ヴァニタスの手記を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月25日
クロエの禍名を解くべく、ヴァニタスは決断を迫る。
永遠の雪の季節が終わり、魔女と獣は花に満ちた春へと進み出ていく。
幼き凶刃もひとまずは収まり、恋人たちは約束をする。
かくして大団円、冬のジェヴォーダンのお話は終わり。
その温もりが、たとえ幻だとしても…。
そんな感じのジェヴォーダン編完結ッ! ヴァニタスアニメ第19話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月25日
どっしり時間を使って1エピソード、しっかりやりきる食べごたえがエンドロールまでぎっしり詰まって、とてもいい最終回でした。
雪と花、同じ白でも暖かさが全く違う二つのモチーフを生かして、叙情豊かに終わったのが良い。
ヴァニタスの問いかけを受けてクロエ自身が道を選び、檻から出ることで終わる物語。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月25日
幼き頃に吸血鬼に変じ、老いることなく永遠の少女となったクロエにとって、父の愛は生きる縁であると同時に、己を幼年期に繋ぎ止める鎖でもあった。
思えばこの作品の青年たちは、みな過去に呪われている。
ルスヴン所持の殺戮機械でしかなかったジャンヌ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月25日
”先生”の長い影がちらつくノエ。
蒼月への愛憎に捻れた人格と過去の傷を、持て余しているヴァニタス。
皆”親”を憎みつつ愛し、その鎖に縛られて前に進めない所がある。
このお話はそんな彼らが、傷つきながら共に進んでいく物語…かなぁ。
このエピソードで自身の物語を完結させるクロエは、自分が家名の傀儡であり何も選び得なかった子供であることを認め、檻の外に手を引かれて出ていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月25日
人にならずとも愛してもらえる実感を、ジャンヌとジャン・ジャックの手のひらに、血を吐くように呼びかけたヴァニタスの言葉に受け取って。
これは未だ幼年期に迷いつつ、今回のエピソードで強く過去を振り返った、主要人物の未来図でもあるのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月25日
その果てに色濃く、”死”という決着が見え隠れするとしても、呪われた子供たちが進む物語は愛に満ちて眩しく、血潮は赤く熱い。
いつか呪いを越えて、満ち足りた場所へと。
その渇望が叶うかは別として、そういう方向に進んでいく物語である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月25日
ヴァニタスが蒼月の吸血鬼との日々を思い出していたが、憎悪に満ちた露悪的な態度に比べ、そこには奇妙な暖かさがあった。
蒼月が医療の師として教えてくれたことが、クロエを救いもする。
人間が人間としてある以上、存在の前提となる絶対の孤独。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月25日
それを別の形で語ったバベルの故事が、作品世界を根本的に規定したカタストロフの名として取られているところに、結構な面白さを感じるが。
例えば過去を窃視するアルシヴィストの異能を使っても、存在の根本的な冷たさは癒えない。
しかし誰かを信じ、誰かに信じられる自分を信じることで踏み出した一歩は、確かに魂の距離を縮める。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月25日
ノエがヴァニタスに蓄積された不信を越えて、信頼をゼロ距離で手渡したことで、ヴァニタスは救済者としての自分を信じ、ジャンヌとクロエに青臭い理想を、全力で叩きつけることが出来た。
ニヒルに唇の端で笑い飛ばしていても、ヴァニタスは自分を信じてくれるノエに恥じない”医師”であることを今回肯定し、その生き方を貫いた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月25日
それは繰り返す冬の悪夢を越えて、その中心にいたクロエを檻から出し、彼の恋人の悲願を叶えた。
不屈の信頼は、未来を眩しく変えうる。
歪んでしまった世界とその”治療”を扱うこの物語で、いちばん大事な魔法はヴァニタスの書ではなく、それに関わる青年たちの心にこそあるのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月25日
果たして獣と魔女の物語は、愛と希望を信じる事でより善い結末に書き換えられ、その渦中にいた者たちも、檻を抜けて前に進み出た。
ハッピーエンドのその先で、急にジャンヌがえっちなこと始めるからビックリしちゃったけど。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月25日
肉欲と純情が吸血行為で混ざり合う、不思議な関係性を鑑みると、あそこで発情するのは二人にとってリアルだなー、と思ったりする。
