ルパン三世 PART6 第14話を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月9日
赤いダイヤを盗んだ女を追って、ルパン一味はメキシコへと飛んだ。
魔女の名を持つ強盗組織、”母”と呼んだ女の思い出。
粗雑(クルード)極まる機関砲が、盗みの流儀を傷つける時、凝り性(テクニカル)な古き怪盗の一手が冴える。
逃げれども、なお追う。その名は…
そんな感じの、PART6第2クールメインストーリー、第2話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月9日
1クール牽引していくのかな、と思っていたメルセデスとの因縁が思っていたより早く決着し、どうやら第2クールは様々な”女”がルパンの前を明滅しながら、その曖昧な輪郭を数で描画していく形式らしい、と気づく。
この後の話(スッッゲェ話数溜まってて、マジ申し訳ないです)での描き方次第だが、母やら魔女やら手弱女やら、色んな顔のある”女”の多角性を、数で補うのは面白い描線だなー、と思ったりする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月9日
あとは綺羅星のような個別の輝きを、どうまとめて一つ繋がりの星図を書くか…か。
とまれ、今回は前回謎めいて引いた”母”の正体を語り、兄妹弟子の格付けに決着を付けるエピソード。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月9日
トモエの生存が匂わされ、蜃気楼のように揺らめく思い出を追いかけて、ルパンは今後も”女”を追っていくようだ。
メルセデスは、そんな揺らぎの一人目…という感じかな。
むしろ1クール、話の背骨になりそうなのは清楚で儚げなマティアであり、素顔で見舞いに来るルパンの中で、仕事の巻き添えになった彼女の重要度は上がる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月9日
マリーゴールドに祈りを込めるその横顔に、『花屋と客』だった時には見えなかった強さを見て取るルパン。
やっぱPART6第2クールのルパンは、どこか薄暗く湿っていて、アイコンには相応しくない人間味を、狙って付与されている感じがある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月9日
どこか煮え切らない感傷はトモエにも伸びていて、素性不明の怪盗貴族だからこそ”ルパン三世”やれている彼の、存在するはずのない”母”への慕情が透ける。
”母”なる言葉に次元がピリッとするのは、そのオリジンが暴かれてしまえば機能しなくなる、ルパン三世という謎(あるいはモンスター)の根源に繋がるからだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月9日
それは相棒の根っこを知りたくない(つまり知りたい)次元の思考であると同時に、稀代のポップアイコンを愛する僕らの視線でもある。
なので『”母”…のようなもの』とトモエの素顔を明かされて、次元と同じくホッとしたりもする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月9日
ルパンの過去を一つに固定してしまえば、彼は無限の顔を持つトリックスターではなくなり、その豊かさも死んでしまう…とは、実は僕は思わなかったりするが。
ただ、間違いなくルパン三世の一大事ではあろう
なのでクッションかけつつ、怪盗王子最初の”女”であったトモエの特別性を際立たせるその立ち位置は、なかなかいい所を狙い撃ったと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月9日
師であり”母”であり、信頼を寄せつつ裏切られた複雑な存在。
そこに自分がどんな思いを寄せて、どんな弱さを預けていたか、死んだ今となっては確認出来ない思い出
赤いダイヤには、ルパン三世があまり見せない、人間としての血が滲んでいる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月9日
なので、それを盗まれるのは一大事…と。
ルパン一味は一見、飄々とした男の旅を演じつつ、どこかお互いを思い合う湿り気を込めて、米墨国境を超えていく。
メキシコに至る旅路の書き方が、結構好き。
いかにも”ルパン三世”な旅路は、メルセデスが『終わった』と唾棄する時代遅れなロマンに満ちてもいる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月9日
銭が欲しけりゃ火力で奪う、問答無用の装甲車。
同じ師を抱く対存在として、滅茶苦茶味がない現実主義で”盗み”を踏み潰すエルヴィラのスタイル、俺は結構好き。
全員同じ顔のトリックが『常時変装してるから』つう身も蓋もないものだったり、メルセデスが突きつけるロマン排除の実務主義(それが、周辺被害を気にせずマティアを巻き込んだりするわけだが)は、犯罪者の一つの答えでもあろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月9日
しかし、”ルパン三世”の答えではない。
とっつぁんが張り巡らせた、出来る範囲ギリギリの警戒を機関砲弾ですり潰して、エルヴィラは仕事を完遂させる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月9日
そこに真正面から火力勝負を挑むのではなく、発振器と知略で裏をかき、相手を動かして欲しい物を手に入れるのが、トモエから学びルパンが完成させた怪盗哲学…ということなのだろう。
ルパンは変装でも近接戦闘でも知略でもメルセデスを上回り、その命を手中に収める。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月9日
怪盗の流儀を逆撫でした相手を睨みつける、非情な瞳もまた”ルパン”らしくはなく、逆にその新しく懐かしい顔が面白くもある。
まぁ結局、女の額に風穴開けるこたぁしないんだけども。
例えば”峰不二子という女”のルパンだったら殺していたかな? と思ったりもするが、シリーズごとエピソードごとに多彩な顔、あるいはいかにも”ルパン”らしいいつもの表情を組み合わせて、掴みどころのない多彩さを”ルパン三世”でくくれる所が、この物語の面白さでもあろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月9日
PART6第2クール第14話のルパンは、女という宝をその手で砕く”ルパン”ではなかった、ということだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月9日
そう描いたことが、メルセデスを上回った後も続く物語の中でどんな意味を持ってくるのか。
そっちのほうが大事かな、とも思う。
”盗み”という自分と同じ土俵で、全く違う流儀で挑んできた魔女。
メルセデスを退けはしたが、実は死を装っていたトモエを追う旅は始まったばかりだし、その中で様々な顔を持つ”女”と出逢っていくだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月9日
母、妻、恋人、悪女、聖女、ヒロイン、ライバル。
…その全ての顔を持ちうる峰不二子を、PART5で描かれた肖像を踏まえてどう描いてくるかも、また楽しみだけど。
ともあれ赤いダイヤはルパンの手に戻り、一つのエピソードが決着する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月9日
そこから先にどんな物語が広がっていくかは、実際確かめなければ分からない所である。
一つのメインエピソードを、ゲスト脚本家の短編が取り囲む構成なんだけど、メインエピソード自体が短編集の趣あるの、ちょっと面白いよね。
というわけで、第2クールメインの第1エピソードはお終いである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月9日
なかなか余韻のある終わり方をしたので、今回描かれたものが今後どう膨らんでいくかが楽しみであるが、エルヴィラの乾いた現代主義と、トモエを核に滲むルパンの郷愁を対比する描き方は、なかなか面白かった。
サブタイトルは”蜃気楼の女”で、生死も本心も定かならぬトモエが、そこには重ねられているのであろうけど。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月9日
実は蜃気楼のように揺らめいているのは、颯爽たる怪盗紳士と、情に湿る”人間”の狭間を漂うルパン三世自身なのではないかな、と思いつつ
次元と”女”…定番ネタをPART6がどう料理するか、楽しみ