ルパン三世 PART6を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月11日
”レイヴン”と名探偵にまつわる事件が終わり、ルパン達はアメリカNYにいた。
秘宝満載のオークションに狙いを定めた時、ルパンの瞳が紅いダイヤで止まる。
それは彼と数多の女達の因縁を紐解く、巨大な謎の核であった…。
そんな感じのPART6、新章開幕の第13話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月11日
シリーズ構成が村越繁へ変わり、舞台もロンドン固定からワールドワイドに。
物語の軸足も、ホームズ&リリィからルパン本人の過去と因縁…それに絡まる女達へと移った感じもある。
全体的に、第1クールからガラッと印象を変えた、新たなスタートとなった。
ロンドンでは名探偵の血なまぐさいホームコメディを、遠くから見守る誇り高き第三者…といった風情の描かれ方をされていたルパン。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月11日
しかし今回はシリアスで重たい表情を色濃く滲ませて、彼の一人称で物語に切り込んでいく予感が強い。
その舳先に、『ルパンの母』を据えたのは面白い構成だろう。
妻、好敵手、恋人、花嫁、あるいは母。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月11日
”女”にも様々ある中で、どの側面にクローズアップするのか。
それは今後の話運びとして、色んな女達がルパンを見ているこの新章第一話…彼女たちを鏡として、また新たなルパンの肖像画が彫り込まれそうで、なかなか楽しみである。
物語は激しいアクションからスタートし、そこに至る道を逆算する形で転がっていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月11日
赤毛の女達との激しいチェイスを繰り広げる中で、ルパンはいつものように鼻の下を伸ばさず、酷く陰鬱な表情でワルサーを撃ち放つ。
結構ザックザックと”女”殺してて、ショッキングな挨拶となった。
NYの隠れ家で繰り広げられる次元との生活は、過剰にラフでマッチョで、絵に書いたようなハードボイルド味である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月11日
世に流行るバズレシピなんぞには頼らねぇ、勘が全ての”男の料理”。
それを二人でギャーギャー言い合い、楽しく食べるホモソーシャルな密室。
OPで紫煙をくゆらせ美食に励み、時代のコンプライアンスにはあんまふさわしくない顔も見せてるルパン三世。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月11日
第2クールは”女”を扱うということだが、それ(のカウンターウェイトである”男”含め)を固定化した記号でまとめるのは、非常に危うい行為でもある。
様々な役割と固定観念に縛られ、切り刻まれた”女”なるものの中心に、ルパン永遠の女(であることを、PART5で見事に立証されている)峰不二子がいるのは、間違いないだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月11日
それ以外にルパンの母、赤毛の女怪盗、可憐なる花屋の娘などなど、色んな”女”が顔見世する。
その数の多さが、”女”なるものの多面性を各キャラクターに背負わせ、立体的に投射していく足がかりとなるか、否か。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月11日
ここら辺は今回の導入を終えて、お宝アドベンチャーを駆け抜けていく過程で彫り込まれ、見えてくる部分だ。
つーか多角的に描かないと、メッチャヤバい時代遅れ感出るネタだからな…。
不二子が持ち込んだ秘宝オークション襲撃計画、そこに宿る”UNKNOWN”にルパンは、スッと表情を冷やす。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月11日
ロンドンではあんまり見れなかった、”人間”ルパン三世の顔…そこに唯一寄り添う特権を持った次元大介の表情が今回色濃くて、なかなかにブロマンスな空気が漂う。
大怪盗の宝物庫から盗まれた紅いダイヤは、すなわちプロの矜持でありルパンの思い出でもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月11日
飄々と軽薄に…例えば”不二子ちゅあん”に鼻の下伸ばして言い寄るときには見せない柔らかな部分が、否応なく表舞台に引っ張り出される、ルパン三世の心臓ともいうべきフェティッシュだ。
夕暮れ、次元を相手に語られる過去。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月11日
そのナイーブで飾りのない姿と、夜闇とともに迫ってきた不二子に”顔”を作って話題をそらす時の仮面。
男と見込んだ相棒と、女だからこそ追い求め逃げられる存在に、それぞれ見せる顔と見せない顔。
それが、アジトの屋上で交錯する。
今回のエピソードは情報の入手から事前準備、実際の襲撃まで結構時間を使って、ルパンの”仕事”を追う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月11日
