イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

コバヤシ的アイドルアニメへレビューまとめ ~質問箱・マシュマロとその返答から~

・オススメ作品一気にプレゼン

peing.net

ご質問ありがとうございます。そのように受け取っていただけると、感想を書いた甲斐もたっぷりとありますね。ありがたい限りです。
自分も同一テーマ・モチーフの中での個性というのはとても好きなので、自分の感じた長所を作品ごとにガーッと書いてみますね。

アイカツ!(いちごジェネレーション)
・愛と正義と真実だけが存在し、とにかく正しい行動が正しく報われ、より良くなっていく世界を構築し切る腕力
・それを体現する星宮いちごの主人公力
・感情を瑞々しく切り取る筆致
・神崎美月というカリスマの描画
・『攻め』てる楽曲
・女と女の爆裂感情

アイカツ!(あかりジェネレーション)
・いちご世代の綺麗事力はそのままに、彼女達では背負えなかった人間的な陰りと限界をキャラに練り込み、一歩ずつ前進していく物語
・世代を通じて継承されるバトンの重さ
・各アイドルの強みがキャリアに繋がる描写
・進化した3Dステージ
・女と女の激烈感情

プリリズAD
大映ドラマばりに家族と世代、非才と敗北をど真ん中に据えて、泥臭いど根性ストーリーをやりきる足腰
・に引っ張られすぎず、可愛く楽しいシーンがちゃんとあること
・努力型主人公のりずむを極限まで追い込む容赦のなさ
・その先にある三者三様の答えを圧倒的なテンションで語る筆

プリリズDMF
・ADで主役たちが打ち立てた伝説に見せられた世代が、自分たちなりの答えを出そうと決死にあがき、時に無様に踊る様子
・スタァであること、誰かのあこがれであることに圧倒的な『正解』を返したみあの叫び
オールドスクールな笑いの作り方

プリリズRL
・どんどんスケールアップしつつ、キャラの感情がそこに追いついて拡大していく相互作用
・勝ち負けを競いつつ、そこを超えた場所にある輝きを説得力を込めて多用に描く筆
りんねとジュネのステージングが持つ怪物的な『圧力』
OKAMA先生の神デザイン
・なるちゃんが勝たなくて勝つ所

プリパラ
・コメディとしての完成度とセンス
・欠点を長所として描き続ける誠実な筆
・アイドルを特権的な存在ではなく、『みんな』がなれる夢の実現として描く視座
・掘りきれなかったテーマともロングで取り組む姿勢
・妙にIQ高い小ネタ
・隠しきれないSFテイスト

アイドルタイムプリパラ
・前作が駆け抜けた高みから、あえてペースを落として等身大の物語に舵を変えた所
・そうやって変えた目線でしか切り取れない物語をやっていること
・らぁらとゆいの立体的な関係性の描写
・アイドル開拓史が一歩ずつ進んでいく手応え
・女と女の鮮烈感情

AKB0048
・現実のアイドルをモチーフにしたことで、不思議なリンクと立体感がある
・AKBグループへの猛烈な信心
・既存楽曲をSFど根性物語で120%活用してきた、変奏の妙味(特に”初日”と”ウッホウホウホ”)
まゆゆをガチでアイドルサイボーグにしてくるぶっ飛んだセンス
・NO NAME

うたの☆プリンスさまっ♪
・ぶっ飛んでるのにグッと掴まれる頭のおかしい演出センス
・その割に嘘のない感情を叩きつけてくるアツいシーン
・超美男子が一生画面に写り続ける多幸感
鈴村健一が俺に甘い言葉を囁いてくれる
・『アイドルってマジすげぇ』と理屈ではなく心で感じられる所

少年ハリウッド
・橋口いくよのアイドル言語能力の異常な高さ
・それを画面に塗り込める黒柳監督の映像詩力
・生っぽいダイアログでデカいテーマを身近に書く
・バカ高校生の部活感
・夢が終わった後の輝き
・『アイドル』という異質な存在への哲学的思弁
・それをちゃんと食わせるアニメの面白さ


