ジョジョの奇妙な冒険 ストーンオーシャンを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月16日
無実の罪で”水族館”に囚われた徐倫は、同室のグェスに強烈な洗礼を受ける。
”矢”によって力あるヴィジョンを発現させた彼女は、徐倫を異能の餌食と付け狙う。
果たして徐倫は自身の”スタンド”を目覚めさせ、過酷な運命に抗うことが出来るのか!?
そんな感じのスタンド戦闘チュートリアルの相手はキチ女ッ! モダン・ホラー味の強いジョジョ六部第2話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月16日
キャラ紹介が終わって物語も本格始動、癖が強い…なんて言葉じゃ表せないドブゲロ人間どもが、過酷な試練を押し付けてくる。
それが徐倫の魂を磨き上げ、秘められた黄金が顔を出す。
そんな物語の基本骨格も、いい塩梅に伝わってくるファースト・バトルである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月16日
スタンド能力のエグさ、魂のドス黒さと、最初のヤラレ役にしては個性強すぎるグェスがいい味出して、とってもいい感じであった。
これで神父の陰謀に関係ない、野良クレイジーだってんだから…凄いねアメリカッ!(偏見)
グェスの強烈さに目が行きがちだが、前回徐倫を裸に剥いた『マキシマムセキュリティ!』の看守とか、何の脈絡もなく腹話術を始め唐突にキレる所長とか、グリーン・ドルフィン・ストリート刑務所はこの世の果て…異様なテンションでお送りする、奇人変人博覧会である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月16日
何しろ犯罪者更生施設、管理する側もされる側もプッツンキレてるヤバ人間ばっかなので、治安は悪く言葉遣いは最悪で、精神テンションは常時暗黒街。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月16日
このグツグツ煮立った異様な感じを浴びると、『JOJO”喰ってる”な』と思わされ、大変にありがたい。
みんなキレ過ぎ、口悪すぎ。
所長のありがたい訓告では”自由”が過剰に強調され、逆位相で監獄の”不自由”を強調する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月16日
人間は数字で管理され、規則を破れば即刻射殺。
ハメられて落ちるにはあまりに危険な場所だが、先週まで彼ピとイチャコラしてた小娘の魂は、このゴミ溜めでこそ覚醒を始める。
今回のエピソードは『”スタンド”とは何なのか?』の復習ともなっており、キャラクターの精神性が能力と直結する”心の力”として、作品独自の概念が描き直される。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月16日
小心でありながら暴力的、信頼を押し付けながら身勝手に振る舞う。
クズのグェスから生まれるスタンドは、能力もクズである。
対してドブに叩き落されながら闘志と理想を忘れない徐倫は、己の力あるヴィジョンに『ストーン・フリー』と名付ける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月16日
この意志の海でも、真の自由を繋ぎ止めるための力。
糸電話のように言葉を伝えたり、集まって強靭な拳になったり、自在に形を変えうる可能性の塊。
親父譲りのオラオラのラッシュをキメながら、グェスを鏡に徐倫は自分がどんな存在であるか、声高に叫ぶ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月16日
プッツンキレちまった時のツラがイケメンに仕上がりすぎてて、アニメスタッフが徐倫をどう理解し、どう書きたいかがよーく解った。
…それが正解だよッ!!
