷えて、ルスヴン卿の鬼の顔が見えてくる。
それをあらぬ方角に受け流す、蒼の眷属のかんばせ。
(画像は"ヴァニタスの手記"第8話より引用) pic.twitter.com/NwC1DI0zXp
戯けた調子で冷静に周囲を見渡し、必要な情報をもぎ取るヴァニタスの交渉術が、なかなかに印象的なシーンである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月22日
ヴァニタスは秘された腫瘍にあえて指を突っ込み、タブーを侵すこと、相手を怒らせることで、追及の手が自分に伸びることを避けて立ち回っている…感じがした。
今回の対話は一方的にヴァニタスが益を得る形で終わっているが、本来はルスヴン卿も『聞きたいことは沢山』あった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月22日
ヴァニタスの過去、思惑、蒼月の吸血鬼との関係。
しかし相手を怒らせる…正確にはある種の儀礼、欺瞞として怒り追い出すことが正着である状況を作ることで…
ヴァニタスはそれ以上の追求を避けて、自分の手札をさらさずに場を乗り切っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月22日
無論これは、この段階でヴァニタスの秘密がルスヴン卿に…視聴者に公開されるのが望ましくないと、作者が考えた結果でもあろう。蒼いタルト・タタンは、まだ食べごろではないわけだ。
しかしヴァニタスが今回の対話を制御し、吸血鬼社会の中枢に巣食う病巣…その輪郭を”触診”しえたのは、彼自身の賢さの発露だと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月22日
サド侯爵を話のネタに、朗らかに応対していた仮面が引っ剥がされ、顕になる冷酷な政治家の顔。
若き大公の後見人として、渡すべき情報を制御する冷徹。
ルスヴン卿の冷たく凶暴な部分を確認できて、なかなかに満足であるけども。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月22日
一瞬カットアップされたルカの兄がどんな状況にいるかは分からないが、まー面倒くさい事情を抱え込んでるんだろうな。
『身内に呪い持ちがいて、幼さ故に対応しきれない』って状況は、ルイとノエの過去にも重なるか。
ヴァニタスはアルタス・パリ最大のタブーにあえて触れて、ルスヴン卿を怒らせる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月22日
自分が投げ込んだ爆弾がどんなリアクションを引き出すか、冷静に観察し欲しいものをもぎ取ったヴァニタスは、満足そうにボコボコで帰っていく。
(画像は"ヴァニタスの手記"第8話より引用) pic.twitter.com/Fhf2Lst4zF
不躾な道化を演じつつ、ルカの反応を横目で伺うヴァニタスの冷静も面白いが、ルスヴン卿の怒りが何処まで真意か、気になりもする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月22日
ジャンヌまで巻き添えに実力をぶん回しつつ、彼の瞳は赤くない。狙いすました侮辱は、吸血鬼としての本性を引っ張り出す程、彼の奥底に響いてはいないようだ。
何しろ優秀な政治家なので、”本心”なるものとその場での適切な行動の区別が、ルスヴン卿にはおそらくないのだが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月22日
『怒ることが適切』と『怒った』の間に、あまり差がない彼の思いは、一体何処に渦を巻くのか。
病の床につく女王代理、吸血社会最大の権力装置。
その奥に、儀礼で求められる以上の忠誠があるかは勘ぐりたくもなる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月22日
いやね…彼が例えばルカみたいな、政治力に薄い無辜の人民なら、こんな事考えなくても良いんだけど。
ヴァニタスの用意した交渉のテーブルに乗り、相応しいマナーでしっかり差し合いをした結果、そこは疑わざるを得ない。
幼いルカが情報を探られている事自体を気付けなかった領域を、大政治家は当然の居場所としている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月22日
蒼月の眷属の内情を根掘り葉掘りするよりも、ヴァニタスが投げた不敬な爆弾に必要なリアクションを返し、忠臣の外装を保ったまま追い返す方を優先できる判断力を、金眼に宿している。
唐突にぶっ放された超暴力がショッキングなので、そこに目が行きがちだけど。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月22日
執務室は激情を演じ、殴打を交渉手段とする冷静な情報交渉の現場だったのではないかと、思わされる運びだった。
2枚、3枚、まだまだ裏があるなぁ、アルタス・パリ…。
(画像は"ヴァニタスの手記"第8話より引用) pic.twitter.com/zXcJlbphOw
赤い褥に横たわる女王が呪い名に侵されてるとすると、狂わされた本性は城の外をさまよってる可能性もあるわけで。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月22日
現状の座組だと嵌りそうなのは、シャルラタンのレーニアかなぁ…吸血鬼を狂わせる能力は、歪みきった女王に相応しくはある。声も名塚だし(配役メタ読み)
