小林さんちのメイドラゴンS を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月26日
プレゼント、それは想いの形。
一人前の魔術師の証、ズタボロになっても届けたい思いやり、そして打ち捨ててしまった後悔。
龍と人間たちはそれぞれ、誰かに寄り添われながら贈り物を差し出す。
そこに照らし出されるのは、もう孤独ではない魂の輝き。
という感じの、父で始まり乳で終わる! 下世話と感動の奇っ怪なアマルガム、京アニ絶好調メイドラS第8話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月26日
今回も短編三つに靭やかな芯を入れたオムニバス構造で、色んなお家の色んなプレゼントを見ることが出来た。みんなチャーミングで、とっても好(Hao)ね。
おんなじ要素を別のキャラクター、別の生活共同体で描くことで、個別の関係性とか心根とかが際立って、二期の作りはとっても良いな、と思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月26日
程よく緩くて、でもただ優しいだけでは終わらなくて。
目配せが行き届き、手触りの良い”生活”が確かに香ってくる、良いエピソード群だった。
つーわけで第1エピソードは、翔太くんの父の日タリスマン。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月26日
玄関先にさり気なく飾られてる家族の写真、母からのメッセージ。
こういう細かい所の分解能が、いかにも漫画的なドタバタコメディに体温を付けてくる。
(画像は"小林さんちのメイドラゴンS"第8話より引用) pic.twitter.com/hXPfcTQ3kU
魔法通販のサイトが、魔力認証しないとログインできなかったり、エブリデイ・マジック描写が結構細やかだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月26日
翔太くんが魔法使い見習いしてるエピソードは、高解像度で現在の魔術師がどう生きてるか感じられて、好きなんだよな。
ちょっと背伸びしてる優秀な少年っぷりも、たっぷり食べれるし。
独力でタリスマンを完成させ、師でもある父に成長の証を届けたい翔太くん。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月26日
しかし合成は失敗続き、何もかもがプログラムされたゲームのようには、現実は行かない。
魔法使いの象徴である帽子を一旦床に落として、しょぼくれた心を毛布で包んで、気分転換に電子の世界に潜る。
そこには頼れる仲間がいて、人生の先輩が先に進むヒントをくれる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月26日
第6話で”素”を見せた滝谷との関係が、気のおけない距離感で発展継続してるのが見て取れて、大変良い。
視点を変えて、製作者(Creator)の意図を読む。ゲームも錬金術も、根っこは同じだ。
少年のプライドの外側でじっと待つルコアも、部屋の中で培われる暖かな関係に、優しく微笑む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月26日
魔術師の象徴たる帽子をかぶり直して、精密に文章を読み直す。
テキストが書かれた文化的背景、省略されている様々な状況を読みほぐしていく。
(画像は"小林さんちのメイドラゴンS"第8話より引用) pic.twitter.com/2tbd1HXcA5
”気圧”が鍵になる、ある種の科学的営為として錬金術を描いているのが、なかなか精妙な視座で良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月26日
背伸びした小学生の顔、父を慕う息子の顔、魔術学徒の顔。
散々距離を取ってたルコアに、成し遂げた喜びを思わず喋り倒して、ハッと逃げ出す年頃の顔。
マジで翔太くんがルコア好きすぎで、だからこそ対等になりたい気持ちがよく出てるエピソードで、非常に良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月26日
”好き”が誰か一人に限定されず、色んな人と繋がる横幅は、この作品の強み。
窓越しセリフをあえて抜いて、父にプレゼントを渡す翔太くんの姿に、力強く現れている。
『ここは踏み込まないほうが良いところだな…』と適正距離を判断して、タリスマンを完成させるまで構うの我慢してるルコアも、なかなか良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月26日
そして終わったんでブッコミまーす!
すごく繊細な表情、指先の芝居からこれだもんな…。
(画像は"小林さんちのメイドラゴンS"第8話より引用) pic.twitter.com/3gLRSyE4lT
そして第2エピソードは、風邪ひき小林さんとトールの気持ち。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月26日
心境を繊細に照らす演出は健在で、色んな色合いに変化する瞳が印象的。
ドラゴンモードで眼が白いのは、高速飛行から眼球守るために瞬膜下ろしてる描写かな?