アイドルマスター
・小さな事務所から伝説まで、一気に駆け抜けるサクセスストーリーの快楽
・肥大化していくスケールの中でも、繊細な少女たちの感情を切り取る細やかな筆
・事務所を『家』とする疑似家族的な空気の暖かさ
・錦織さん特有のテンポへのセンス
・我那覇くん

アイドルマスターシンデレラガールズ
・あらゆる瞬間を暗喩と意味で埋め尽くした、マニアックな演出哲学
・結びつき離れ拡大していく宿命を、ポジティブに捉え続ける筆
・アイドルを偶像ではなく一人間として、苦悩や陰りも含めて真っ向勝負した所
・圧倒的に美麗な美術と撮影
・女と女と男の剛烈感情

アイドルマスターSideM
・圧倒的なストレスコントロール能力とバランス感覚
・思春期ど真ん中だった二作とは違う、物分りの良い気持ちよさ
飯塚晴子デザインに宿る色気
・小さいスケールで一歩一歩積んでいく、泥臭いサクセスストーリーの手触り
・要所要所で差し込まれる分厚い詩情
・男と男の感情

ドリフェス
・正解をど真ん中から言い放つことをためらわない、真っ直ぐなテーマ性
・ワンワードで掴む言語センス
・暴力やセクシュアルな誘惑を使いこなす深夜アニメ力
・ファンや仕事など『アイドルの外側』への視野が広い
・ど真ん中の青春力
・この2010年代に、堂々雨の中川原で男と男が殴り合う

ラブライブ!
・読参企画の最後の花火から、社会現象まで一気にのし上がった勢い
・圧倒的なエモさ
・多幸感と活力に満ちたステージ描写
・現実のロジックを蹴っ飛ばす劇作優先主義
・青春の輝きを極限化させ女神にまで至るスケールのデカさ
矢澤にこという存在

ラブライブ!サンシャイン!!
・μ'sという巨大な存在を無視せず、常に批評し続ける営為
・そこから抜け出して自分の物語を見つける前の苦闘
・それを経てたどり着いた『史上最大の敗戦』というテーマの独自性
・ネジを極限まで外した頭の弱いギャグ
・高校生っぽさをどこかに残したステージング

SHOW BY ROCK!
・『アイドルではなくROCK』という特質を真面目に考え、色んな角度からロック&バンドの可能性を掘っている
・3D&SDモデルによる可愛らしいステージング
・シンガンのアホバカ男子っぷり
異世界転生モノとしての骨の太さ
・レトリーの純愛変態力と細かい成長描写

King of PRISM
・『この話をやりきらなきゃ死ぬ』という狂気が画面から滲んでくる
・スターがいかにして人間を救うか、異常にデカい話をしてるのに汗の匂いがする所
・脳髄をグチャグチャにされるドライブ感
ホモセクシュアルな誘惑を大真面目にちゃんと使いこなしている
・驚異的な圧縮力

ふつうの女子高生が『ろこどる』やってみた
・『ローカルアイドル』一本にキッチリ焦点を合わせ、泥臭い質感を大事に描いた
・学生描写が多く、いい意味でアイドルに絞りきっていない世界の広さ
・一少女が自分を見つけていく物語としての堅牢さ
・ゆかりさんの超絶重力女っぷり
・素朴ながら輝く楽曲

以上、アイドルじゃなくてプリズムスタァとか、ロックスターとかもいますが、思いつくところをガーッと書きました。
基本良いところばっか言っています。アイドルモノというより、アニメとしての強みをあげちゃった感じもしますね。全部オススメなんで皆さん見てください。

 

 

少年ハリウッドについて

peing.net

ご質問ありがとうございます。
横幅広くアイドルアニメの好きなポイントを上げるのは、過去の解答でやってますので、ザ・ワンを選ぶとなると…悩みますが『少年ハリウッド』を推します。
濃口のキャラデザで距離を取られてしまうことも多い作品なんですが、非常に良い。