それは後に表返される謎、今は心に留め取っておくとして。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月22日
地上に(おそらく狙い通り)放逐されたヴァニタスとノエは、新たな事件を追って地下墳墓へと歩みを進める。
連続失踪事件、遺留品、教会の”狩人”たち。
(画像は"ヴァニタスの手記"第8話より引用) pic.twitter.com/hI37Kpu4YF
今まで吸血鬼重点で描写されてきた世界観が、人間サイドを照らしてくれるようでワクワクする。そらー戦争してたんだから、人間側にも超越的暴力装置あるよなぁ…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月22日
ノエが事件を追うヴァニタスの横顔を、ずっと見つめ続けているのが印象的だ。
やはり彼は、読むべき本として描かれ続ける。
ボタンに刻まれた六翼剣、浮かれ調子で何かを考え続けている視線…その意味。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月22日
アルタス・パリとうって変わって、人間の世界を彫り込んでいくだろう物語は、あくまで人間であるヴァニタスの過去を彫り込む楔として、機能するのか。気になるところだ。
ノエにも告げず向かおうとするヴァニタスを、彼を読み続けている青年はホテルの出口で、しっかり待ち構えている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月22日
地下迷宮を進む歩みは確かで、まるで我が家を進むよう。観光地の髑髏とは違う、牙あるしゃれこうべは蒼い青年の、昔の馴染みか?
(画像は"ヴァニタスの手記"第8話より引用) pic.twitter.com/OK6lUOM6Fi
”狩人”が円卓の騎士ではなくシャルルマーニュ12勇士の名前貰ってるの、正しくフランス舞台の物語で大変興奮したが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月22日
ここまで優れた超越種として描かれたノエが、只人であるはずのローランを不意打ちできず、むしろヴァニタスを監禁=保護されてしまうあたりに、聖騎士の実力が見える。
フラッシュバンにコンバットドラッグ、使える手段は全て使って鬼を狩りに来る、油断なき戦士たち。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月22日
赤い異端に死刑宣告かます顔と、救ってあげなきゃと泣く表情の、どちらがローランの本当か。
…両方本当で、かなりオモシロイ人格の持ち主だと俺が嬉しいなぁ…。
地下墳墓に巣食う超武闘派集団”狩人”…その最精鋭といきなり接触する形になったが、果たして話は通じる相手か。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月22日
錯綜する暴力の中で、そういう部分もノエくん、探らんといかんだろう。
いつまでも無邪気な山出し青年であることを、待ち構える運命は許してくれないのだ。
多分ローランの現状認識だと、ノエは人を操る邪悪な吸血鬼で、ヴァニタスはその犠牲なんだよな…実態はむしろ逆なんだが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月22日
信仰に目を塞いで、そこらへん見て見ぬ振りをする人物(あるいは組織)なのか、殺すべき相手をちゃんと選べる暴力機械なのか。
少なくとも、油断はない。強そうでいいよね。
ヴァニタス達を墳墓に誘い込んだ、事件の真相も気になるし。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月22日
さてこの対峙がどこに転がっていくか、次回も楽しみであります。
ローランの他にも”デンマルクのオジェ”とか”ジラール・ド・ルシヨン”とかが雁首揃えてるのかな、”狩人”本部…興奮するな…。
追記 特別に畏れ燥ぐ客人ではなく、隣人として死を傍らに進むこと。古いスタンスであり、吸血鬼と闘い続ける人間に必要な心構えなのだろうね。
聖騎士達が地下墳墓を根城にしているのは、髑髏の威容が良いハッタリとなり、ナイスな絵作り生んでくれる以外にも、ちょっと面白い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月22日
死者を当たり前に隣に置きながら暮らす彼らにとって、殺すことと殺されることは日常であり、死は遠ざけるべき特別ではなく、常に思うモノなのだ。
吸血鬼の宿敵たる彼らが、memento mori という中世のモットーを体現するように生きて、アルタス・パリに垣間見えた赤い時代遅れに付き合うように描かれているのは、個人的に大変面白い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月22日
聖騎士たちもまた、蒸気世界から少し浮いた、古い生物なのだろう。
それらは暗い場所で確かに、息をしている。
表向きカタコンベは観光地となり、吸血鬼との戦争はおとぎ話に封じられたが、華やかな文明社会の足元では、奴らが未だに息をしている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月22日
未だ中世終わらず。
その認識があるからこそ、死と戦争のモニュメントが並び立つ場所を、生活空間に選んでいる気がする。異形の修道院だな、あそこ…。