(画像は"小林さんちのメイドラゴンS"第8話より引用) pic.twitter.com/QzoxNGZfjk
”カンナ”と書かれたヨーグルトの存在感と、『それを料理に使っても、事情を話せばカンナちゃんは受け入れてくれるだろう』という信頼感が、雑なデス料理ネタに繊細な味わいを添える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月26日
オムニバスを転がしつつ、小林亭の四人ぐらしがどういう”匂い”するか、伝え続けるの良いよね…。
これは第3エピとも重なる部分だけど、トールは自分の薄暗い記憶にあえて潜って、越えていくために暗い場所に向き合う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月26日
明るいお家に帰ってきたカンナちゃんとすれ違い、異界の扉を開ける覚悟を決めた彼女は、かなり重たい影を背負う。
力み過ぎだが、それが実情…少なくともその一つでもある。
風邪は薬飲んで寝て治っていくが、根本的な種としての違い、時にジョークになる(する)破壊の過去は、揺るがせない現実として龍と人の間に横たわっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月26日
だからこそ、欲しいものを掴んだ今の自分として、出来ることをする。届けるべきものを届ける。
ボロカスになったトールに軽口を叩きかけて、小林さんはしっかり目を見開き、その思いを受け止める。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月26日
ほんとこういう所を間違えない人だし、その繊細な感覚を描ききるアニメだ。
丸薬を手に取ってもらうまで、トールの顔が陰の中にあるのが印象的
(画像は"小林さんちのメイドラゴンS"第8話より引用) pic.twitter.com/3MnBUjXFd4
そこにはトールの気持ち、二人の距離感が凝固しているから、小林さんは怪しい薬を手に取り飲んだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月26日
ズタボロになるくらいの必死さ、強い思いを真摯に汲んだのである。
そうやって受け止めてもらうことで、軽いノリ演じてるくせに根っこが重いドラゴンは、ようやく顔を上げる。
トールの生真面目で面倒くさい所が好きなので、たかが風邪一つで世界の終わりみたいに思いつめ、そうして受けた傷をこそ受け取る二人が見れて、大変良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月26日
猫耳変化も必要経費、雷落ちるのも日常の風景。モエモエ猫あそびで、怒るだけで終わらせない運びも見事。仲良しね…。
さて三話目は、イルルとタケの青春散歩である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月26日
人形に投影される、後悔の色合い。
下野紘絶品の童貞演技を堪能しつつ、イルルはかつて掴めなかった願いを拾い直すかのように、持ち主を探す。そこに、タケも付き合う。
(画像は"小林さんちのメイドラゴンS"第8話より引用) pic.twitter.com/GI9YRzpwh9
ここでタケが『困ったら、誰かを頼れよ』と、凄く人間的なアドバイスを果たして、それを受けてイルルが選ぶ彼女の魔法使いが小林さんなの、大変良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月26日
イルルにとって『なんとかしてくれる人』なんだよな、小林さん。”信”じゃん。
そして、実際なんとかしてくれる。つえーぜ…。
小林さんはイルルのドラゴン的側面を思い出させて、彼女は匂いを追跡することになる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月26日
同時に自分は文明と繋がり…人間的な解決手段を模索して、結局は後者が人形の持ち主を突き止めることになる。
では行方にたどり着けなかった龍的なアプローチは、無駄だったのだろうか?