このお話は凄く色んな要素が詰まったアニメで、『アイドル』という職業の在り方を真剣に突き詰めていく『アイドルアニメ』であるし、その職について本気で自分を演じ見つけていく青年たちの『青春アニメ』であるし、生々しい青年たちの距離感が詰まってグループになる『群像劇』でもある。
ステージに立って観客に向かい合うことにどんな覚悟と意味がいるのかを描く『ステージアクトもの』であるし、世代を超えて継承されるものと時間が残酷に打ち砕くものを同時に切り取る『年代記』でもあり、人間はどんなものにしがみついて生きているかを泥臭く描く『人生の物語』でもある。
そういう欲張りな多層性を、シリーズ構成・橋口いくよの言語のセンス、『アイドル』への認識の深さと、監督である黒柳トシマサの映像的視力/詩力の高さが見事にアニメにまとめ上げて、語り尽くしている。
過剰も不足もなく、自分たちが語りたいもの、語るべきものを26話にしっかり詰め込んでいる。

そしてとても巧いのに、冷えたところがない。
アイドルという存在、青春という季節、ステージという場所。全てに敬意と熱意があって、しかもそれが伝わる形で映像化されている。
キャラクターは一個人として作品世界の中でちゃんと生きていて、息吹と痛みを兼ね備えている。それを成立させる愛情がある
全体通しての成長や変化の楽しさ、発見の喜びもよく計算されているし、一話一話の満足度、やり遂げた充実感も高い。その仕上がりが、全てを見終わったときの『ああ、良いアニメだな』という感慨にも繋がる。
アニメを26話見る喜びに満ちた、とても良いアイドルアニメです。皆さんにもぜひ見て欲しい。

 

 

アイカツ! について

marshmallow-qa.com

 

ご質問ありがとうございます。
以前男の子サイドは”少年ハリウッド”を紹介したので、今回は女の子サイドで。
色々いいアニメがあるんですが、やっぱ”アイカツ!”が良いと思います。

アイカツのいいところは本当にたくさんあります。
女の子のキュートでポップで元気な姿がしっかり描かれているとか、楽曲が程よく攻めてて聞いてて気持ちいいとか、努力が報われる善良な世界ながら甘えた補正は極力少なめなところとか。

その上で、芸能活動全般を『アイカツ』というタームでまとめ上げ、歌舞音曲だけでなくモデルやデザイン、ステージ設営や企画まで様々な『仕事』に価値があるのだ! と見せた『お仕事アニメ』としての側面が、かなりの強さを持っています。
少女たちは一つ一つのエピソードとステージを積み重ね、己のキャリアを作り、その中で自分がどんな人間であるかを見つけていく。
その時接する同年代の仲間、年上の庇護者との関係性は、非常に明瞭、かつ前向きに描かれ続けます。
学ぶ学生であると同時に、働く主体でもある。
アイドル学園モノとして必要なバランスを、仕事サイドを抜かりなく描写(しつつ、過剰な悪辣さで夢を壊しはしない)して、しっかり取っている所。
それはトンチキでハイセンスなギャグが飛び交うアイカツ世界を、しっかり現実に繋ぎ止めるアンカーになっています。

こうして書くとお硬い印象ですが、アイカツが世界を描写する全ての筆と同じように、その筆致は常に前向きで、善意が善意によって報われ、より良い明日に向かえる希望を、力強く見据えています。
力を込めて綺麗事しか言わない決意が、『仕事』の価値と意味を照らし直している感じです。
その視点は最も大きなモチーフである『アイドル』にも向いており、アイカツは非常に鮮明で本質的なアイドル論を、話の節目に幾度も語ります。
それを見ることで視聴者には、アイドル分解酵素が体内に作られ、他の作品、あるいは現実のアイドルを見つめる足場を、豊かに作り上げもする。

そういうアイドル・リテラシーの参考書としても、極力肩の力を抜いて、楽しく見てもらえるよう語り口を考え抜いたアイカツは、分かりやすく鋭いアニメになっていると思います。
無論、夢を抱えたアイドルの熱血成り上がりストーリーとしても、骨の太い成長が描かれています。本筋怠けないのは大事。

何しろ三年半の長丁場、見るのはそれなりに大変かと思いますが、それに見合う魅力が随所に、力強くあるアニメです。
一気観すると、サムライピクチャーズの3GCG技術が驚異的な進歩を遂げる様子も楽しめると思います。後期の光源と遠近法の描写力は、ほんとピカイチですね。おすすめです。