ルパン三世 PART6を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月5日
三年前、リリーはレイヴンの翼の影にあった。
迫りくる銃口に、影の守護者が動き出す。
壊れかけの拳銃に、刻まれる最後の弾丸。
それは、微かな恋心。
生き様は古びてなお、受け継がれていく。
そんな感じの樋口明雄脚本回、寒空のスコットランドであう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月5日
先の三本は好き勝手絶頂に暴れた感じが気持ちよかったが、今回はホームズ編の要素を拾いつつ、渋い入れ替わりトリックあり、オールドスクールな銃撃戦あり、しっかり手綱を握り込んだ仕上がりとなった。
とにかく美術が良いPART6だけど、今回はロンドンを離れて雪残るスコットランド、陰鬱な曇り空が時代遅れのガンマンと少女に映え、その景色自体が本命から目をそらさせるトリックでもあり…全体的なトーン調整が、とても良かったと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月5日
やっぱアニメの中の”景色”を見るのが好きなんだな、僕は。
時計は三年前に遡って、その時代からレイヴンの謀略はリリーを狙っていて、ルパンおじさんは彼女を見守ってたよ、という作り。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月5日
最初に先生との入れ替わりを印象づけておいて、後の本命を覆い隠す運びには、見事にやられた。
トリックの使い方がコンパクトで、巧い刺し方だったと思う。
前回の印象を活かし、『ああ、ルパンとリリィの話なんだね』と思わせておいて、次元大介と少年の物語に落ち着いていくのが、心地よい裏切りであった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月5日
こういう感じで本筋と呼応しつつ、そっちじゃ描けない影に光を当てるゲスト脚本回も小粋でいいわな。
次元というキャラにもあってる。
んでガンマンは、自分の歪んだ鏡のようなルークとのしぶとい因縁に火花を散らしつつ、壊れかけのM19を握りしめる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月5日
堂々喫煙男のロマン、帽子に隠したダンディズムは、ヒビの入った骨董品か。
第ゼロ話でも問われたクエリーは、”ルパン”が続く限り問い直され、答え直されていくテーマなんだろうなぁ。
オートマと防弾チョッキ、誇りのない銃弾の行方。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月5日
死んだはずなのに死にきらない、ルークは次元の鏡として、なかなか良いゲストであった。
狙撃を食らった時、誰よりも早く反応している姿が、墜ちたりとはいえ優秀なガンマンであることを上手く語っている。
他にもマグナムと通常弾の違いをウィンドウをブチ抜けない頼りなさで見せ、すぐさまタイヤ狙いに切り替えるクレバーさに繋げたり、最後のぼっ立ち打ち合いで覚悟を見せたり、やや古めなことを逆手に活かした銃撃戦描写が、なかなか良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月5日
銃撃戦のエッジラインに、手を変え品を変えタフに追いついていく次元大介をPART5第19話『7.62mmのミラージュ』で描いてあるからこそ、相棒と意地にしがみつく”懐かしき”次元大介も、心地よく響く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月5日
ここら辺”峰不二子という女”からのルパン・ルネサンスが、有機的に繋がってる面白さかと思う。凄く良い
次元大介の生き様は暴力を前に何も出来なかった少年の無念に、一つの指針を示す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月5日
彼が恋した少女が謀略の渦の中、何を導きに見出すかはこれから、名探偵と怪盗をダンスパートナーに描かれるものだと思うが。
それに先んじて、ルパン一味が子供にどう向き合うか、描いてきたのは凄く好みだ。
少年は銃を握らず、己を秘密の銃弾とすることで愛する人を守ろうとする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月5日
バッキバキに殺しに来てる銃撃戦をリリィが目の辺りにしてて、『え、記憶戻んない?』とツッコんでたんだが、それ自体がヒントとは思わなかった。
巧い情報の出し方、隠し方だった…してやられて気持ちいいのは、良いミステリね
『銃弾だけが答えなのだ』と墜ちてしまえば、リリィを無駄に殺そうとしたルークと同じだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月5日
銃を持てばこそ貫ける生き方は、銃を持たない道を選ぶ…かもしれない少年に、矜持の意味を教える。
あるいはこの危険な囮旅に志願した時点で、彼の心は銃弾を込めていたのかも知れない。
そんな風に渋く、生き方を教えていく次元の顔は、ちょっと”親”っぽい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月5日
当たり前の生活に安住できず、スリルを求め続けるルパン一味が、けしてなれない存在。
クラシックカーを優雅に乗りこなし、ロードムービーテイストもある今回は、そんな彼らの”もしも”を、一瞬照らす。
今回次元が少年と一瞬触れ合い、真のガンマンが持つべき銃弾を教えた事が、リリィを見守るルパン、相棒の意地を背負う名探偵に、どう響いてくるか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月5日
それも今後の楽しみである。
血縁を超えて親子になりうるリリィとホームズも、永遠のピーターパンであるルパンの”もしも”なんだろうな。
そんな感じの、落ち着いた調子ながら確かな芯と静かな熱、心地よい謎に満ちた、良い仕上がりのエピソードでした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月5日
ゲスト脚本が毎回はっちゃけるのも良いけど、こういう”ルパン三世 PART6”の顔をよく見た上で、この話にだけ描ける味わいを出してくるお話も大変グッドだ。オムニバスゆえの面白さ。
次元回としてスタンダードな話運びも、大塚次元を”ルパン”に定着させる足場として、いい仕事をしてくれたかなー、と思います。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月5日
大変良かったです。
そして次回は湊かなえ脚本、湿っぽいスコットランドを離れて常夏のブラジルだ!
一体どんなお話が見れるか、大変楽しみです。