荒木先生はクズを描くのがとにかく上手いが、グェスは初対面の相手がベット間違えただけで椅子で殴り、同室相手の食事はゴミ箱に捨て、弄んだ死体は便所に流す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月16日
『あ、最低のクズだな…』というのが、日常的な態度からジョバジョバ染み出してて、大変いい感じだ。
テンションが乱高下し、とにかく身勝手なグェスに圧倒される形で徐倫はネズミコスプレを開始し、地獄のミニチュアバトルへとなだれ込んでいく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月16日
未だ己の力に名前を付けれず、刑務所にも馴染みきっていない初な少女の、戦慄と恐怖。
ホラーテイストの濃い見せ方が、そんな心をよく見せる。
こっから徐倫は無敵の覚悟人間へと覚醒し、筋金入った魂で危機をぶん殴るスーパータフガールへと進化していく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月16日
しかし同時に父親との複雑な距離感に悩み、一人寂しさに涙するナイーブな感性も持っている。
まだ”スタンド”に…作品独自のルールに馴染みきっていない、生っぽいリアクション。
前回と合わせてそこが堪能できて、良い序盤である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月16日
話が転がって戦士の魂が錬鉄されてきても、人間的な可愛げや面白さが喪われず、むしろそんな剽軽こそが厳しい戦場でギリギリ、勝利を引っ張っても来るんだけどね。
でもやっぱ、この初々しい徐倫は今だけのレアものである。
っても激ヤバ人間の生み出す異常状況にガタガタ震えるより早く、グェスの能力が距離によって減衰したり、看守にバレそうになったら”糸”を使って状況を乗り越えたり、冷静な分析力と怯まぬ勇気で、ピンチを既に乗りこなしてもいるのだが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月16日
穏やかで優しい心を持ちつつ、キメる所はキメる。
主役の魂にメリハリ効いてることが、お話全体の緩急をうまく付けて、ワクワクを高めてくれる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月16日
これは徐倫が結構しょーもない人間として監獄にブチ込まれ、その甘っちょろさが石作りの戦場でどんどん抜けていく語り口と、よく呼応している。
歴代主人公の中でも、一番伸びしろある感じだよなー…。
監獄という尋常じゃない状況で、グェスという異様極まる強敵と対峙して、徐倫の眠っていた知性と覚悟がメキメキ顔を出す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月16日
”ストーン・フリー”はそんな心の変化を後追いするのであって、異能があるから徐倫が強く見えるわけではない。
いつだって人間の強さは、心の強さなのだ。
”スタンド”という道具立ては、そんな真理を描くための大事な絵筆としてある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月16日
そういう事を思い出す、徐倫最初のスタンド戦であった。
前回はあくまで感知されない異能として、静かなる復讐を果たした”糸”であったけども。
今回は真正面からのオラオラで、顔面歪むまでの直接殴打で決着。
さんざん怖い目に会い翻弄された上での全力殴打を描かれてみると、マジでスカッとして最高だった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月16日
野放図に生きている悪党と、それを抑え込む法…の顔をした無法。
そんな歪みきった状況の犠牲に黙って落ちるのではなく、自由なる意思を拳に込め、殴るべき時に殴る。
そして監視カメラは抜け目なく、”糸”でズラして証拠を残さない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月16日
このお話の主役、空条徐倫とはそういう人間であり、この異様な監獄…グェスが”前座”なゴミ人間博覧会は、彼女の資質を厳しく開花させていく。
そんな物語の基本骨子が、良く見えるエピソードだ。
追記 思い返すと三部以降、ファーストエピソードは必ず、スタンドの名付けとお披露目が見せ場よね。
追記
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月16日
他人を都合のいい人形にする”グーグードールズ”に対し、それに屈しない意思=石と自由を”ストーンフリー”と名付ける場面は、力に形を与えるカタルシスと、自分がどんな存在であるかを高らかに叫ぶ気持ちよさが、力強く同居していた。
やっぱ、何かを名付けて叫ぶシーンは良い。
スタンドは精神の具象であるから、『徐倫は自身の心に”ストーンフリー”と名付ける』ということが、何よりも雄弁なキャラ説明になる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月16日
それはパワフルで、繊細で、賢く力強い。
自在に形を変え、意思を曲げず暴力に屈しないための剣であり、誰かを守る盾にもなるだろう。
決意を込めて名付けた”ストーンフリー”でもって、徐倫は己の運命を切り拓いていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月16日
そんな予兆と確信が、ハラハラドキドキの面白さとテンションぶっちぎりの熱量で刻まれるんだから、面白くないはずないんだよなー今回。
物語において、己が何者であるかを叫ぶシーンが一番おもろいな、やっぱ。
新章ってことで作品の前提をあえて白紙に書き直し、主役の魂、そこから生まれる”スタンド”がどんな意味と力を持っているか、しっかり彫り直したのが良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月16日
作品の最も基本的な部分をコンパクトに纏め、インパクトのある敵との闘いを通じて、視聴者にちゃんと伝える。
”第2話”でやるべきことを手抜かりなくやっていて、しかし説明っぽさは一切ない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月16日
常時キレっぱなしの異様さ、どす黒い悪と不自由が踊る物語の舞台を描いて、それを跳ね除ける爽快感、悪に屈しない力強さが元気に踊る。
大変良かったです。ネズミコスしてる徐倫、アニメに為るとマジあざとかったし。
刑務所と”スタンド”の洗礼…というには、あまりに血管ブチギレハイテンションな物語をくぐり抜けて、徐倫の運命は更に転がっていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月16日
底しれぬ悪意が形なく包囲する戦場で、”スタンド”以外に徐倫を助ける普遍の力。
次回からは”友情”も本格参戦開始で、大変楽しみです。
いやー…面白ぇなこのアニメ!