その丁寧な彫り込みが、時に万能の舞台装置として人格を無くす”ルパン三世”の人間味を、上手く物語に焼き付けていく感じがある。
ここら辺、ホームズ編とはフォーカスを切り替えた感じがある。
とっつぁんが早い段階から厳しいセキュリティを配し、油断なく予告に備える姿とか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月11日
それを踏まえて、地道にドローンを作り花屋相手に関係を築く準備の描写とか。
ルパンがどんな風に、彼のビジネスを果たしていくのかというお仕事アニメ…あるいは日常アニメめいた、どっしりしたカメラワーク。
これは結構独特の味わいで、コクがあって面白かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月11日
チマチマ配線仕事したり人間関係捏造したり、地道な事前準備あっての大仕掛けだと判ると、なんだか親しみが湧く。
この人間臭さもまた”ルパン”の魅力であろう。
とっつぁんの対応が早めで、優秀に見えるのも良いよね。
今回色んな”女”が顔を見せるが、無垢なる踏み台であり哀れな犠牲でもある花屋の娘・マティアとのやり取りも面白い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月11日
偽りの仮面をまとい作り上げた関係は、華麗な盗みを成功させるための下準備でしか無いが、しかし”ルパン”は彼女を見捨てられない。
銃弾と爆発が飛び交うハードな現場で、宝を取るか女を取るか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月11日
その土壇場で、ルパンは傷ついたマティアに手を伸ばすことになる。
その甘ちょろいロマンティシズム、人命尊重主義が一体、彼の起源とどう絡んでくるか。
なかなか面白い爆弾だと言える…露骨、記憶喪失フラグも立ってるしね。
最新鋭の映像投影技術を活用し、繊細に台本を練り上げて挑むオークション襲撃は、突然の乱入でぶち壊される。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月11日
マシンガン撃ちまくりの粗雑な力強さが、前半積み上げた地道な準備を横殴りする流れは、いい感じに予定調和をぶち壊し、心地よい裏切りがあった。
それを率いる赤毛の女は、一体何を秘めるのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月11日
”トモエ”なる共通の因縁を置き去りに、強盗団の首魁は去っていく。
因縁と矜持を秘めた真紅のダイヤは奪われ、華麗なる舞台はぶち壊し。
しかしルパンは怒るでも呆れるでも剽げるでもなく、重くシリアスな顔をし続けている。
この”ルパン”らしからぬずっしりした感触に、今後どう物語のメスを入れていくのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月11日
木の股から生まれたトリックスターではなく、生母との因縁、振り切れない感情を持つ人間としての”ルパン”に、ぞろぞろ顔を出した色んな”女”達をどうぶつけ、どう活かすか。
第2クールの話運びが楽しみになる、良いスタートとなった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月11日
年開けるまでは勝手に、ホームズ軸を引き継ぐと勘違いしてて、空疎なる”レイヴン”の先にある風景がどうなるか、テーマの変奏と再構築を楽しみにしていた。
だが、それとは違う場所に話は進んでいく。
想定外だが、とても面白い。
腰を据えて『人間ルパンと”女”』つう、選び取った主題と向き合い物語を削り出していけば、自然第1クールで描いたもの、描ききれなかったものと呼応する描写も、作中に生まれていくだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月11日
二人のシリーズ構成が連続2クールで繋がる、かなりアクロバティックな作りを選んだPART6。
その独特の仕掛けと挑戦が、一体どんな”ルパン”を浮き彫りにしていくかも、個人的には楽しみである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月11日
どういう画材や描き方を選ぶか、それが今まで培った伝統に合致してるかじゃなくて、選び取ったものがどう”ルパン”を活かし面白くするか、仕上がった絵の方に注目したい感じね、個人的には。
ルパンが第三者的ポジションに一歩引いた(ことで、物語全体を上手くコントロールし得た)ホームズ編では、見れなかった”ルパン”の顔。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月11日
第一話からしっかり刻まれていて、なかなか期待が膨らむスタートでした。
マジスゲェ数の”女”が手早く顔見世してて、人数捌けるのか楽しみだが。
数が多いのは”女”なるものが背負う属性を、各キャラに背負わせて描くための画材選びだとは思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月11日
そこでポピュラーな記号論に終わらせず、各キャラが一人間として生きている血潮をしっかり宿せると、今っぽいルパン、今っぽい”女”の書き方になるかなー、という印象だ。
さてどうなるか、次回も楽しみ。