そうではないと、涙雨に差し出される傘が告げてくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月26日
河を遡上していく歩みは第6話の、カンナと才川を思い出させるが、今回イルルとタケは水の至る所にはたどり着かない。
しかしイルルは凄く柔らかなものを、タケと雨中で共有する。
(画像は"小林さんちのメイドラゴンS"第8話より引用) pic.twitter.com/GsmhnywVq8
竜だとは告げずとも、この人形探しに何を重ねていたのか、何故泣いていたかを預けることは出来る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月26日
一度は進んだ帰り道を戻って、泣いてる子供に傘を差し出すことも出来る。
そうしてお互い差し出したものが、なにか新しい感情を作って、ゆっくりと間柄も変化していく。
当然の顔で、小林さんに傘を差し出すトールも、イルルとタケが今一緒に歩いていて、これから進んでいく道を経て、自分の居場所を見つけた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月26日
誰かの答えが必ずしも、自分の答えにそのまま使えるわけじゃないけど、揺れる気持ちに共感を添えることで、繋がるものも確かにある。
イルルはそれが欲しくて、手に入れられなくて背中を向けた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月26日
小林さんに迎い入れられて、無くしたものを掴んだけども、龍は貪欲だ。
色んな人と繋がって、色んな幸せが欲しくなる。
そうして求め差し出すことで、幸福はより豊かに、多彩になっていく。
かくして雨は上がり、空には虹がかかる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月26日
イルルは打ち捨てられた人形を、そこに込められた後悔を、思いを込めて歩きまわって掴み直し、夕日の中でプレゼントした。
その隣にタケがいてくれることが、とても良い。
(画像は"小林さんちのメイドラゴンS"第8話より引用) pic.twitter.com/LLRzNhdO0e
本来表情のない人形が、嬉し涙を流しているように見えたら。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月26日
あるいは打ち捨てられて、悲しんでいるように見えたら。
それは目の前にいる人間の、思いの反射だ。
勝手な思い入れ、喪われていく何かを取り戻そうとする強い感情が、人形の顔を変えていく。
少女のもとに戻った人形は、あの時イルルが諦めた人形ではない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月26日
時はそのままの形では、元には戻らないのだ。
しかしイルルは自分が投影しているものの歪さを判りつつ、諦めることはしなかった。
打ち捨てられたものが本来の居場所に戻り、砕かれたはずのものが蘇る。
そういう事がありうるのだと、小林さんにさんざん証明してもらった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月26日
でもそれだけだと彼女は、涙雨に蹲ってしまう。傘を差し出す仕事は、別に小林さんの特権である必要はない。
竜の事情を知らぬまま、甘酸っぱい恋心を育みつつ、イルルの人生やり直し旅にタケが同行してるのは、大変良い。
かくして全裸に特大火炎袋を揺らしつつ、イルルの”今”が走る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月26日
ズレた竜の感覚にすっかり引っ張られてる小林さんを、存外常識人なトールがツッコむ構図好き。
無自覚破廉恥に翻弄されながら、タケの青春も沸点上げながら突っ走る、と。良いね…。
(画像は"小林さんちのメイドラゴンS"第8話より引用) pic.twitter.com/JgQysyZVMp
というわけで、竜と人それぞれの”今(Present)”が”贈り物(Present)”を通じて見えてくるオムニバスでした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月26日
今回はそれぞれの家庭の匂いがどんな感じか、伝わる描写が多くて大変良かったです。
玄関のメモ、冷蔵庫のヨーグルト、全裸疾走風呂上がり。そういうモノで出来ている。
一期がとても良いまとまりで終わったので、ある意味起伏に乏しい”余生”とも言える二期ですが、しかし穏やかな日常の中にこそ奇跡はあり、それを守ろうと日々新に生き続ける息吹と輝きが、静かに微笑んでもいる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月26日
自分たちが作り上げたものを不用意に揺すぶらず、丁寧に良さを引き出す話の扱い。
そこに新キャライルルの生き直しが上手く絡んで、やっぱSの見据えているもの、切り取っているものは善いなぁと、しみじみ思いました。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月26日
あとホントクール教先生は、超乳超越存在に死ぬほど翻弄され、主導権を握られたまま柔肉に包まれたいんだな、と感じました。ロートレックみたいな性癖しとるね…。
雨に傘差し額を撫でる、タケの優しさがイルルに染みてる感じもありますが、甘酸っぱい二人の距離感は今後どうなっていくのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月26日
そこにも注目しつつ、次回を楽しみに待ちたいと思います。実は存外、素直な竜人ラブコメ関係がないからな、この作品…。