ただ欲にかられて飲み干すのではなく、言葉を用いて心を満たす。
ガッツいた子供の作法ではなく、しっかり大人のマナーを守ってヴァニタスと向き合うジャンヌも、檻から少し出たのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月25日
”恋人”がそうしてくれることで、ヴァニタスもまた頑なな冬の城から自分を出して、傷の記憶と予感に震えながら、大事な人に手を伸ばせる。
心を閉ざし露悪で自分を守るには、そうなるに相応しい”痛い目”ってのがあったはずで、ヴァニタス達は幾度も、それに襲われるんだろうけど。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月25日
それでも本当に欲しい物を手に入れるために、心の柔らかな部分を開け放って、誰かに預ける…預けれる誰かを見つける道を、彼らは進んでいく。
そういうジュブナイルな味わいが、爽やかに艶っぽく作品全体に漂ってるのが、やっぱ僕は好きです。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月25日
皆が大人になるための道が、謀略と血で塗られてるところは、まぁヴァンパイアの物語だからしょうがない。
むしろ嘘なく試されることで、欲望の真実味が増す作用もあろう。
健全に未来へ歩を進める主役たちに対し、アストルフォは獣のように悶え、何処にもいけぬ苦しみを抱えて一旦退場であった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月25日
『コンバットドラッグ使いならこれ!』っていう、過剰投与による目血鼻血大出血までキメてくれて、僕としては大満足である。
様式美って…やっぱあるよねッ!
寝言はさておき、自分所のヤバ人間を聖騎士様がしっかり見てた…つうか思ってたより因縁深かったのが、ローラン好きとしてはありがたかったです。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月25日
ノエを鼓舞するように、正義の在り処について語るヴァニタスを横目で見る、ちょっとシニカルな視線、大変セクシーでした。
ローランは心の扉をあけすけに解き放って怯えない、既に自分を掴まえてる”大人”なわけだが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月25日
常に疑いつつも教会の”正義”の体現者として吸血鬼を狩り殺し、様々な”悪”を身体でせき止めてる身としては、ヴァニタスの相対的個人主義には色々、思うところもあるのだろう。
同時に信じると決めた相手は信じ切る御仁でもあるので、その青臭さや危うさも含めて、何かを変えうる起爆剤として期待してる感じもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月25日
ジェヴォーダンの住人を守りきり、ヴァニタスの治療行為を成功させた立役者は、綺麗事を信じ理想を追い求めることで、何を掴みたいのか。
その欲望も気になる。
過去の惨劇から出れないアストルフォに、クロエに訪れたような救いはまだ遠い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月25日
まーぶっちゃけると、今後も出番のあるキャラだからトラウマ解消して”完成”されちゃうと、ドラマを煮込む燃料がなくなる…つう話でもあるのだろう。
いつか来る彼の物語に、ローランが隣り合ってくれると解ってるのは安心
さてはてかくして、永遠に繰り返す雪の城から、いつか夢見た青空の花畑へと進み出て、魔女と獣の物語は終わった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月25日
実際にあった未解決事件を、ロマンティックにゴシックにこのお話らしく語り直し、その結末を文句なしのハッピーエンドにつなげる腕力を、たっぷり堪能させてもらった。
クロエとジャン・ジャックを鏡に、ヴァニタスとジャンヌ、ヴァニタスとノエの現在地を確認できて、その先へ進んでいく愛と熱量もよく見えた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月25日
”世界改変”というテーマが共通しているので、ヴァニタスが主人公として治療する病根のスケールも、よく見えるエピソードだったかな。
雪のジェヴォーダンは、謎が踊るには良いセッティングであったし、この作品らしい雰囲気もたっぷり摂取できた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月25日
祈りと呪い、永遠の幼年期、信頼と愛。
長い尺を使ったからこそ、作品のテーマ、各キャラに共通する要素がしっかり浮き彫りにされて、食べごたえがありました。
青年たちが望む未来へ漕ぎ出すとき、枷になる記憶が今回の冒険で少し削れて、彼らのあり方もちょっと変わってくると思いますが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月25日
花のパリに戻った後、どんな物語が展開されるか楽しみです。
ヴァニタスの手記ジェヴォーダン編、とても面白かったです。ありがとう。